今回はまず次のリンク先へ行き、一つ写真を見てもらうところから始めたいと思います。彼は現在13歳。名前は"Dugan Smith"。至って明るく健康な普通の男の子……彼の右脚を除いては……。

この写真を見て、我が目を疑った人も多いでしょう。しかし紛れもなくこれが彼の現在の右脚なんです。

2008年、Duganが10歳のとき、彼は転んで"femur(大腿骨)"を骨折。そのとき治療に当たった医者は膝のちょっと上あたりにソフトボールぐらいの大きさの"malignant tumor(悪性腫瘍)"があることを見つけ、即座に"amputation(足の切断手術)"を勧めてきたんです。

医者によると、骨折したことで腫瘍が出血を起こし、健康な脚の筋肉にまで癌による汚染が始まっているとかで、一刻の猶予も許さない状態にあったんだそうです。そしてそのとき示された「切断法」の選択肢の一つが、現在のDuganの右脚の形状につながったというのが今回のお話。

従来なら悪性腫瘍が見つかった箇所(膝上)から下の部分の「脚と足」のすべてを切断となるのでしょうが、今回与えられたもう一つの選択肢は「悪化しているところだけを切断・・・彼の場合、膝を中心とした上下の部分のみを切除」で、ふくらはぎから下の部分は残し、それを膝上の部分と結合するといったもの。ただし、写真でもわかるように、脚の向きは逆なんです。

これは"rotationplasty(回転形成術)"と呼ばれ、年に12例ほど、それも子供のみにしか施れないめずらしい施術法で、その最大のメリットは(なぜ向きを逆にしなければならないかはこの記事では詳しくは説明されてはいませんが)"it can leave the nerve that controls his foot intact"とあるように、「脚と足の動きを制御する神経が残せる」というもの。

この"backward-leg procedure(逆脚向き法)"を勧められたとき、両親がなかなか決断できず悩みに悩んでいる中、Duganはあっさり「じゃ、それでお願いします。僕はそれがいい!!!」と言い切ったそうです。なぜなら彼が思ったのは「野球ができる、なら何の問題もないじゃん」。そしてその決断が彼の両親を動かし、承諾書にサインするに至ったんだとか。

そして彼の現在の右脚は :

"Dugan's calf now acts as his thigh, his ankle acts as his knee and his foot acts as his shin bone. He also uses a prosthetic ankle and foot."と説明されているように、「ふくらはぎ」は「太もも」として、「くるぶし」は「膝(膝関節)」として、「足」は「すね(すね骨)」として機能しているんだそうです。

つまり彼の場合は「くるぶし」と「足」の役目を果たす部分はなくなることになるので、その部分は"prosthetic parts"、「義くるぶし」と「義足」で補わなければなりません。しかしDuganはこの結果に大満足。リハビリで約一年は棒に振ったものの、現在は学校に戻り野球チームにも復帰、ピッチャーと一塁のポジションで大活躍しています。

歩くときと走るときは多少脚を引きずるそうですが、それ以外は全く違和感がないんだとか。これって正に医学の驚異だと思いませんか。

今回のURLは、

Meet the boy with the backward leg - TODAY Health - TODAY.com興味がある方は是非チェックしてみてください。

英語ワンポイント :

記事内に"The pros out-weighed the cons."という文章がありますが、この意味は「利点、有利性が不利、不便性に打ち勝った」というもの。

つまり英語では"pro(s)" は"advantage"性が強く、"con(s)"はその逆で"disadvantage"性が強いことを言いい、"pros and cons"、で賛否、または、賛否両論なんてことを言い表します。

ではまた次回。