ふだんの友人との会話と仕事で使う言葉が異なるように、ビジネス英会話も、日常の英会話とは少々異なります。でも、あまり心配しなくて大丈夫。このシリーズでは、知っておくときっと役立つ“ビジネス英語のキホン”を、英会話イーオンさんに教えてもらいます。
英語でメールを書くことに苦手意識を持つ人は多いかもしれませんが、決まり文句や定型文などの“お約束ごと”を覚えておけば問題なし。第7回は、英語のビジネスメールをスラスラ書く&読むためにおさえておきたい「基本のフォーマット」をご紹介します。
英文ビジネスメールの基本フォーマット
英文ビジネスメールの基本フォーマット(構成)は宛先の次に、①件名、②宛名、③本文の導入、④本文(用件)、⑤本文の結び、⑥締めの言葉、⑦署名(会社名、名前など、差出人の情報)という流れが一般的です。例文は以下の通りです。
①件名
Subject: Appointment Confirmation for **(目的) on **(日時)
②宛名
Dear Mr. Miller,
③本文の導入
It was great to finally meet you in person last month.
(先月、念願だった直接のご対面が叶い、うれしかったです。)
④本文(用件)
I’m writing you to confirm your appointment to visit our office next week.
(details: Date, Time, Place, Agenda)
If you need any assistance, please don’t hesitate to contact us.
(来週弊社にお越しいただくお約束についての確認でご連絡しました。)
(詳細:日時、場所、話し合う内容)
(こちらでできることがございましたら、ご遠慮なくお申しつけください。)
⑤本文の結び
I look forward to seeing you soon.
(近日中にお目にかかれますので、楽しみにしています。)
⑥締めの言葉
Best regards,
⑦署名(会社名、名前など、差出人の情報)
Hanako Tanaka
ABC Company
(details: Address, Telephone number, Email)
①「件名」には、用件に応じた単語をいれると伝わりやすい
日本語でメールを書くときと同様に、完結で分かりやすい内容を心掛けることが大切です。例文では「appointment confirmation(アポの確認)」としましたが、目的や時間まで具体的に書くことでスパムと間違われる可能性が減るでしょう。何かについて質問するメールであれば、「Question(質問)」という言葉を使うよりも、「Inquiry(問い合わせ)」という言葉の方がビジネスメールではよく見られます。例えば、Inquiry about the Invoiceとすると「請求書についての問い合わせ」という意味になります。
依頼をする時には「Request」、招待するときには「Invitation」という言葉も使われます。また、何か急ぎで対応が必要な場合には、件名の最初に「URGENT」とつけると、急ぎの連絡であることが伝えられます。
②「宛名」は敬称+ラストネームを
いきなりファーストネーム(下の名)での呼びかけはやカジュアルなスタイルはNGです。Mr.やMs.などの敬称とラストネーム(名字)が無難でしょう。敬称とファーストネームのコンビネーションはありませんので、こちらもご注意を。Mr.は男性に使う敬称で、Ms.は女性に使います。
受取人の名前を知らない時や、特に指定しない場合には、「To whom it may concern,」や「Dear Sir/Madam,」と書くこともあります。日本語でいう「ご担当者様」に近いフレーズですね。
また、昨今のジェンダーへの意識の高まりによって、新しい敬称が生まれています。英語で性別を問わずに使える言葉をgender-neutral(ジェンダーニュートラル)と言います。男性と女性を区別せずに両性にMx.(「ミクス」のような発音)という敬称を使う、という動きも始まっています。ただ現時点でMx.のようなgender-neutralな敬称を積極的に使うべきかどうかは、とても微妙な問題です。せっかくの気遣いが逆効果にならないよう、メールを送る相手が、こういった動きをどのように受け止めているかどうかを慎重に確認しましょう。
③「導入」書き出しはフレンドリーに、ただし簡潔に
ビジネスメールであってもフレンドリーなほうが良いですから、「I hope this email finds you well.」(ご健勝のことと存じます。)という書き出しをよく見ます。自己紹介がしたいことを明確に伝えたいのであれば、「Allow me to briefly introduce myself.」(僭越ながら、簡単に自己紹介をさせてください。)と言ってから、「I am Hanako Tanaka, the marketing director at ABC Company.」(ABCカンパニーでマーケティングディレクターをしております、田中花子と申します。)と続けると良いでしょう。ただし、長々と書くのはNG。
名前だけでなく、どの会社のどういうポジションであるのかも、冒頭で伝えておくのがよいでしょう。これまでに相手とのやり取りがあるのであれば、「Thank you for…」と何か感謝のメッセージを伝えられますし、「I hope you are having a great day.」(○○様におかれましては、ご健勝のこととお喜び申し上げます。)などと、相手への気遣いが感じられる書き出しもいいですね。直接会った人には、例文の様に「It was great to finally meet you in person.」(念願だった直接のご対面が叶い、うれしかったです。)と書くと、本当に会えたうれしさを相手に伝えることができます。
④「本文」目的別の参考フレーズ
●依頼
It would be greatly appreciated if you could help us with a project in Tokyo.
(東京でのプロジェクトにご協力いただけましたら幸いです。)
●確認
I’m writing you to confirm your appointment to visit our office next week.
(来週のご来社についてのご確認です。)
Date and Time: 3p.m., Thursday, July 17th (日時:7月17日 木曜日 午後3時)
Place: Conference Room #6, Building 21 (場所:21ビル 第6会議室)
Agenda: Last year’s performance review (議題:前年の人事考課)
Feedback on the new business strategies (新規ビジネス戦略に関するフィードバック)
If you need any assistance, please don’t hesitate to contact us.
(こちらでできることがございましたら、ご遠慮なくお申しつけください。)
●問い合わせ
I’d like to ask if there are still seats available for the upcoming training session.
Would you please let me know by next week Friday?
(今度開催予定の講習会にまだ空きがあるかをお伺いできればと存じます。)
(来週の金曜日までにお知らせいただけませんでしょうか。)
●提案
After listening to your presentation, our tech team came up with a couple of new ideas.
(プレゼンテーションをお聞きし、弊社の技術チームでいくつか新しい案をお出ししました。)
1.***
2.***
Could you give us some feedback at your earliest convenience?
(お手すきのときで構いませんので、ご意見を頂戴できますでしょうか。)
●クレーム
I canceled my monthly subscription on January 17th, but it seems like I was charged a monthly fee last month. Could you please check on this and get back to me?
(1月17日に月額のサブスクリプションを解約いたしましたが、先月分がまだ課金されているようです。ご確認のうえ、折り返しご連絡いただけますでしょうか。)
Thank you in advance for your help.
(どうぞよろしくお願いいたします。)
●お礼
Thank you very much for taking the time to meet with me yesterday.
I really appreciate all your advice that you have given to me.
(昨日は私のためにお時間を割いていただきまして、誠にありがとうございました。
アドバイスをいろいろと頂戴し、本当に感謝しています。)
⑤「結び」“ご確認ください”や“ご返信お待ちしています”にあたるフレーズ
メールを受け取った確認が欲しい場合は「Please confirm the receipt of this email.」(このメールの受領をお知らせください。)と書くと良いでしょう。「お返事お待ちしています」という意味で「I hope to hear back from you.」や、例に挙げた 「look forward to(~を楽しみに待つ)」を使って、「I look forward to hearing back from you.」(ご返信を楽しみにしています。)と結ぶのも良いでしょう。
本題はここで完了しますので、最後まで読んでくれたことに感謝して「Thank you for reading this email to the end.」(最後までお読みいただきありがとうございます。)や、日頃お世話になっていることに関する感謝として「Thank you for your continued support.」((意訳)今後ともよろしくお願いいたします。) と結ぶのも良いでしょう。
⑥「結語」は、“必ずつけるもの”と考える
ビジネスメールでは「Best regards,」や「Warm regards,」をよく見ます。定番の結語としては、「Sincerely,」、敬意を強く伝えたい相手には「Respectfully,」も見ることがあります。結語がないメールをあまり見たことがないので、シンプルな一言であっても基本的にはつける必要があるものだと思います。慣例として、ビジネスメールではつけるのが当たり前(あるいは、メールを書く段階で自動的に出てくるように設定している)と考えて良いでしょう。
少し、肩の力が抜けた言い方だと「Best wishes,(幸運を祈ります)」や「Many thanks,(いろいろありがとうございます)」という言葉もあります。
⑦差出人名(署名)の書き方
1.名前(フルネーム) 2.役職や所属部署 3.会社名 4.会社の所在地 5.電話番号 メールアドレス 6.会社のURL という順番が一般的ですが、最近ではSNSやWeb上でさまざまな情報を共有する世の中になってきましたので、1~3(名前、ポジション、会社名)は署名のトップに書き、 それ以外の情報は、WEBや動画に移動して確認してもらうような場合も見られます。もちろんそれぞれの会社の方針によりますが、英語のビジネスメールの署名の部分の最初のラインには、フルネームがくることが基本です。
今回はビジネスメールの基本フォーマットをご紹介しました。後編では、英語のビジネスメールを書く際におさえておきたいポイントを解説します。