世の中の大半の仕事は、人がいることによって成り立つ。そもそも取引先がいなければ仕事の受注がないわけだし、上司や先輩のサポートもなくいきなりバリバリと業務はこなせない。
多くの他人が関係してくる以上、相手に対する敬意やマナーが必要となってくる。だが、職場で使用するツールの使い方や業務上必要なタスクを先輩社員からレクチャーされることはあっても、ビジネスマナーをイチから教えてもらった機会がある社会人は少ないはずだ。そのような人は、無自覚のうちに礼節を欠いた態度をとってしまい、ビジネスチャンスを逸してしまう恐れがある。
そこで本連載では、筑波大学および札幌国際大学の客員教授を務めながら、大学や官公庁などで「職場に活かすおもてなしの心」をテーマとした講演や研修を手掛ける江上いずみ氏に、社会人として知っておくべきビジネスマナーを解説してもらう。
人の第一印象は15秒以内に決まる!?
就活生を厳しくチェックする人事担当者や、新社会人を迎える上司・先輩方は、人柄や性格、能力をみるのはもちろんですが、それ以上に「第一印象」を重要視していることをお伝えしてきました。それは「一緒に働きたい仲間かどうか」を見極めるわけですから、当然のことといえます。
その第一印象を高めるための5原則(「身だしなみ」「表情」「態度」「挨拶」「言葉づかい」)があります。就活の面談においても、新入社員として職場に行く際にも、初対面の方々に良い印象を与えるための「身だしなみ」は、少し気を配るだけで大きく評価が違ってきますから、スーツの選び方や着こなしのマナーはぜひ知っておいていただきたいポイントです。
しかし、身だしなみが完璧だったとしても、面接のとき、あるいは新社会人として配属された部署に行ったときに、「話をしたらガッカリ!」などという印象を与えては、一気にその人の評価は下がってしまいます。
人の第一印象のうち、「見た目」、つまり視覚による印象は3~5秒で決まりますが、さらにその次のステップとして、会話をしたときの聴覚からくる印象は10~15秒で決まってしまいます。つまり、相手の前に立ち、交わした最初の言葉と挨拶だけで、その人の印象がほぼ決まってしまうということです。
そのように考えると、初対面の人や上司、お客様にきちんとした敬語でお話することができるか、尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い方が正しくできるかは、社会人として大変重要なポイントといえます。