「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながらお伝えいたします。

ドラッグストアを利用しますか?

みなさんは、ドラッグストアを利用しますか? 現在のドラッグストアは、薬のみならず、日用品や食料品も販売しており、スーパー並みの品ぞろえである店舗が多くみられます。

地方に住み始めた頃に初めて行ったドラッグストアは、大きな駐車場の奥に面積の広い店舗があり、店内には様々な日用品や生活用品がありました。そして店内に入りゆっくり商品をみていると、あっという間に1時間が過ぎていました。車で買い物に来る人が多いからか、洗剤などの商品は、小さな詰め替え用商品よりも、大きな詰め替え用商品の方が多く陳列されていました。

個人的な感想ですが、商品の値段については、地方と東京であまり違いはありませんでした。金額については、地域差よりも、店舗の近くに競合店が存在するか否かで違いがあるように感じました。

また、ある日同じ会社のドラッグストアで、周辺に駅がなく住宅地にあるドラッグストアA店と、主要駅周辺で競合店が複数店舗あるアーケード商店街にあるドラッグストアB店に入ったのですが、同じ商品でも値段が異なっていました。

競合店がひしめく場所にある店舗では、どうしても値段競争が起きてしまう。それはドラッグストアだけではないでしょう。

都道府県別・ドラッグストア販売額と店舗数

そこで、地域ごとに販売数と店舗数をみてみましょう。

ドラッグストアの販売数が最も多いのは、東京都64,580百万円、次に神奈川県46,446百万円、三番目に愛知県38,377百万円となっています。上位3都市は、どれも人口の多い地域となります(黄色で表示)。

店舗数においても、最も多いのは東京都1,841店舗、次に神奈川県1,117店舗、3番目に埼玉県1,070店舗となります(緑色で表示)。こちらも人口の多い地域が上位となりました。

しかし、1店舗あたりの販売額※を見てると、東京都64,580百万円÷1841店舗≒35百万円で、店舗数が最も少ない鳥取県(青色で表示)では、2,239百万円÷69店舗≒32百万円。1店舗あたりの販売額では、さほど変わりないことがわかりました。販売額の違いは、地域差よりも、店舗の近くに競合店が存在するか否かで生まれているということが考えられるのではないでしょうか。

※ここでいう販売額とは、調査月の月初から月末までの1カ月間の販売実績を指します。販売額には、店頭販売のほか、カタログや新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネット等で広告を行い、通信手段によって個人から注文を受け、商品を販売する事業、家庭等を訪問し個人への物品又は販売契約する事業等の販売額も含まれています。

  • (表1)都道府県別・ドラッグストア販売額と店舗数/※出典:商業動態統計速報(2020年2月分)-統計表
    第18表「ドラッグストア都道府県別販売額等及び前年同月比増減率」(経済産業省HP)

終わりに

現在は、新型コロナウィルス感染症予防のため、マスクや消毒液、除菌シートなど、通常はドラッグストアで販売している衛生商品の在庫切れが続いています。

「マスクは入荷していますか?」「除菌シートはありますか?」などと、毎日のように客から問い合わせを受けるドラッグストアの店員さんが、疲弊しているというニュースを読みました。

緊急事態宣言の対象地域でも、大手のドラッグストアでは営業を継続されており、消費者としてはありがたいですが、このような緊急時に営業を継続していくことは、当たり前ではありません。ドラッグストアで働いている方々にも家族はいます。客側も心の余裕を持って買い物したいものですね。