NTTグループが毎年夏休みに開催する参加型ワークショップ「NTTドリームキッズ みらいスクール」が人気を集めている。

NTTが提供する最新技術や研究内容を子どもたちに知ってもらうことを目的としたこのイベントは、さまざまな技術をたくさん体験できるアトラクション形式で2006年にスタート。その後、コロナ禍でオンライン開催に切り替わり、3年前からリアル開催に戻した際に、少人数グループで参加する体験型ワークショップへと変化した。今回は大阪会場の様子を紹介する。

  • はじめて出会う8人が、ひとつのチームを組んでプログラムに挑む

    はじめて出会う8人が、ひとつのチームを組んでプログラムに挑む

光で音が伝わる? 電子工作で「光の糸電話」づくり

大阪会場は8月5日、京橋のNTT西日本本社敷地内にある「QUINTBRIDGE」(クイントブリッジ)で開催された。プログラムは1回あたり約2時間で、電子工作と3つの最先端技術を体験するというもので、午前1回、午後2回の計3回開催された。参加者は小学3年生から6年生で、1回につき32人が8人1組で4つのチームを作り、協力し合いながらプログラムに取り組んだ。

最初に自己紹介が行われたが、NTTの研究所で作られた「感情くんカード」と、 1本のチューブの端につながれた2つのボールを握る強さや早さで相手に気持ちを伝え合う「触覚共有ボール」を使って言葉以外のコミュニケーションを取り合うという、ちょっと変わった方法でアイスブレイクの効果を上げていた。

  • ボールの握り方が相手に伝わる「触覚共有ボール」を使って自己紹介

    ボールの握り方が相手に伝わる「触覚共有ボール」を使って自己紹介

次の電子工作では、NTTが進める次世代技術「IOWN」(アイオン)をテーマに、光を使って音を伝える光の糸電話づくりにチャレンジした。光で音を伝えるという仕組みは大人でもなかなか理解が難しいものだが、工作の内容を少しずつステップアップする方法で理解できるよう工夫されていた。

  • 説明はとてもシンプルで、時間も短く、テンポ良く進行していた

    説明はとてもシンプルで、時間も短く、テンポ良く進行していた

まずは乾電池とLEDをつないだ送信機と、紙コップに小型の太陽電池を取り付けた受信機を作る。次に電子オルゴールと小型スピーカーをつなぎ、有線で音が聞こえることを確認。そこからスピーカーをLEDにつなぎ換え、受信機で光を受けて音が鳴ることを確かめる。

難しい仕組みを言葉で説明するのではなく、光の点滅にあわせて音が聞こえるようにしたり、あいだに光ファイバーを模したアクリル棒をはさんで音を出したりとさまざま工夫をしながら子どもたちは光糸電話の基本的な仕組みを理解していたようだ。

  • 手を動かしながら光が音を伝えることを理解していた

    手を動かしながら光が音を伝えることを理解していた

生成AI、触覚、筋電、3つの最新技術をゲーム感覚で体験

参加者は後半のワークショップで、音声合成技術、筋電技術、触覚技術の3つをそれぞれ体験した。

音声合成技術は、マイクで録音した自分の声をその場でAIを使って生成して会話をさせるというもの。使い方としてはわかりやすく、AI合成音声は慣れているものの、自分の声が合成できるところに興味津々のようであった。

  • その場で自分の声を生成する音声合成技術を体験

    その場で自分の声を生成する音声合成技術を体験

触覚技術は、大阪・関西万博のNTTパビリオン横に展示されていたものと同じ技術で、遠く離れたところでも声と振動を同時に伝えることでコミュニケーションがよりリアルになるというもの。

会場では、振動を伝えるボードの上に立って音を聞き、目の前にあるディスプレイに再生された場所を画面が隠れた状態で当てるというクイズ形式にしていた。子どもたちにとっては思っていた以上に臨場感があったようで、答えの映像に引き込まれている参加者もいた。

  • 触覚技術は映像の臨場感を高めてくれる

    触覚技術は映像の臨場感を高めてくれる

最も盛り上がっていたのは、筋電信号を使ってカラダの動きでコントロールするドローンゲームだ。腕に装着したサポーターで筋肉を動かした際に生じる電気信号(筋電)を読み取り、ドローンのスピードや左右の移動をコントロールするのだが、それぞれの操作を別々に担当するチームプレイというのがポイントだ。

日ごろからゲームに慣れ親しんでいるだけあって、今まで体験したことがないコントロール方法でもあっという間に操作を理解して、ゲームにのめり込んでいた。

  • 腕だけで操作するドローンゲームはチームプレイで仲間意識も一気に高まった

    腕だけで操作するドローンゲームはチームプレイで仲間意識も一気に高まった

最後の締め括りでは、さまざまなキーワードが書かれたカードを使って、未来の街や暮らし方について意見を出し合った。出会ったばかりなので、恥ずかしがって終わるのではないかと思っていたが、ワークショップですっかり緊張もとけたようで、活発に意見を交わしていた。

  • カードを使いながらアイデアをどんどん出していく

    カードを使いながらアイデアをどんどん出していく

「公衆電話ってどう使うの?」子どもたちが171にも挑戦

個人的に面白いと思ったのが、今回のプログラムとは別に用意されていた「公衆電話・171(災害用伝言ダイヤル)体験」のコーナーだ。

公衆電話は今でも街中ではたまに見かけるものの、実際に使う機会はほとんどなく、受話器をどう扱えばいいかわからない子がいたり、テレホンカードの入れ方がわからなかったり、いかにスマホ社会が浸透しているかを実感させられた。こちらもあまり目にする機会がないだけに、伝言を残す際に、受話器ではなく番号が表示されたディスプレイに向かって話しかけている子もいた。

  • すっかり見なくなった公衆電話は使い方を習いながら操作

    すっかり見なくなった公衆電話は使い方を習いながら操作

  • 171(災害用伝言ダイヤル)の使い方にも挑戦

    171(災害用伝言ダイヤル)の使い方にも挑戦

プログラムは、現場の反響や技術の変化にあわせて、毎年少しずつ改良しているという。

イベントの企画を担当するNTT広報部門の井上遥香氏は、「立ち上げ当初は各地域にて開催していましたが、コロナ以降は誰でも参加可能なオンラインコンテンツを充実させました。並行して各地でのみらいスクールは、体験を重視する現在のスタイルに変化しました。会場は各地のNTTの施設を活用し、ワークショップ形式で、条件が合う全国の他の地域でも開催できるようになりました」と説明する。

参加者にとっても、わかりやすいプログラムで最新技術をじっくり体験できることから、終了後のアンケートは保護者も含めて高評価だという。実際に会場でも、見学席に座っている保護者たちも一緒になって、熱心にプログラムの内容に見入っているのが印象的だった。

現場の運営はNTTグループのNTTアドを通じて行われており、子ども向けイベントの運営に慣れている外部に委託している。現場を担当するNTTアド ライブ・コミュニケーション部門 担当課長/リーダーの飛薫子氏に話を聞くと「みらいスクールは夏休みの自由研究にもなるよう、工作に使った道具を持ち帰って、自宅でさらに理解を深めてもらえるようにしています」とのこと。

NTTドリームキッズのサイトではこの他にも、オンラインでさまざまな体験ができるコンテンツが用意されており、小さな子どもから大人まで一緒に楽しめるようにしているとのこと。夏休みの間にぜひ一度アクセスしてみてほしい。