ビザ・ワールドワイド・ジャパンは4月7日、コンテナ海運会社Ocean Network Express Pte. Ltd.が中小規模の荷主企業向けに提供するファイナンス関連総合ポータル「ONE Finance」に、Visaが初のB2Bカード決済サービスとして採用されたことを発表した。
海運業界における決済課題と背景
日本の貿易の99%以上(重量ベース)を担う海上輸送業界では、紙の請求書や銀行振込といったアナログな決済手段が依然として主流であり、取引から売上回収までに時間と手間がかかる構造が続いていた。加えて、為替変動や金利環境の変化がキャッシュフローに直結し、キャッシュサイクルの長期化や請求・消込業務の負荷は、特に中小荷主にとって大きな経営課題となっていた。
こうした状況を踏まえ、同社はONEとの提携を通じ、日本市場においてB2Bカード決済を活用した新たな決済プロセスの構築を支援し、中小荷主の資金繰り改善と海運取引の利便性・透明性の向上に向けた取り組みを推進する。
海運×デジタル決済がもたらす新しい価値
ONEは世界有数のコンテナ海運会社として260隻以上のコンテナ船を運航し、世界120カ国超を結ぶコンテナ輸送サービスを提供している。こうしたグローバルな事業基盤を背景に、今回ONEが導入するB2Bカード決済は、日本市場での実装を起点とし、将来的な海外展開も視野に入れた取り組みとなる。
中小荷主にとっては、後払いが可能なカード決済を導入することで、より資金繰りの柔軟性が高まり、経営負担の軽減につながる。また、支払い確認の即時化により、貨物や書類のリリースが迅速になり、物流全体のスピードと利便性の向上に寄与する。
デジタルプラットフォーム「ONE Finance」との連携
ONEが目指すコンテナ海運事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進するため、Visa主催のワークショップなどを通じ、B2B決済における課題やデジタル化の可能性について検討を重ねてきた。今回、VisaのB2Bカード決済サービスがONEのファイナンス関連の総合ポータル「ONE Finance」に組み込まれたことで、より円滑で透明性の高い請求・支払プロセスが可能となる。
Visaは本取り組みにおいて、海運業界および荷主企業に対し、カード導入のメリットに関する理解促進を図るとともに、荷主のニーズに適した法人カードソリューションの提案やプロモーション活動を支援するほか、ONEにおける他国での導入・展開についてもグローバルネットワークを活用し支援していく。
ONEにとっても業務効率化とリスク低減を実現
今回の取り組みは中小荷主の支援だけでなく、ONE社内の業務改革にも直結する。カード決済データと会計システムの連携により、支払情報の自動突合が可能となり、手作業による照合作業が大幅に削減される。さらに、Visaネットワークによる決済保証によって、未回収・遅延リスクが低減し、資金回収サイクルの安定化にも貢献する。海運業界ではカード決済の普及が進んでいない中、今回の取り組みは、サービス価値の向上を通じて取引量の拡大や新規顧客獲得の可能性を広げる1つのステップとなる。
「Visaは、企業間取引における生産性向上と、安定したキャッシュフローの実現を支援する観点から、本協業を通じてB2B決済の可能性が広がることを期待しています。Visaは今後も、B2B決済に関する知見とグローバルネットワークを活かし、海運業界の決済プロセスのデジタル化と企業間取引の効率化を推進してまいります」(Visa法人ソリューションズ本部長・松田海氏)
