ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第60回は「#辛麺」。

  • 「辛麺 華火」の辛麺(800円)

インスタントラーメンとしても以前から辛麺商品は販売されていたが、2021年8月末、日清食品から「カップヌードル 辛麺」が発売されたことをきっかけに、インスタグラムで「#辛麺」の投稿が増え続け、9月半ばには9.4万件、現在は10.1万件に達している。「カップヌードル 辛麺」の発売で、宮崎のご当地麺である「辛麺」にも改めて注目が集まっている。

宮崎の「辛麺」は、韓国発祥のインスタントラーメン「辛ラーメン」と名前は似ているが、まったく違う、宮崎県のソウルフードだ。30年程前、同県延岡市にあった繁華街のラーメン店の麺が、飲んだ後の〆として人気になったのがブームの始まり。シコシコとした食感の麺と醤油ベースのスープ、唐辛子、にんにくなどを合わせた旨みと辛味が同居する麺はたちまち評判になった。

カップヌードルに、満を持しての旨辛味登場!

今年8月30日に発売された日清食品の「カップヌードル 辛麺」は、ひと目で辛さが伝わってくる赤いカップで目を引く。激辛ブームが盛り上がり、辛い物嗜好は今や生活の一部とみた同社は、旨辛の新定番として満を持して「辛麺」を発売した。宮崎の辛麺とは異なる、「カップヌードル」のオリジナルだ。

日清食品マーケティング部の藤田美佳さんは新製品の特長について「醤油ベースに唐辛子の辛み、キムチの酸味、ニンニクの風味、みそのコクをきかせた、濃厚でクセになる味わいの旨辛スープが特長です。さらに『カップヌードル』史上最大量となる唐辛子、“ぶっかけ焙煎唐辛子”が入り、香ばしい風味と深みのある辛さが食欲を刺激します」と話す。

  • 日清食品の「カップヌードル 辛麺」(希望小売価格193円/税別)

「辛さ」だけでなく、しっかりとした「旨さ」を追求した。「旨み6」に対して、「辛さ4」というバランスは、激辛には尻込みしてしまうものの、新しい刺激を試してみたいという人の好奇心も煽るはずだ。その人気は発売からわずか4週間で、年間販売計画の75%達成という結果にも表れている。SNSでも「辛いけど辛すぎずおいしい」「3日続けて食べられるおいしさ!」と好評だ。

テレビCMも印象的だ。インスタグラムのフォロワーが200万人を超える人気のダンサー、ジャクソン・マイルス・チャビス氏と、"天気予報6:ダンサー4"で活躍する踊る気象予報士、ニック・コシール氏が唐辛子をバックに踊る。このCM動画再生回数も320万回を突破する人気だ。「辛麺」シリーズとして、バリエーションを広げていく発売予定はあるのだろうか? 藤田さんの回答は「お客様の反応を見て、検討していきたい」とのことで可能性もゼロではなさそう。

辛麺発祥の地・宮崎県延岡の元祖「桝元」

辛麺発祥のラーメン店で人気となった辛麺の味を引き継ぎ、辛麺専門店として2001年に店舗展開を始め、全国に広げたのが「元祖辛麺屋 桝元」だ。醤油ベースのオリジナルスープにミンチ(合い挽肉)、ニラ、にんにく、卵、唐辛子を入れ、中華麺ではなくシコッと独特なコシのあるこんにゃく麺を使っているのが大きな特徴だ。このこんにゃく麺のファンも多く、Instagramには「今まで食べたラーメンの中で断トツ1位!」と断言する人までいるほど。

桝元の広報担当、森田栄作さんは、「こんにゃく麺といっても、こんにゃくでできているわけではなく、小麦粉とそば粉を使った麺です。食感が似ていることからそう呼ばれています。そば粉を使った麺は繊維質も豊富ですし、味の決め手となる唐辛子も脂肪の燃焼を促しますから、辛麺はダイエット向きとも言えます。でも一番の魅力は、麺、スープ、具材すべてが渾然一体となった辛いだけではない、旨味たっぷりのおいしさです」と話す。

  • 「元祖辛麺」は「1辛」が850円~。写真は「3辛」。辛さによって値段が異なる(店舗や地域によって変動あり)

直営店の店頭では「0~30辛」の辛さを注文できるので、辛いものが苦手でも「0辛(ゼロカラ)」なら、スープと具材、麺の渾然一体感を味わえる。森田さんによれば、来店者の多くは「3~5辛」で旨辛を堪能しているという。「30辛以降の辛さにもご希望があれば応じています。100辛に挑戦する方も多くありませんが、いらっしゃいます」とのこと。ちなみに1辛は唐辛子スプーン杯なので、100辛となると、丼に唐辛子の山ができることだろう。

辛麺をとことん楽しむなら、残ったスープにごはんを入れて雑炊風で締めくくるのがおすすめだ。常連ともなると、最初から「にんにくましまし、麺を抜いてごはんで」と注文する人もいるという。「元祖辛麺」のほかに、他素材と組み合わせて旨みをさらに重ねた「トマト」「カレー」「みそ」、豆乳と麹入りの「白」とバリエーションもあり、自分好みの味を見つける楽しさもある。

「桝元」は、宮崎県外にも直営・FCをあわせて40軒以上ある。店に行けなくても、レトルト製品「辛麺屋桝元 辛麺」各種がスーパーや通販で手に入るのでチェックしてみたい。こちらも通年で50万食が売れるヒット商品だ。同店がオープンして以降、辛麺の店は各地で誕生しているが、元祖としてどのような思いなのだろう。「チキン南蛮に続き、宮崎名物として辛麺がひとつの食文化として全国に広まってくれるなら、辛麺の店が増えるのは大歓迎です」(森田さん)。

山盛り唐辛子が麺を覆い尽くす「煉獄」も話題の「辛麺 華美」

今年4月、東京・飯田橋に「辛麺 華火(はなび)」の2号店がオープンした。同店は宮崎県の辛麺を題材に、新宿の1号店を2012年に開店して以来、東京で激辛マニアを魅了してきた。宮崎辛麺の基本に忠実なコンニャク麺、にんにく、ニラ、卵、合挽きミンチ肉、唐辛子を入れた辛くて旨い麺だが、特に唐辛子にこだわりがあるという。

  • 唐辛子で麺が見えない「辛麺 華火」の「煉獄」(1,180円)

自社農園で栽培する国産の唐辛子を独自にブレンドし、辛さの違う6種類のメニューを用意。辛さなしの「ゼロ辛」、ほのかに辛い、辛味1倍の「小辛」、初心者におすすめの辛味3倍の「中辛」、辛味が5倍、7倍となるとそれぞれ「大辛」、「激辛」。そして、“激辛を超える究極の辛麺”と同店が呼ぶ「煉獄(れんごく)」。辛味は10倍で、唐辛子がスープに浮かぶ様子は、さながら海に流れ出したマグマだ。

「煉獄」を完食した人にはさらに辛い「裏煉獄」への挑戦権が与えられるという。同社を運営する八福食研によると、「裏煉獄」とは自社農園で栽培したキャロライナ・リーパーやトリニダード・スコーピオンといった世界でも激辛とされている唐辛子を入れた、一段と辛さが冴える一品。ただ、店頭で人気を二分するのはやはり「大辛」「激辛」とのことで、Instgramにも「辛味5倍に挑戦。辛かったけど旨味が強くてめちゃくちゃおいしい!」などの感想が投稿されている

辛いだけでなく、旨みを味わえるのが最新激辛グルメ、辛麺の魅力。夏に爽快に汗をかきながら食べるのもいいが、寒い時期には芯から体を温めてくれそうだ。