私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

"作りおき"は便利だけど……

貯まる生活の第一歩は"おうちごはん"にあります。外食三昧ではお金は貯まりません。とはいうものの、忙しい毎日、仕事から帰ってきて、一から食事の用意をするのは大変です。空腹に耐えながら時間と手間をかけて食事の用意をすることを考えると、つい外食に走ったり、コンビニのお弁当やスーパーのお惣菜を頼りたくなったりするものです。

そこで、常備菜=作りおきおかずの登場です。前もって作っておいたおかずが冷蔵庫にストックしてあれば、あとはごはんさえあれば1食分の献立が完成します。というわけで、きんぴらごぼう、ひじき煮、かぼちゃ煮、にんじんのマリネ……などの"常備菜"や"作りおき"おかずが注目されるようになり、作りおきおかずのレシピ本も次々に出版されています。

確かに、作りおきおかずは便利ですが、ここでひとつ問題が。それは、作りおきおかずを作るのに時間と手間がかかるということです。4~5種類作ろうと思うと、そのための時間を確保する必要があります。平日の夕飯をラクするために、週末の貴重な時間をつぶすというのも、もったいない話です。

肉は下味につけるだけ、野菜は切っておくだけ

そこで、提案したいのが、作りおきおかずほど完成度は高くない、"作りかけ"おかずです。"作りかけ"とは、簡単に言うなら下ごしらえということ。

たとえば、肉は酒、しょうゆにつけておくだけ。ここまでしておけば、あとはフライパンで焼くだけ。焼いている間に、レタスをちぎって、トマトを切ればサラダが作れます。

鶏もも肉は酒、しょうゆ、プラスしょうがのすりおろしにつけておき、あとはてんぷら粉(小麦粉や片栗粉でもOK)をまぶして揚げれば、鶏のから揚げに。

鶏もも肉に酒、しょうゆ、しょうがのすりおろしをまぶして冷蔵庫へ入れておくだけ。これだけで、食事の支度も簡単になります

まぐろの刺身は多めに買い、買ってきた日は刺身で食べて、残りは酒、しょうゆ、みりんにつけます。翌日、ごはんの上にのせれば、まぐろの漬け丼の完成です。

下味をつけるだけなら、前日の夕食の後片づけのついでや、朝食の用意のついでにできます。わざわざ休日に時間をとることはありません。

また、食事の用意で意外と手間と時間がかかるのが、野菜を切る作業。夕飯や朝食づくりのついでに、野菜を切る作業をまとめて済ませて、保存容器に入れておくと便利です。水分が出やすい野菜や色が変わりやすいものは不向きですが、ピーマン、玉ねぎ、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などはあらかじめ切っておくと、すぐに使えて、忙しいときに時短調理できます。

また、切る作業をまとめて済ませておけば、まな板や包丁を洗う作業が1回で済むのもメリット。料理の合間にササッとできる"作りかけ"ごはんで、おうちごはんをラクしましょう。


村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。