ビジネスメールとビジネス文書は、名前が少し似ていることもあり混同されることも多く、その違いに迷う方もいます。メールは仕事の現場に登場した頃、ビジネス文書の電子版というイメージの存在であったこともありました。
しかし今では、電話や会話に近いコミュニケーション手段として存在感を増しています。どんな手段も特徴を知り、使い分けることが求められます。そこで今回は、ビジネス文書とビジネスメールの違いについて解説します。
見た目の違い
ビジネスメールとビジネス文書は、仕事で使うもの、文字で伝えるものという共通点はありますが、その見た目、書き方には違いがあります。
こうして比較すると、見た目の違いに気づくでしょう。ビジネスメールは左にそろえて書き、字下げをしません。一方、ビジネス文書は、項目によって右や左、中央にそろえます。
型を知れば迷わず書ける
ビジネスメールは、(1)宛名、(2)挨拶、(3)名乗り、(4)要旨(メールを送った目的・用件)、(5)詳細(要旨に関する詳しい説明)、(6)結びの挨拶、(7)署名の順に書きます。これが基本の型です。
ビジネス文書は、発信年月日、件名、宛名(受信者名)、名乗り(送信者名)の配置、頭語と結語をセットで書く、時候や季節の挨拶、記書きなどビジネスメールとは異なる決まりがあります。
それぞれ形式的な違いはありますが、その要素に大きな違いはありません。ビジネスメールの型を覚えて、何の要素をどこに並べればいいかを知れば書けるようになります。
(4)要旨(メールを送った目的・用件)と(5)詳細(要旨に関する詳しい説明)は毎回、考えて書く必要がありますが、それ以外は定型に従えば十分です。時間をかけるところと、かけなくていいところの区別がつくのも、型を知っているからこそ。まずは、型をしっかり身につけましょう。型が身につけば、応用ができるようになります。
ビジネスメールの7つの要素
(1)宛名
相手の名前を正しく書きます。敬称(様・さん)の付け忘れに注意しましょう。
(2)挨拶
社外には「お世話になっております」、社内には「お疲れ様です」が一般的です。
(3)名乗り
自分の名前を書きます。
(4)要旨
メールを送った目的や用件を書きます。
(5)詳細
要旨に関する詳しい説明を書きます。情報の抜け漏れがないように書くのが鉄則。相手が知りたいことが書かれていないと質問がくるなど、書いていれば発生しないやりとりに時間を奪われます。
(6)結びの挨拶
「よろしくお願いいたします」が一般的です。
(7)署名
名刺に書いている情報を書きます
ビジネスメールの書き方の原則は、7つの要素で構成される基本の型に従うこと。仕事で通用するメールができあがります。
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平野友朗
一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事、アイ・コミュニケーション代表取締役。1974年生まれ。筑波大学人間学類(認知心理学)卒業。広告代理店勤務を経て2003年に日本で唯一のメルマガコンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会設立。ビジネスメール教育の第一人者として知られ、メールマナーに関するメディア掲載1,000回以上、著書26冊。メールを活用した営業手法には定評があり、メールとウェブマーケティングを駆使して5,000社の顧客を開拓。メールスキル向上指導、組織のメールに関するルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などを手がける。官公庁や企業などへのコンサルティングや講演、研修回数は年間120回を超える。著書や監修本には『仕事を高速化する「時間割」の作り方』(プレジデント社)、『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』(文響社)、『カリスマ講師に学ぶ! 実践ビジネスメール教室』(日経BP社)、『誰も教えてくれなかった ビジネスメールの書き方・送り方』(あさ出版)、『イラッとされないビジネスメール 正解 不正解』(サンクチュアリ出版)、『短いフレーズで気持ちが伝わる モノの書き方サクッとノート』(永岡書店)などがある。
セミナー情報「ビジネスメールの教科書」、メールマガジン「平野友朗の思考・実践メルマガ【毎日0.1%の成長】」。
日本ビジネスメール協会
日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に27冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。
ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。