モツなどの内臓系が大好きだという缶詰博士の黒川氏。
独特の匂いが苦手な人もいると思いますが、博士に言わせると「あの匂いがあるからウマいんだ!」とのこと。
「臭みは消しつつ、本来の魅力的な匂いを生かすのがモツ料理の理想。この缶詰がまさにそれですぞ」
ハチノス使用
モツが好きです。"気モツ悪い"と思われてもかまいませぬ。独特のケモノっぽい匂いも、愛しくてなりませぬ。
モツ好きは世界中にいるようで、例えばイタリアは北部から南部までの各地に「トリッパ」と呼ばれる牛の胃の煮込み料理がある。
牛の胃は第1胃ミノ、第2胃ハチノス、第3胃センマイ、第4胃ギアラと4つあるけど、イタリアではそれらの部位を4つまとめてトリッパと呼ぶそうな。つまりトリッパというのは胃のことでもあり、それを煮た料理の名前でもあるわけだ。
今回紹介するveeell(ヴィール)の「トリッパのトマト煮込み」は、第2胃のハチノスを使っている。
349缶の限定製造
veeellは宮城県にある企業で、自社が造る缶詰を「クラフト缶詰」と呼んでいる。製造工程のすべてをシェフが手作りしているため、工場生産品のように大量生産ができない。このトリッパのトマト煮込み缶にいたっては、なんと349缶だけの限定製造であります。
原材料を見ると、タマネギ、ニンジン、セロリなどの香味野菜と、月桂樹、バジル、ナツメグなどのハーブ&スパイス類で風味を加え、さらに塩麹でうまみを与えているようだ。
ハチノスの臭み取りから味付けまで、かなりの手間が掛かっているはず。それが"クラフト"缶詰ということでありましょう。
匂いを生かす
中身はこんな缶じ。月桂樹の葉の下に、トマト色に染まったハチノスとソースが詰まっている。1片をフォークですくってみると、ひだがハニカム構造になっていた。まさに"蜂の巣"だ。
そのままいただくと、歯触りはねっとり、しっとりしつつ、サクサクかみ切れる。トマトの酸味が利いていてうま味もあり、ハーブ&スパイス類の風味がトリッパの匂いをいい方向に生かしております。
赤ワインが欲しい
かくのごとし。トリッパのトマト煮込みをソースごと耐熱容器に移して熱し、パルメザンチーズを振りかけた。
それをソースごとパンに乗っけて、さらにパルメザンチーズを追い掛けし、オリーブオイルも垂らしていただく。
トリッパは1片が大きいので、カットしたバゲットに1つ乗せるだけでけっこうなボリュームになる。
大口を開けてかぶりつくと、熱々になったトリッパは缶臭やレトルト臭もなく、さらにウマくなっていた。トマトソースが染みてふやけたパンもいい缶じ。
あー、赤ワインが欲しいぞー!
缶詰情報
Veeell(ヴィール)/ トリッパのトマト煮込み 105g 1,180円(349缶の限定製造)
オンラインストア「あまね」などで入手可