朝一に立ち寄ったカフェの様子。その後、ひとりまたひとりと、地元の人たちが入店してきた

英国主権下時代を経て国が築かれてきたニュージーランドは、食料自給率が300%(カロリーベース)とも言える農業・酪農大国。新鮮で安全な素材が容易に手に入るのが何といってもこの国の魅力だ。朝食を外で食べる人も多いらしいが、そんなニュージーランドの朝食にはちょっと興味深いプレートがある。

簡単な朝食+モーニングティ

朝食のスタイルは都市か地方かでも変わってくるが、最近の傾向では忙しいビジネスパーソンでもささっと食べられるシリアルやミューズリー、シリアルバーが朝食の定番のよう。パンなら、ボーゲル・ブレッドと呼ばれる穀物をたっぷり使ったパンにマーマイトと呼ばれる酵母からできたペーストを塗ったり、ベイクドビーンズやアボカド、缶詰めのスパゲティをパンにのせて食べたりなど、比較的簡素なものを朝食に選んでいる。

そして、簡素な朝食を補う役割としても、英国伝統のモーニングティとアフタヌーンティ文化がニュージーランドには根付いている。ニュージーランドの一般的な会社には、10時と15時に15分程度のモーニングティとアフタヌーンティの時間があるようで、スコーンやキャロットケーキのようなお菓子とともに、紅茶やコーヒーで小休止をするという。町のカフェにはこうしたお菓子もそろえられているが、どれもサイズが大きく、クリームがたっぷりだ。

ニュージーランドでも、ミューズリーやシリアルなど簡単なもので朝食を済ませる人が増えている

10時頃、お茶とともにキャロットケーキなどのスイーツもいただく

肉も卵もポテトもドーン!!

街のカフェに行くと様々な朝食が楽しめるが、ニュージーランドならではというと、一日中食べられる「ビッグ ブレックファスト」だろう。ただし、これを注文するなら覚悟が必要だ。カフェによって内容は異なるが、ベーコン、ソーセージ、目玉焼き、ハッシュドポテト、焼きトマト、トーストが一般的なメンツ。「どうぞ」と目の前にプレートが来た時、そのあまりのボリュームについ笑ってしまった。

これが「ビッグ ブレックファスト」。肉もポテトもパンも玉子もみ~んな一緒だ!

筆者が食べた「ビッグ ブレックファスト」は17.9NZドル(約1,650円)。肉汁があふれ出す巨大なソーセージ、カリっとした歯ごたえのベーコン、味に変化をもたらしてくれるトマトレリッシュ、ホクホクのハッシュドポテトを2つ、目玉焼きを2つ、トーストを食べて……と言いたいところだが、やはりひとりでは食べきれなかった。

「本当にこれを朝食に食べるんですか?」と地元の人に質問したところ、朝食というよりかは昼食で食べる人が多いとのこと。カフェは夕方くらいまで開いているようなので、好きな時間に「ビッグ ブレックファスト」をチョイスするようだ。とは言え、プレートはシェアするのではなくひとりで食べるのが一般的だという。

カフェなどでは、エッグ ベネディクト(写真のものは17.9NZドル=約1,650円)も朝食に好まれている。そして、やっぱりボリューム満点だ

もちろん、「ビッグ ブレックファスト」以外にも、エッグ ベネディクトやサンドイッチ、ベーグル、トーストなど、日本でも知られているメニューも朝食に登場する。カフェで周りを見てみると、がたいのいい男性が店員と談笑していた。ニュージーランドのエネルギッシュな人たちにとってぴったりの朝食が、この「ビッグ ブレックファスト」なんだろうなと確信した。

※1NZドル=91.9円で換算。記事中の価格・情報は2014年12月取材時のもの