サバをカレーでコトコト煮込んだサバカレー缶。缶詰博士いわく、メーカー数社が製造し、今や10種類近くの商品が出ているそうです。
「先月も新商品が出たばかり。なんとカレーの老舗・新宿中村屋が共同開発してるんですぞ!」
新宿中村屋といえば、カレー好きにはたまらない本格インドカレーのお店ですよね。でもインドカレーにサバって、合うんですか?
"日本初"企業がコラボ
日本で初めて本場のインドカレーを提供したのは新宿中村屋(それまで日本にあったのはイギリス式カレー)。そして、日本で初めてツナ缶を製造・販売したのが清水食品。 パイオニア精神あふれるこの2社がタッグを組んで開発したのが、4月26日に発売された「サバカリー」であります。
味付けは「本格麻辣(マーラー)仕立て」と「インドカリー仕立て」の2種類。果たしてどんなお味なのか、じっくり検証してみたい。
本格麻辣仕立ては「芳醇な辛さと香り……ピリッとしびれる刺激的な辛さ」がウリ(清水食品のリリースから抜粋)。
麻辣は本来、四川料理の麻婆豆腐などに使われる香辛料である。それがカレーに入るとどーなるのか?
インドカリー仕立ては「ココナッツを加えたやさしい味わい……新宿中村屋伝統の味が生きる、ほど良い辛味」だそうな(清水食品のリリースから抜粋)。
ココナッツ入りカレーといえば、缶界ではいなば食品「タイカレー」が思い浮かぶけど、こっちはインドカレーである。どんな違いがあるのだろう?
思いやりから表示
本題に入る前に……。清水食品にはひとつの特徴がある。製造する缶詰すべてに「カリウム」「リン」の含有量が表示されているのだ。
「エネルギー(カロリー)」や「食塩相当量」を示すのはどのメーカーでもやってるけど、カリウム、リンの表示は他で見たことがない。
なぜこの表示をしているのか、同社の営業担当F氏に尋ねると
「腎臓病の方はカリウム、リンの摂取制限があります。成人の8人に1人は罹患していると言われているので、その方たちにも安心してもらえるよう表示しています」
とのお答えだった。思いやりから生まれた表示だったのだ。素晴らしいぞ清水食品さん!
それでは参りましょう、開缶!
本格麻辣仕立ては想像通り、四川料理チックな赤い色。一方のインドカリー仕立ては、こちらも想像通りココナッツが入った黄褐色。共通するのは複数なスパイス&ハーブ類の匂いであります。
では、それぞれ白ごはんと一緒に食べてみますぞ!
かくのごとし。筒切りになった太いサバがごろごろ入っている。刺激的な辛味がぐいぐい攻めてきて、顔面はあっという間に汗だく。
舌がちょっとしびれるような感覚は、麻辣に含まれる花椒のせいでありましょう。豆板醤やトウチも入っているから、発酵食品の酸味とうま味もある。でもトータルではちゃんとカレーの味。不思議だ。
インドカリー仕立てはどうか。辛さはそれなりで、食べ続けると汗が出てくるけど、本格麻辣仕立てほど辛くない。本来は甘い風味のココナッツもスパイスと溶け合い、コクとなって底辺を支えている缶じ(感じ)。
いなば食品のタイカレーは香草の爽やかさがあるが、新宿中村屋のほうは香辛料がいくつも絡み合った底深い味であります。
そして、どちらのカレーもサバ特有の匂いが気にならず、むしろうまみの一種になっているのが不思議ですごい。一体どうしてそんなことが可能なのか、新宿中村屋の料理長M氏に訊いてみた。
「例えば、モルディブで食べられている魚のカレーには"モルディブフィッシュ"というカツオ節のようなものが使われています。サバカリーもそこにヒントを得ていて、カツオ節を加えることでサバとの相性を合わせています」
とのこと。
いわば魚介ダシを加えたカレーなのであります。缶心(感心)しきりのサバカレーでありました。
缶詰情報
清水食品/サバカリー 本格麻辣仕立て、インドカリー仕立て
150g 324円 スーパーやコンビニ、ドラッグストア、通販などで購入可