「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながらお伝えいたします。
衣替えシーズン
前回、前々回と給付金制度についてお伝えしましたが、今回は衣替えの時期でもありますので、身近なテーマとして、「クリーニング料金」についてお伝えいたします。
みなさんはクリーニング店をご利用されますか? 新型コロナウイルス感染症の影響で在宅ワークをされている方もたくさんいらっしゃると思います。在宅でも、web会議等で上司や同僚とパソコンの画面上で顔を合わせる場合には、パジャマ姿というわけにはいかず、ワイシャツやブラウスに着替えてパソコンの前で会議を行っている方々も多いでしょう。
ワイシャツやブラウスは、自宅の洗濯機を使って洗濯しアイロンをかけるという方法もありますが、1人暮らしを始めた新入社員の方や、小さいお子さんがいる子育て中の方のなかには、自宅でアイロンがけをする時間やスペースがとれないという方もいらっしゃるでしょう。そんなときに頼りになるのが、クリーニング店ですね。
私も住んでいる地域に関係なく、クリーニング店にはお世話になっています。地方に住んでいる頃には、自宅から数分のところに複数のクリーニング店があったので、頻繁に利用していました。そこで、地方でのクリーニング料金の安さにビックリして、「こんなに安いということは、仕上がりが雑なのでは」と少し疑っていましたが、クリーニングした後の丁寧な仕上がりに感心しました。
では、地域ごとにクリーニング料金はどれくらい違うのか。 グラフを使って見ていきましょう。
クリーニング料金の東京都区部小売価格
小売物価統計調査(総務省統計局)により、東京都23区のクリーニング料金がわかります。
下表1の直近1年間のクリーニング料金を見てみると、ワイシャツの場合は、2019年8月250円(赤字で表示)が最も高く、背広服上下の場合は、2020年5月1,335円(赤字で表示)が最も高いです。2019年10月に消費税が8%から10%に上昇しましたが、クリーニング料金すべての項目が値上げになっているわけではないようです。
地方にお住まいの方が下表1をご覧になると、「東京のクリーニング料金は高い」と思われるのではないでしょうか。私自身の場合ですが、地方で暮らしていたときは、曜日によってワイシャツ1枚のクリーニング料金が、下表1の価格の半額以下となるクリーニング店もありました。地方での暮らしにおいてクリーニング料金は、家計に優しかったです。
(表1)クリーニング代・東京都区部小売価格
終わりに
以前に比べて洗濯機や洗濯用洗剤が進化したことで、クリーニング店にお願いしなくても、さまざまな素材が自分で洗えるようになりました。それでも、大切にしているカシミアのマフラーやダウンジャケットなどは、クリーニング店にお願いしたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
複数のクリーニング店で迷った場合、クリーニングの価格の比較だけではなく、まずは、クリーニング料金が他の衣類よりも安いワイシャツやブラウスのクリーニングをお願いしてみるのはいかがでしょうか。首元や袖口の汚れやシワがないかなどの確認をして、丁寧に仕上げてくれるお店に、背広服やコートなどお願いするとよいと思います。