
佐原雅之、少数株ドットコム 山中裕さん
◆眠る株式銘柄の課題にどう挑む?
佐原:今回は「良い政策保有株式 悪い政策保有株式」の著者、山中裕さんにお話を伺います。
山中:私は、光学機器メーカー・HOYAの創業者 山中茂の孫で、幼い頃から「会社は誰のものか」「経営者を誰が監督するのか」が身近な問いでした。2007年、HOYAによるペンタックスの買収を見て、創業家の一員として「将来の主力事業を育てる投資が必要だ」と問題を提起し、2010年のHOYAの株主総会で15議案を提出しました。その内容は、役員報酬の個別開示や社外取締役だけの会議など、今では当たり前になったガバナンス改革に関するものでした。
持ち株は1%以下でしたが、その後16年間にわたり、HOYAをはじめとする上場7社に対して計174議案を提出しました。最高賛成率は約48%、賛成率が4割を超えた議案が9件ありました。さらに、会社が自ら取り入れた提案が12件ありました。私の「企業価値を高めたい」という思いと同じ方向に会社が動いたことは、無駄ではなかったと思っています。このように、投資家として企業と向き合うなかで、上場企業の財務担当者や経営者から「政策保有株をどうすればいいか」と相談されるようになりました。
なかでも多かったのが「非上場株をまとめてでも早く手放したい」という相談でした。多くの方が、発行会社に買い取りを断られたら「もう打つ手がない」と思い込んでいます。実はそれは誤解で、譲渡制限付き株でも、制度上、第三者へ譲渡する道はきちんと用意されています。そこで、少数株の買い取り専門会社 少数株ドットコムを創業しました。現場で見えてきたのは、4万銘柄が眠っているという事実でした。こうした状況を目の当たりにしたことがきっかけで、今回の書籍を執筆しました。「売るべき株」と「持つべき株」の見分け方から売却の手順、社内を説得する論理まで、幅広く取り上げています。
なお、本書の冒頭に掲げた「壁を最初に破る者は、いつも血を流す」という言葉は、私が好きな映画「マネーボール」に登場するセリフです。この壁を最初に破ろうとする人たちのために書きました。
佐原:山中さん、ありがとうございました。
<番組概要>
番組名:ビズスタ THE REAL WELLNESS
パーソナリティ:佐原雅之(ビズスタ編集長)
放送日時:毎週土曜7:25~7:30
番組サイト:https://www.tfm.co.jp/podcast/wellness