「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回のテーマは、「ボラティリティの高さを味方につける積立ビットコイン」です。
ボラティリティが高いアセットにおけるドルコスト平均法の効果
ビットコインを含む暗号資産市場は、価格の激しい変動で知られています。このボラティリティの高さは、見方によってはリスクですが、別の見方ではチャンスにもなります。こうした市場で投資成果を得るために有効な手法が、「ドルコスト平均法(DCA)」です。ドルコスト平均法は、特に価格変動の大きいアセットにおいて、その真価を発揮します。簡単に言えば、積立で「買い続ける」ということです。
ドルコスト平均法は、定期的に一定金額を投資することで、購入価格を平均化する手法です。価格が乱高下するビットコインにおいて、この方法は次のような効果をもたらします。
「高値掴みのリスクを軽減」
価格が高騰しているときにも暴落しているときにも同じ金額を購入するため、結果として高値での購入を避けることができます。
「感情に左右されない投資」
価格の変動に一喜一憂することなく、計画的な投資を続けることができます。市場の動きに感情が影響することで、非合理的な決断をしてしまうリスクが低くなります。
ドルコスト平均法での具体的な買い方
ドルコスト平均法の大きな利点は、投資タイミングを分散できることです。毎月5万円を投資できるとしましょう。30日で割ると、1日あたり1,666円です。これを毎日ビットコインに投資しても良いですし、ビットコインとイーサリアムに半分の833円ずつ投資しても良いでしょう。毎日は面倒だという人は、5万円を4で割って1週あたり1万2,500円を、曜日と時間を決めて毎週買うという分散の仕方もあります。
「大暴落した」と思ったら、いつもより多く、例えば2日分買ったり2週間分買ったりしても良いです。もちろん、「多めに買ってみたらもっと暴落した」ということも起こり得ますが。
毎日、あるいは毎週一定額をビットコインに投資することにより、次のような効果があります。
「市場のタイミングに依存しない」
市場が上がっていようと下がっていようと関係なく、一定の頻度で投資を行うため、投資判断が市場のタイミングに依存することがありません。
「コスト平均化」
長期間にわたり定期的に投資することで、購入価格を平準化し、リスクを分散させます。
ドルコスト平均法でビットコインに投資した場合、価格が低いときにはより多くのビットコインを、高いときには少ないビットコインを購入することになります。これにより、平均購入価格をならすことができるわけです。
投資初心者でも始めやすい理由
ドルコスト平均法は、投資初心者にとっても適した方法です。投資の世界に足を踏み入れる際、多くの人が感じる不安の一つは、「いつ投資を始めるべきか」というタイミングに関することです。ドルコスト平均法なら、この不安は解消されます。
ドルコスト平均法では、一定の間隔で一定の金額を投資するため、毎回の投資タイミングを気にする必要はありません。市場の動きを予測するストレスから解放され、計画的に投資を続けることができます。また、少額からでも始められるため、大きな資金を一度に投じる必要がなく、家計に負担をかけずに投資をスタートできます。「あぁ、買おうと思ったらまた上がっていく…」という事態を防ぎ、余剰資金で気軽に始められることも、ドルコスト平均法の利点です。
長期投資の視点でみるドルコスト平均法のメリット
ドルコスト平均法を長期投資の視点でみると、メリットがより明確になります。暗号資産市場は短期的には大きな変動をくり返しますが、長期的には価値が上昇する傾向にあります。ドルコスト平均法は、この長期的な成長を最大限に活かすことができる手法です。
市場が一時的に暴落しても、買い続けることで低価格時により多くのビットコインを手に入れることができ、結果として長期的にみた場合の購入価格を低く抑えられます。これは、価格が回復した際に利益を増やすチャンスを広げることにつながります。ドルコスト平均法で買い続けることで、長期にわたって市場の成長を享受しながら、計画的に資産を形成することができるのです。
「暗号の冬」が来ても買い続けることが重要
暗号資産市場が急落すると、多くの投資家はパニックになり、資産を手放したくなるものです。特に、市場が冷え込む「暗号の冬(クリプトの冬)」が到来すると、メディアでもビットコインの話題が取り上げられることが減り、取引量も少なくなります。しかし、ドルコスト平均法を実践する上で肝心なのは、市場が下落しているときこそ買い続けることです。
前述のとおり、価格が低下しても積立投資を止めないことで、より多くのビットコインを取得することができます。これは、価格が回復した際により大きな利益を得るチャンスです。
また、暴落時でも購入を続けることで、長期的な視野での資産形成を意識し、短期的な市場の動きに対して心の安定を保つことができます。「上がってよし、下がってよし」の心理的安定を得ることは、長期投資の視点ではとても重要です。
市場が冷え込む時期であっても、ドルコスト平均法は投資家にとって強力な方法です。日々の市場やメディアのノイズに煩わされることなく、長期的な資産形成を目指せます。結果として、計画的で持続可能な投資スタイルを確立することができるでしょう。ドルコスト平均法を活用することで、ボラティリティの高い暗号資産市場においても冷静で戦略的な投資を続けることができます。