臼田あさ美は飾らない人だ。

インタビュー前、記者が偶然にもテレビ朝日オシドラサタデー『ターミネーターと恋しちゃったら』(4月4日スタート 毎週土曜23:00~)で臼田が演じる神尾くるみと同姓であり、ほかにも共通点が多いことを伝えると、「それはすごい!」と声を弾ませ、場を和ませる。取材が始まってからも、その空気は変わらない。自分を大きく見せることも、言葉を取り繕うこともなく、自然体に目の前の問いにまっすぐ向き合う。

「無理をしない」「自分を受け入れる」――そんな臼田の言葉の裏から垣間見えたのは、10代から30代の様々な経験を経て培われた確かな“芯”。キャリアや人生に揺れながらも、自分自身と向き合い続けてきたからこそたどり着いた、自然体で前に進むスタンスとは何か。その言葉から、臼田の強さとしなやかさが見えてきた。

  • 臼田あさ美 撮影:島本絵梨佳

    臼田あさ美 撮影:島本絵梨佳

ラブコメ作品のヒロインは初

――今作はタイトルだけでも非常に気になる作品だと思います。臼田さんはどんな印象を持ちましたか?

本当に現実離れした話なんだろうなというのは、タイトルからもイメージできました。私自身、これまでラブコメ作品にあんまり縁がなかったので、自分がこの作品に入るというイメージが全くわかないというところも正直ありました。

――確かにコメディタッチの作品の印象はありますが、ラブコメ作品へのご出演が珍しいですね。

そうなんです。コメディーでも割と日常の中のコメディーだったり、カラッとしたテイストの作品が多くて。ラブコメでも、あまりラブストーリーに関わってこない役所だったりはあったんですが、主人公の相手としてラブストーリーを演じるというのは、多分初めてです。

――それは新鮮ですね! そんなラブコメヒロイン初挑戦になる今作の台本を読んでみた感想を教えてください。

自分が演じる前提で読んだので、照れもありました……(笑)。こんなこと起こるか! とツッコミを入れながらも、思わず笑ってしまったり、続きが気になる自分がいて。「これはおもしろくやれたら、とてもいいものになるんじゃないか」という期待がわきました。

――2話まで台本を拝見したのですが、個人的にはどんな映像になるのかとても気になるシーンもありました。

2話までだと、壁がぶち破られるシーンとかですかね(笑)。もちろんCGを駆使した部分もあるんですが、実はスタッフさんとみんなで「せーの!」と息を合わせて撮影をしたりしていて、手作りのところも結構あるんです。壁のシーンは、見事一発OKで、とてもいい出来になっています。

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Snow Man宮舘涼太の印象は……

――そうなんですね! 転送シーンなども楽しみです。今回、エータを演じる宮舘涼太さんとは初共演ですが、どのような印象を持っていましたか?

宮舘さんは、グループとしても活躍されてますし、バラエティや情報番組などでも拝見してたので、紳士で頭のいい人なんだろうなという印象でした。

――実際にお会いして印象に変化はありましたか?

紳士であることに変わりはなく、本当に落ち着いていて、大人。現場ではおもしろいんですけど、派手にみんなを笑かすというより、ちゃんとツッコむところはツッコんで、ボケるところはボケてみたいなバランスを取ってくださっています。印象が変わったというよりは、改めて本当に頭がいい人だなと感じました。

――宮舘さんの紳士的なエピソードを教えてください。

こういったラブコメ作品をやっていて、ドタバタ劇みたいなシーンがあるというのは、もちろんなんですけど、私自身もセットの中で足を打ったり、走らなきゃいけないシーンでずっこけたりしてしまって(笑)。

そういう時にすかさず「いま結構すごい音しましたけど、大丈夫ですか?」と、エータがくるみを護ってくれるという設定なんですが、宮舘さんは撮影中も心配してくださってますね(笑)。

――今作はロボットと恋愛という部分に注目が集まりがちだと思うのですが、臼田さんが演じる神尾くるみという役柄にフォーカスすると、30代後半の女性が抱える等身大な悩みをリアルに描いている印象を受けました。

物語はありえないような設定なんですけど、くるみは濃いキャラクターがあるわけではなくて、仕事や生活に一生懸命で、どこにでもいるような女性。私自身も共感しますし、観ている方にも共感していただけるんじゃないかなと思います。私もあまり設定を意識せずに、1人と向き合う女性として、演じています。

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臼田あさ美が考える“職業:女優”

――くるみがキャリアに悩む姿も描かれていますが、臼田さんは自身のキャリアについて考えることはありますか?

私たちの職業は、いつも初心に帰るべきだと思っています。積み上げたものが力になることも、もちろんあるんですが、それがあるから大丈夫だと手放しに思ってはいけないなと。すごい作品やすごい役柄に、いつ抜てきされるかもわからないですし、いつ仕事がなくなるかもわからない。そういう不安が、常にある職業だなと感じます。

ただ、一方でやってきたからこその自信や手応えというのは、どんな職業でもあると思うので、自分を信じたり、自分ならできると認めてあげることを知っていくということは、キャリアを重ねることで得られるものだなと思います。

――なるほど。一方でくるみは同期で友人の出産などにも直面して、揺れ動く姿も描かれています。

仕事のキャリアとは別に自分の人生として結婚や出産を選ぶこともあって、そこもいろんな価値観があるし、いつどのタイミングでやってくるかもわからないので、正解もないと思います。くるみちゃんも友達のことはおめでとうと思っているけど、「自分はこれでいいのかな」と少しだけひっかかってしまう。私はその気持ちも共感できます。本当にそういう細かいところですが、リアリティはある作品だなと思います。

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仕事で悩んだときこそ「自分と向き合うべき時間」

――さきほどキャリアについてお話を伺いましたが、仕事に関する悩みを抱えたときに、それを打破する方法はありますか?

私も急に仕事が順調になったり、うまくいかなくなることがあるんですが、それは気持ちの問題だったりして、傍から見たら意外とわからないことだったりもするんですよね。

いま自分のコンディションの問題で悩みを抱えてるかもと思ったときは、とにかくリフレッシュ。趣味や運動など仕事以外の何かを充実させることによって、気分転換で新しい価値観が生まれたりすると思う。私は誰かに話したりするよりも、「今は自分と向き合うべき時間」と思います。

――リフレッシュはシンプルなようですが、重要ですね。臼田さんはどうやってリフレッシュされているんですか?

私は山登りが好きなので、山に行きます。スマホの電波も入らなくて、車の音などの生活音のないところで何時間か歩いていると、かなりリフレッシュになります。

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新たな一歩を踏み出すとき――臼田あさ美が考えることとは

――今作の放送がスタートとなる4月は、進学・就職など新しい道に踏み出す人も多い時期だと思います。臼田さんが新たな道に進むときに考えることや心がけていることを教えてください。

私は新しい作品に入ったり、初日を迎えることが本当に苦手で、どうしても気持ちが落ち込むんです。不安もあるし、人付き合いも得意ではないので、心配の方がどうしても大きくなってしまう。ただ、無理をしないということも大事なので、最初だからがんばろうと力まずに、緊張してしまっているということを受け入れて、自然体でいることが大事なことなのかなと思います。

――そういう考え方は何歳ごろから?

紆余曲折ありました(笑)。明るい方が多い職業ですし、現場に華やかで明るい方がたくさんいらっしゃると、どうしてもがんばらなきゃと思ってしまう日もありました。一方で、「自分は入れない」と閉ざしてしまう日もあって……。

そういう経験を重ねて重ねて、どうしたって自分は自分なんだということに気づいて。やっぱり自分らしくいた方が、長い目で見ても本当の自分でコミュニケーション取れるようになると思えたのは30代に入ってからです。

――臼田さんがお話しいただいた通り、新入生や新入社員の方の多くはで緊張を抱えた状態で新しい環境に臨むと思います。社会人の先輩としてアドバイスなどはありますか?

やっぱり無理をしすぎないこと。自分を自分が理解してあげることが大事だと思います。ただ、興味があることには積極的になることで新しい関係が生まれたりもすると思うので、まずは自分を受け入れる。そしてがんばるところはがんばる、がんばらないところはがんばらないと、自分をちゃんと知って、そこからスタートすることが大事だと思います。

――自分を理解して、切り替えのスイッチを探すところからですね。

どうしてもがんばらなきゃいけない時もあると思うので、その瞬間をきちんと見極められるといいと思います。

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現在41歳「新しい出会いを求めて」

――お話しを伺っていると、臼田さんがこれまでご自身と真摯に向き合ってこられたことが伝わってきます。最後に、臼田さんがこれから向き合いたい“自身の可能性”について聞かせてください。

やはり40年生きていると、だんだん自分はこういう人間だと固めてしまうというか、少し頑固になってしまう部分があるんです。ただ、先輩たちに会うと、これから新しいことを始めたり、挑戦したりしていて。

もちろん、大人になって傷つくこともあると思うんですけど、それでも新しいことに挑戦して戦っている先輩たちの姿を見ているので、私も自分はこうだと決めつけずに、新しい作品や新しい監督とか新しい出会いを求めて、積極的になるところはならなきゃなと感じています。

自分自身がわかっているからこそ、安定した状態で挑戦できると思うんです。若い頃はもっと不安定で、挑戦してみたものの3日坊主だったりとか(笑)。今はもう向き合うと決めたら、腹をくくって向き合う、そのくらい自分の芯が太くなってきているので、タフにやっていけるんじゃないかなという気がしています。

■臼田あさ美
1984年10月17日生まれ。千葉県出身。主な出演作に映画『色即ぜねれいしょん』、『南瓜とマヨネーズ』、映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』、『早乙女カナコの場合は』、『架空OL日記』、ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)、『柚木さんちの四兄弟』(NHK)、『御上先生』(TBS)などがある。映画『愚行録』で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。近年もジャンルを問わず多彩な役柄に挑戦し続けている。