東京大学先端科学技術研究センターの江崎貴裕特任准教授、井村直人プロジェクトリサーチフェロー、西成活裕教授と三井不動産、OpenStreetらによる研究グループは、シェアサイクルの車両再配置を過去の運用データに基づいて支援する新しい手法を開発し、その効果を実際のサービス環境で明らかにした。

  • 時間帯別の目標台数と優先順位を現場に示す再配置支援の枠組み

    時間帯別の目標台数と優先順位を現場に示す再配置支援の枠組み

定められたステーション(駐輪ラック)で自転車を借り、返却する自転車の共同利用サービス「ステーション型シェアサイクル」では、各ステーションの収容台数に上限があるため、空車では借りられず、満車では返せないという機会損失が生じている。そのため、過去の利用データから時間帯別の目標台数と優先順位を算出し、現場の業務を支援する手法を開発した。

巡回ルートまで中央で指示する従来手法とは異なり、目標台数のみを提示して実際の運搬経路は現場スタッフの裁量に委ねる「ハイブリッド型」の運用設計が特徴である。大規模な計算を必要としないため、中小規模の事業者でも導入しやすい。

  • 図1:需要パターンの分類と時間帯別の「目標台数」の算出(模式図)

    図1:需要パターンの分類と時間帯別の「目標台数」の算出(模式図)

OpenStreetが運営する千葉市内の「HELLO CYCLING」で行った2週間(12月15日~28日)の実証運用では、再配置1台あたりの機会損失回避率が従来運用や単純な再配置を大きく上回った。この手法は特定のサービスに限らず、電動キックボードやEVバッテリー交換など、ステーション型のシェアモビリティ全般への応用が期待される。

  • 図2:再配置1台あたりの機会損失回避の比較(ランダム再配置・従来運用・提案手法)

    図2:再配置1台あたりの機会損失回避の比較(ランダム再配置・従来運用・提案手法)

今後の課題としては、対象ステーションの拡大、季節変動や新規ステーション開設への追随、車両運搬経路の最適化、利用者側のインセンティブ設計との組み合わせが挙げられるという。