新社会人は学ぶことが沢山あります。正しい敬語の使い方や電話での応対方法など、一度に短期間で覚えることは大変!

そこで紹介したいのが、3Mの「まなびに+プラス」という教育コンテンツ。ポスト・イット製品を使った小中高生向けの学習方法を紹介していて、学習アドバイザーであるプラスティー教育研究所代表取締役の清水章弘さんが内容監修しています。

  • 新社会人は覚えることが多くて大変

子ども向けの学習方法を社会人に? と思う方がいるかもしれませんが、「学習」という行為はインプットとアウトプットの繰り返しで、年齢による違いはありませんよね。また社会の変化にあわせて教育改革が行われ、学習方法も新しくなっているそうです。

ということで、清水さんから詳しいお話をうかがいました。

インプットとアウトプットを鍛える

まず、清水さんに「まなびに+プラス」で紹介している、新しい学習方法について聞きました。

清水さん「結論から言いますと、これからの学習で鍵となるのは『インプットは効率化』『アウトプットは習慣化』です。特にアウトプットは日々トレーニングしないと鍛えられません」。

清水さんがこう断言する理由には、文部科学省による教育改革があります。これは従来の一方的に教えられる「受け身型・知識偏重型の教育」から「新たな教育(課題解決型・双方向授業)」への転換(※)で、新しい学習のやり方が子どもには必要なのだそうです。
※参考:文部科学省『日本再生のための教育再生戦略10』

清水さん「これからの子ども達は、従来の学びに『足し算』した更に多くのインプットや情報量処理能力が求められます。加えて、科目の枠組みを超えた学びも必要となります」。

具体的には2020年度より実施される大学入学共通テスト(旧大学入試センター試験)では、全教科で記述力や、複数のテキストを読み取る力、教科・科目の垣根を越えて知識を組み合わせる力が求められるなど、アウトプット中心の入試となるそうです。

  • プラスティー教育研究所代表取締役の清水章弘さん

これは社会人に置き換えると、「高速でPDCAを回し、インプット、アウトプットを行う」ことが求められるということですね。それでは清水さんがいう「新しい学習」とはどのようなものでしょう。

学習の4要素を回転させる

清水さん「まずは、原理・原則の話から。そもそも、学習は『できない』を『できる』にすること。そして、4つの要素で構成されています。『予習』『授業』『復習』『テスト』です。これからの学習では、この4要素を、インプットとアウトプットを組み合わせながら、適切なサイクルで回転させることが重要だと考えています」。

  • 学習のサイクル 提供:プラスティー教育研究所

学習は「できない」を「できる」にすること。問題を解くことは単なる作業、(理解)できない問題を調べ、質問して解き直して理解することが学習だといいます。

新社会人に当てはめると、予習は座学研修、授業は現場でのOJT、復習は研修やOJTの内容を振り返ること。そしてテストが実業務となるのではないでしょうか。

新社会人が最初に苦労するのは仕事を覚えること、つまり4つのサイクルでは復習(振り返り)が重要となるでしょう。

そこで清水さんに効果的な復習方法をお聞きしました。

3つのツールで仕事を学ぶ

清水さんがお勧めするのが、ポスト・イット製品を利用した学習ツール。その中から、新社会人向けの3種類を紹介します。

ゲーム感覚で敬語を覚える

まずはインプットを効率的に、そしてゲーム感覚で覚える「暗記ドア」です。方法は簡単で、覚えたい内容を問題にしてポスト・イットに書きます。それを自宅の冷蔵庫や部屋のドアに貼り付けるだけ。

書く内容は、「自社製品やサービス」「社内システムの使い方」「競合他社」、「市場規模」など。それから、社会人に最も大事(?)な「敬語の使い方」でしょう。そして問題すべてに答えられるまで「開けられない」ルールとするそうです。

  • 冷蔵庫のドアに覚えたい内容を貼り付ける

例えば、「先輩から仕事のヒントを教えてもらった。御礼を言う場合は?」という敬語問題。こちらの問題、誤りは「大変参考になりました」で、正しくは「大変勉強になりました」です。

アウトプットを繰り返すことが、記憶に定着化させることに非常に有効な方法だと清水さんは言います。実際、大学受験の勉強で清水さんも実践して、一番覚えたい内容をトイレのドアに貼っていたといいます。

清水さん「大至急ドアを開けなければならない状況なので、急いでドアを開けるよう必死で覚えました(笑)」。

普段使うノートでミスを改善

次に紹介するのは「ミスらんノート」。これは自分の見直したい内容をノートの最初のページにまとめるツール。まずは自分のしたミスをチェックし、ミスの内容や原因を把握します。そしてミスが起きた状況を問題としてポスト・イット製品に書き出します。

  • 普段使うノートでミスの改善習慣を身に付ける

例えば自分のミスが「取引先からの先輩への伝言を伝え忘れた」だった場合、伝言を受けた後、別の作業をして忘れてしまったのが原因。なので「伝言があれば、すぐにメモする」と課題と解決策を書いて、ポスト・イット製品を普段使うノートの表紙裏面に貼り付け完了です。

実際に仕事で起こったミスや、自分が弱点と思う部分の見直し、ミスの改善習慣を身に付けるのが目的で、書くことにより、自分の知識をまとめ、頭の中を整理できるそうです。

書き込んで貼るだけ

最後に紹介するのが「書き込み読書メモ」。仕事で使う資料に「重要な箇所」「疑問点」などを直接書き込み、書いた箇所にポスト・イット製品を貼るだけ。既に実践している方は多いかもしれませんね。

  • 資料のポイント確認で活躍

普段の業務だけでなく、社外での発表やプレゼンテーション時に、強調したい部分にポイントを付けて覚えるなどでも利用できそうです。


仕事を早く覚えて、会社の戦力になりたいと思う新社会人は多いでしょう。最近は、働き方改革が進み、残業時間も厳しく管理される企業が多いようです。

限られた時間を有意義に使うためにも、効率よく覚えて業務にフィットできるようしたいですね。

取材協力:清水章弘(しみず・あきひろ)

プラスティー教育研究所
代表取締役
1987年千葉県船橋市生まれ。海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て、東京大学大学院(教育学研究科)修士課程修了。新しい教育手法・学習法を考案し、20歳で起業。「勉強のやり方」を教える学習塾を経営する傍ら、様々な学校・教育委員会・企業の教育アドバイザーを務める。著書は『現役東大生がこっそりやっている、頭がよくなる勉強法 』(PHP研究所)等、12冊。