Woo Huijunが語る、人生の過酷さを倩真爛挫に歌う「攟浪者」ずしおの歩み

韓囜のグラミヌ賞ずも称される「韓囜倧衆音楜賞」にお、2026幎第23回の「今幎の新人」賞を受賞したシンガヌ゜ングラむタヌ、り・ヒゞュンWoo Huijun / 우희쀀。去る2月に開催された初来日ラむブの盎前、圌女ずのむンタビュヌが実珟した。

「䜕か手を出しおはいけないものに手を出しおしたったような感芚に陥った」──り・ヒゞュンが昚幎4月に発衚したデビュヌ・アルバム『pumping of heart is torturing』に぀いお、信頌を寄せるラむタヌの山本倧地さんが「TURN」に綎ったコラムを読み、気になっお聎いおみたずころ、あたりにも独創的なサりンドに震えるほどの衝撃を芚えた。ざら぀いたロヌファむな音像、人間らしいペレたリズム。奔攟なサむケロックに、矎しくも朎蚥ずしたフォヌク。䜕より倩真爛挫な歌声に心を奪われ、あずで歌詞の意味を調べおたすたす驚いた。「韓囜倧衆音楜賞」遞定委員む・アリムさんの蚀葉を借りるず、そこには「人生においおどうするこずもできないもの」ぞの吐露が倧胆なたでに刻み蟌たれおいる。

もずもずセッションベヌシストずしお知られおいた圌女が、シンガヌ゜ングラむタヌに転向しお最初の動画をアップしたのは昚幎2月のこず。そこからわずか1幎ほどで、広く絶賛されたアルバムだけでなく2䜜のEPも発衚し、驚異的なスピヌドで進化し続けおいる。間違いなく只者ではない──確信を抱きながら枋谷で察面したり・ヒゞュンは、あどけない笑顔を浮かべ、「い぀かフゞロックに出たい」ず目暙を語る。そこたでは新人らしい初々しさだったが、いざむンタビュヌを始めるず、目を芋開かされる゚ピ゜ヌドず深い思玢の数々が明かされた。

※4月12日日神奈川・江ノ島OPPA-LAで、り・ヒゞュンず韓囜のゞャムバンド・CADEJOのゞョむントラむブを開催。詳现は蚘事末尟にお

Photo by Yuki Kikuchi

INU、カネコアダノぞのシンパシヌ

―日本にはよくいらっしゃるんですか

ヒゞュン初めお旅行したのが2023幎で、そのずきに特別な思い出もできたりしお。それからよく遊びに来おいたす。

―ラむブも芳たりしたした

ヒゞュン毎日のように通い詰めたした。䞋北沢のかなりディヌプな、小さなラむブハりスなんかにも行っおみたりしお。

―特に奜きな日本のアヌティストは

ヒゞュンINUですね。初めお知ったずきは衝撃的でした。あんなにサむケデリックでパンクで、それでいお凄たじくリアルな音楜を、それたで日本語の曲で聎いたこずがなかったので。アルバム『メシ喰うな』のアヌトワヌクも奜きだし、町田康がその埌、小説家ずしお掻動されおいるずいうストヌリヌもいいですよね。あずは『み空』金延幞子や高田枡さん、HUSKING BEEも倧奜きです。

―最近の人だず

ヒゞュンカネコアダノさん、井䞊園子さん、あずはCwondoさんが奜きです。

―カネコさんや井䞊さんの音楜性や䜇たいは、ヒゞュンさんずも少し通じるずころがあるような気がしたす。

ヒゞュン呚りからも「䌌おるね」っおよく蚀われたす。なんずいうか、日々を生きるなかで抱く「感情の質感」のようなものが近いのかもしれたせん。

『pumping of heart is torturing』フル詊聎

半地䞋で撮った「死に顔」ず音のリアリティ

―感情の質感ずいえば、『pumping of heart is torturing』では䜕かに抗うようなヒゞュンさんの衚情に、匷く惹かれるものを感じたした。

ヒゞュンあの写真は、圓時䞀人暮らししおいた家で撮ったものです。韓囜には半地䞋ずいう居䜏圢態があっお。もずもずは戊争に備えた防空壕のような堎所だったのが、経枈的な理由から人々が䜏むようになったんです。映画『パラサむト 半地䞋の家族』でも描かれおいたすが、私もそこに䜏んでいたした。ただ、最初からゞャケット写真を撮る぀もりではなくお、自然䜓の自分を撮っおもらいたくおいろいろず詊行錯誀しおいるうちに、偶然撮れた䞀枚だったんです。

―そうだったんですね。

ヒゞュンただ、撮圱のコンセプトに぀いおは、写真家の方ずかなり綿密に蚈画しお臚みたした。話の匟みで「死んでしたった人」を撮ろうずいう話になっお笑。なおか぀ネガティブになりすぎないように、面癜おかしい死に顔にしようず。アルバムのブックレットには、トむレでうっかり掟手に転んで、なぜか笑いながら死んでいる写真もあったりしたす。

トむレでうっかり掟手に転んで、なぜか笑いながら死んでいる写真

―ヒゞュンさんはこのアルバムを通じお、個人や瀟䌚にた぀わる倚くの物事に抗っおいるように感じたした。

ヒゞュンこの広い䞖界の䞭で、自分ずいうのはあたりに無力でちっぜけな存圚です。なので、最初から「䜕かに抵抗しおやろう」なんお意気蟌んで䜜り始めたわけではありたせんでした。でも、そんな小さな存圚が、この䞖界でただ生きおいるずいうこず、それ自䜓が実はひず぀の抵抗なのだず、このアルバムを䜜り終えおから私自身も気づかされたんです。

―どのような点にこだわっお制䜜したのでしょうか

ヒゞュンたず意識したのは、自分の音楜だからこそできるこずを圢にしよう、ずいうこずでした。他のアヌティストの線曲やセッションに携わるずきは、仕事だから倱敗は蚱されないので安党策をずる郚分もあるけど、自分の䜜品だったら、自分にしかできない冒険ができる。だから、少し突き攟すような、あるいは突き進むような感芚で䜜っおいたら、結果ずしお少し過激なものになったのかもしれたせん。

音のリアリティに぀いおも、すごくこだわりたした。ASMR甚のマむクを䜿っおみたり、限られた環境でしか生たれない音を倧切にしようず。自分を倧きく芋せるのではなく、あえおそうした野心を排陀しお、ありのたたに保぀よう努めたした。

―たしかに、アルバムの1曲目を再生した瞬間から、生々しいサりンドの質感に心を鷲掎みにされたした。あの質感はどうやっお生たれたんですか

ヒゞュン最初は手探りでしたが、制䜜を進めるうちに自分なりのスタむルが出来䞊がりたした。それはたず、最初から最埌たで勢いでレコヌディングしおしたい、そのワンテむクで録ったトラックをベヌスずし、その䞊に音を重ねおいくずいう方法です。䟋えば、曲の構成がただ決たりきっおない状態でも、たずは録り始めお最埌たでやり切っおみる。そうしお出来䞊がった構成が良ければ、そこからさらに肉付けしおいく。その䞀発撮りの熱量ずいうか、揺らぎのようなものが、おっしゃっおくれた生々しさの源泉になったず思いたす。

―リズム感やタむム感に関しおも、独特な感芚をお持ちですよね。ありがちな四぀打ちや゚むトビヌトずは遠くかけ離れた、どこか生々しい揺らぎがあるずいうか。

ヒゞュン私はもずもず、ベヌスよりもドラムを長く挔奏しおきたので、リズム感やタむム感に関しおは人䞀倍敏感な方だず思いたす。リズムを捉える時は、頭の䞭で现かく割っお考えるタむプです。制䜜やラむブの時も、サポヌトメンバヌに察しおかなり耇雑な芁求をしおしたうこずがあっお。それが自分の音楜スタむルを圢䜜っおいるず思うし、それに付き合っお挔奏しおくれる方々には感謝するばかりです。

―「heelかかず」ずいう曲は、ベヌスずドラムがかなりヘノィで、歌よりも怒っおいるように聞こえお。ヒゞュンさんが䞡方ずも自分で挔奏しおいるず知っお驚きたした。

ヒゞュンもずもず音数を詰め蟌んで现かく刻むよりも、シンプルに「ド・ドド・ド」ず叩くだけで重厚感や説埗力が出るような挔奏に惹かれおいたんです。この曲をレコヌディングする時はスタゞオを䞀枠しか借りられなくお。限られた時間の䞭で、ずにかく圢にしなければならなかったんですけど、個人的にも倧奜きな曲になりたした。「ドラムずベヌスだけで曲ずしお成立するんじゃないか」ず自画自賛したくなる、いい挔奏ができたず思いたす。

―この挔奏は、歌詞のテヌマずもリンクしおいるのでしょうか

ヒゞュンそうですね。最初から意図しおいたわけではないけど、非垞にフェミニズム的なこずを歌っおいるこずに制䜜過皋で気づきたした。「靎のヒヌル」ずいうもの自䜓、フェミニズム的なモチヌフずしお捉えおいたす。ただ私はそういうテヌマを、ありがちな衚珟スタむルず少し違う、もっず倚様なアプロヌチで玐解いおみたかった。「自分を匷く芋せよう」ず虚勢を匵るのではなく、あくたで「ありのたたの自分」を芋せたかったんです。

韓囜の音楜業界には、ある皮のスタンダヌドな「型」ずいうものが存圚したす。そこから倖れないようにずいうプレッシャヌのようなものが、明文化はされおいなくおも、どこか無蚀の圧力ずしお確かに存圚する気がするんです。

もちろん、そうした状況も少しず぀倚様化しおきおいるずは思いたすし、私もそうした倉化の流れにしっかりず加わりたい。そもそも、女性の゜ロ・パンクアヌティストがただ倚くないので、ただそこに存圚しお衚珟するこず、それだけでも十分に䟡倀があるず思うんですよね。いろいろな立堎の人が、それぞれの堎所で矜を䌑められるような  倚様な人々が共存できる堎所が増えおいけばいいなず思っおいたす。

J・ディラが入り口ずなった音楜人生

―ヒゞュンさんがドラムを始めたきっかけはJ・ディラで、小孊5幎生の頃にヒップホップにハマったこずが倧きかったそうですね。

ヒゞュン母がすごく厳しい人で、物心぀いた頃からずっずクラシック音楜を聎くように匷芁されおきたんです。今の私の音楜芳は、ある意味でその頃の経隓に察する反抗のようなものかもしれたせん。それで兄のMP3プレむダヌにヒップホップの曲がいく぀か入っおお。兄はラむトなノリで聎くだけだったけど、私は思いっきりハマっおしたったんです。

その圓時、韓囜に「HIPHOPLE」ずいう海倖ヒップホップに関する蚘事や動画を翻蚳しおくれるサむトがあっお。そこに茉っおたJ・ディラのむンタビュヌを読んだら「音楜をやるなら、ドラムくらい叩けなきゃダメだ」ず語っおいたので、「そうなんだ」ず劙に玍埗しおしたっお笑。自分が通っおいたピアノ教宀におもちゃみたいな電子ドラムがあったので、ピアノの緎習そっちのけで倢䞭になっお叩いおたした。

―J・ディラ以倖で奜きなヒップホップのアヌティストは

ヒゞュン腕を芋せるこれはATCQ、ア・トラむブ・コヌルド・ク゚ストのタトゥヌ。クオシモヌド、MFドゥヌムのタトゥヌも圫りたした。ケンドリック・ラマヌも倧奜き。あずはディアンゞェロを筆頭ずする、カリヌム・リギンスなどネオ゜りル呚蟺のヒップホップが基盀になっおいるプレむダヌの挔奏スタむルに倧きな圱響を受けおいたす。

―J・ディラやMFドゥヌムも所属した〈Stones Throw〉の䜜品は、独特のラフな質感で知られおいたすよね。ヒゞュンさんの音楜性にも圱響を䞎えおいるず思いたすか

ヒゞュンもちろんです、間違いなく圱響を受けおいるず思いたす。ああいう音のテクスチャヌが理屈抜きで倧奜きすぎお、昔からずっず聎き続けおきたので、自分の䞭にあたりにも深く染み蟌んでいたすね。その蟺りは最初にINUが奜きず話した理由ずも繋がっおいるし、他にもDJハリ゜ンずいった人たちの音楜が本圓に倧奜きです。

右腕にMFドゥヌムのタトゥヌ

―ヒップホップ以倖で倧きな圱響源を挙げるずしたら

ヒゞュンすぐには思い぀かないですね。私はただ単玔に音楜が倧奜きで、ひたすら膚倧な量を聎き続けおきただけなんです。たるで歎史の勉匷でもするかのように、アメリカのルヌツミュヌゞックから、フランスやポヌランドの音楜たで、気になったものは手を出しおみお。いろんなゞャンルを通っおきたした。でも、䞀番倚く聎いおきたのはヒップホップ呚蟺の音楜だず思いたす。

―フォヌクミュヌゞックはどうですか

ヒゞュンフォヌクずいうのは、生掻に根ざした音楜なんだず解釈しおいたす。その人がその堎所にありのたたでいお、自然に楜噚を手に取っお鳎らせば、それがすべおフォヌクになるのではないでしょうか。だから、「フォヌクずいうゞャンルを愛しおいる」ずいうよりは、ただ自分の生掻を愛しおいれば、その音楜はおのずずフォヌクになっおいく。そんなふうに捉えおいたす。

たずえば高田枡さんの歌詞を読むず、あたりの玠晎らしさに胞を打たれたす。蚀葉の䞀぀ひず぀があたりにも切実で、ただ生掻の颚景をなぞるのではなく、その奥底にあるものを深く、真摯に芋぀めおいらっしゃるんだろうなず。「私の音楜はフォヌクです」ず安易に蚀うこずを憚れるくらいの重みを感じたす。

高田枡「生掻の柄」をカバヌした動画

―話を戻すず、最初に始めた楜噚はドラムでしたが、その埌はプロのベヌス奏者になるわけですよね。そこにはどういう経緯があったのでしょう

ヒゞュン実は䞀番最初、小孊生の頃にヒップホップ・カルチャヌに觊れたあず、たずはMIDIから音楜に入ったんです。その埌ドラムを少し挔奏しおいたんですが、高校進孊を考えるタむミングで、MIDIで䜜曲をやっおいたこずもあっお、䜜曲専攻に進みたいず思いたした。するず呚りから「䜜曲をやるならピアノを匟けなきゃダメだ」ず蚀われたんです。でも、私はずにかくピアノが嫌いなんですよね笑。

そこからドラムに打ち蟌み、次第にいろんなゞャンルの音楜を奜きになっおいくうちに、「やはり自分でも和声を叞る楜噚を挔奏したい」ずいう欲求が芜生えおきたした。ただ、ギタヌやピアノはどうしおも自分の性分には合わない  それでベヌスを手に取ったんです。

―お気に入りの、もしくは研究察象ずしおきたベヌシストはいたすか

ヒゞュンそれがいなくお苊劎したした。倧孊はベヌス専攻だったんですけど、入詊の面接で「奜きな挔奏家は誰ですか」ず尋ねられお。あたりに緊匵しおいたせいか、ヒップホップのプロデュヌサヌやドラマヌの話を延々ずし続けおしたったんです笑。面接官の方に「ベヌシストは奜きじゃないの」ず呆れ顔で聞かれたのを、今でもよく芚えおいたす。

緎習や孊校の詊隓などでよく挔奏したのはサンダヌキャットの曲。あずりォヌキング・ベヌスに関しおは、レッド・ミッチェルが倧奜きで、圌のプレむを培底的に聎き蟌みながら緎習したした。

―そしお、シンガヌ゜ングラむタヌずしおの掻動を最近になっお始めたわけですよね。自分で歌おうず思ったのは、どんな背景があったんですか

ヒゞュン今のような音楜を䜜り始めたずき、自分自身がすごくリラックスした状態で、ただ自然に䜓が動くたた取り掛かっおいたこずに気づいたんです。゜ロ䜜ではもずもずむンストの䜜品を䜜る぀もりでした。サム・りィルクスがやっおいるようなプロゞェクトや、その系譜にある挔奏䞻䜓の音楜に憧れおいお、「あんな颚にできたらいいな」ず考えながら䜜業を始めたんです。でも、そこから心がすっかり解き攟たれ、い぀の間にか自然に口ずさんでいお、歌を歌っおいる自分に気づきたした。

―実際に歌うようになったのはい぀頃でしょう

ヒゞュンアルバムを出す前にカバヌ動画をいく぀かアップしおいるんですが、そこからですね。以前働いおいたレコヌドバヌのマスタヌが、音楜ぞの造詣が深い方で。私が動画を䞊げたら反応が良かったので、マスタヌが「次はこの曲でどう」ずアドバむスをくださっお。それでたた新しい動画を䞊げお、マスタヌが「今回のも良かったよ」ず蚀っおくれお。䞀緒に音楜で遊んでいたような楜しい日々だったず蚘憶しおいたす。

ヒゞュンが初めおYouTubeに投皿したカバヌ動画。韓囜のフォヌクシンガヌ、ハン・デスの代衚曲「幞せの囜ぞ」1974幎を挔奏

瀟䌚の歪みを、詩的な蚀葉に蚗しお

―『pumping of heart is torturing』はタむトルもいいですよね。このアルバムは、生ず死の境界線に぀いお深く考察しおいるように思ったので。「心臓の錓動ポンピングは拷問のように感じられる」ずいう䜜品名に、どうやっおたどり着いたのでしょう

ヒゞュンたず、これたでの人生においお、死ずいう存圚が垞に身近にありたした。そうした経隓を重ねる䞭で、死に぀いお考えるこずは、私にずっおごく自然で、長い時間をかけお育んできた思考の䞀郚だったんです。「鬱っぜい人なのかな」ず思われるかもしれたせんが、私にずっおは日垞の䞀郚ずしお、ただそこにあるものでした。

二぀目に、アルバム制䜜の盎前、日本を旅しおいたずきに曞いた詩やメモが倧きなヒントになりたした。その䞭に「心臓のポンピング」ずいう蚀葉が含たれた詩があったんです。自分はこんなにも自然に、この生身の感芚を蚀葉にしおいたんだなず気づかされたした。

そしお䞉぀目は「矞恥心」ずいうテヌマです。以前は自分の至らなさを恥じるこずに苊しんでいたしたが、ある時、「恥を知るからこそ、人はもっず先ぞ進めるんだ」ず、それを誇りに思える境地に達したした。私の呚りには、自分を恥じ入るこずしかできない人々もたくさんいたす。でも、それは自分の䞍完党さを自芚しおいるからこそ生たれる感情。私は、そうやっお恥じらいながら生きる人々が、むしろ愛おしいず思うんです。

最近、「矞恥心」の正䜓は、実は「傲慢さ」にあるのではないか、ずいう考えに至ったんです。自分の存圚をあたりに倧きく捉えすぎおいるからこそ、倱敗を恐れ、プラむドが傷぀くこずを「恥」ず感じおしたう。ミスをしたくない、完璧でありたいずいう執着が、自分を瞛り付けおいたのかもしれたせん。

だから今は、その「傲慢さ」を手攟したいず思っおいたす。倱敗したずしおも、それを必芁以䞊に悲芳芖せず、ただ静かに受け入れお、たた歩き出せるような  。そんなふうに、しなやかで本圓の意味で匷い人間になりたいんです。自分のやっおきたこずを卑䞋したり、無理に抗っお消耗したりはしたくない。ただ、静かに、それでいお力匷く、そこから距離を眮いおいたい。そう願っおいたす。

Photo by Yuki Kikuchi

―「矞恥心ずいうのは、私たちの身䜓が狂おしいほど生きおいる蚌なんです」ずもヒゞュンさんは綎っおいたすね。

ヒゞュンそうですね。自分の身䜓に぀いおも、ずっず深く考え続けおきたした。昔は、䜓栌や肌の露出、あるいは自分ずいう存圚に぀いお、隠さなければならないものがあたりにも倚すぎお。呚囲から「隠せ」ず蚀われるのは、それが「恥ずかしいもの」だずされおいるからですよね。䞖の䞭には、あたりにも倚くのこずが「恥ずべきこず」ずしお語られすぎおいるように思うんです。

䟋えば、私は「naked裞身」ずいう曲の䞭で、生理に぀いおありのたたに歌っおいたす。でも母は、ナプキンなどを隠すべきだず蚀うんです。家に兄や父がいるから、芋えないように捚おなさいず。女性に生理があるこずはみんなわかっおいるはずなのに、なぜ共有のゎミ箱ではなく、わざわざ自分の郚屋のゎミ箱の奥深くに抌し蟌んで捚おなきゃいけないのか。なぜそんなこずを、これほどたでに「恥ずかしい」ず思わなきゃいけないのか  。私は、そうしたごく自然なこずから、すべおを問い盎したいんです。

「naked」の歌詞の冒頭に、〈私はただ、裞身で来おは去っおいく青々ずした倧きな䜓を眮いお〉ずいう䞀節がありたす。「青々ずした」ずいうのは韓囜特有の蚀い回しかもしれたせん。日本語の「青い」が持぀未熟さずいうよりは、粟神の成長は远い぀いおいないのに、身䜓だけが倧人っぜく成長しおしたうようなむメヌゞですね。このフレヌズを、あえお突き抜けるように晎れやかに歌うこずは、自分にずっおすごく枅々しい経隓でした。ちなみにこの曲では、韓囜のThe Black Skirtsの曲を䞀郚匕甚しおいたす。

―そうなんですか

ヒゞュン圌の曲で衚珟される女性像や、女性ずの関係性に぀いおは思うずころがあっお。〈汚らわしい階士道、安っぜい同情心私は今、そのすべおを通り過ぎる〉ず歌うくだりで、圌の曲「Chivalry階士道」に蚀及しおいたす。〈汚らわしい〉ずか蚀っお申し蚳ないですが笑。

でも、結局はそういう男性たちも、私たちず同じ䞖界で共に生きおいるわけですよね。だから、圌らの存圚そのものを吊定したり、「いなくなればいい」ず思ったりはしたせん。私の倧奜きなヒップホップの界隈にも、どうしようもない人たちがたくさんいたす。でも、そんな圌らが混沌ずした日々の䞭で葛藀し、少しず぀成長したり、面癜おかしく生きおいたりする姿を、音楜を通じおコミュニケヌションしおいる  昔からそういう文化を芋おきたので、今回の匕甚も、察立するためではなく、そうした共存の䞀぀の圢ずしお自然に浮かんできたんだず思いたす。

―「spacious house広い家」は資本䞻矩瀟䌚のなかで暮らすこずの過酷さ、䞍平等がもたらす苊悩を歌っおいるように感じたした。こうしたテヌマは、ご自身の実人生で経隓しおきたこずが元になっおいるのでしょうか

ヒゞュンたさにそうです。これたでお話しおきた生掻の断片  半地䞋での暮らしや、目に芋える栌差、自分の身䜓に向けられる抑圧ずいった実䜓隓が、そのたた曲のテヌマず結び぀いおいたす。特別な思想ずしお語るのではなく、ただ日々を生きる䞭で肌身に感じおきた違和感や痛みが、自然ず「資本䞻矩的な䞍条理」ずいう圢をずっお音楜になったのかなず。

みんな広い家がいいずか、トップを目指すべきだずか、そんな話ばかりしおいたすよね。でも、私にはそれがどうしおもピンずこなくお。誰もが圓たり前のように「もっず䞊を、もっず広い土地を」ず口にする䞭で、そうではない自分をどこか堎違いに感じたり、そんなふうに思っおしたう自分を恥ずかしく思ったりもしお。成功の定矩がそれしかないような空気の䞭にいるず、ただ自分の等身倧の生掻を愛したいだけなのに、それがずおも難しいこずのように感じおしたいたす。

〈私は広い家に䜏みたくない〉ずいう歌詞は、明確な意図を持っお曞いたものです。この曲を䜜っおいた圓時は、戊争に関する悲しいニュヌスが溢れおいお  そうした状況を目の圓たりにしたずき、自分の䞭に湧き䞊がったのは、䜕よりも「戊争が嫌だ」ずいう匷い拒絶感でした。誰かが「もっず広い土地を」ず望むこずが、結局は争いに繋がっおいく。だから私は、あえおその欲求から距離を眮きたい。

圓時䜏んでいた堎所の呚蟺が、再開発で倧きな問題を抱えおいたんです。新しいマンションが建蚭される䞭で、さたざたな困難に盎面する人々を目の圓たりにしおきたした。そうした身近な光景が、ニュヌスで芋る戊争ずどこか重なっお芋えお。詩の䞀節ずいうものは、真実を突いた蚀葉であれば、どんな状況に眮いおも通甚するものだず思うんです。だから、私は自分の眮かれた状況や瀟䌚の歪みを、詩的な蚀葉に蚗しお真摯に䌝えたいず考えたした。

攟浪者のように生きおいきたい

―アルバムを発衚した3カ月埌の2025幎7月に『once again, survive and cheek to cheekたた生き延びお頬を寄せ合う』、さらに11月に『Ah, the grits of truth sting my feet... and it prickles!ああ、真実ずいう砂粒が私の足元を刺しお痛い』ず、短いスパンで二぀のEPを発衚したした。これはどんな経緯で

ヒゞュン私はアルバムを䞖に出すこずで、ただ気心の知れた人たちず、ささやかに喜びを分かち合いたかっただけなんです。でもその埌の反響で、私の音楜を聎いおくれる人が、こんなにも存圚しおいるこずがわかっお。リリヌスから1カ月ほどしおリスニング・むベントを開催したら、友人でも知り合いでもない方々がたくさん足を運んでくださっお。私が想像もしおいなかったような鋭い質問を次々ず投げかけられたんです。

その質問に答える䞭で、自分の蟌めた思考が誰かの䞭に宿り、そこでたた新しく発展しおいくのを感じたした。自分䞀人で生きおいたら決しお蟿り着けなかったような芖点に、みなさんずの察話を通じお気づかされたんです。そのプロセスがあたりにも刺激的で、「音楜を䜜っお䞖に出すずいうのは、こういうこずなんだ」ず気づいお。そこから、次の䜜品を䜜りたいずいうアむデアが次々ず湧き䞊がっおきたした。

先に出したEP『Once again,』はアルバムの続線ず蚀いたすか、䞖の䞭に出したこずで生たれた反応に察する、自分なりのアンサヌずいう偎面が匷かったず思いたす。1枚目で描ききれなかったこずや、「このアルバムをそのように受け取っおくれたのなら、次はこういうアプロヌチはどうだろう」ずいう、リスナヌず察話するような感芚がありたした。

その次の『Ah, the grits of』に関しおは、そうしたこれたでの経隓や察話のすべおを土台にした䞊で、ようやく自分が本圓にやりたいこず、できるこずず玔粋に向き合えるようになったず感じおいたす。過去の補完ではなく、もっず広い意味での未来を芋据えお、新しい詊みに玔粋に飛び蟌んでいけたような気がしたす。

『once again, survive and cheek to cheek』フル詊聎

『Ah, the grits of truth sting my feet... and it prickles!』フル詊聎

―アルバムずは異なるアプロヌチに぀いお、もう少し具䜓的に説明するず

ヒゞュン私に察しお「フェミニズム」ずいう蚀葉が向けられるこずに、正盎なずころ少し違和感があっお。最初のアルバムを出した時、そんなに倚くはないですが、確かにそう蚀われるこずがありたした。「えっ、私がフェミニスト」ず驚いお、それからすごく考え蟌んだんです。だったら、私はこれからどう生きおいけばいいんだろうっお。その埌に出したEPは、たさにその答えを探すためのものです。どうすれば身の安党を確保し぀぀、真実を語り続けられるのか。その方法を暡玢した蚘録なんです。

そこで私が感じたのは、私がフェミニストかどうか、フェミニズムが䜕なのかずいうこずよりも、それを私に向けおくる人たちの暩嚁や、瀟䌚の䞭で起きおいる珟象でした。今たさに私に「フェミニズム」を語る人たちの意図や、圌らず私のあいだに生たれる暩力関係を芋お感じながら、ああ、これが私が女性アヌティストずしおこれから乗り越えおいかなければならない珟実なんだず気づいたんです。そしお結局、私がフェミニストかどうか、フェミニズムが䜕であるかは、今の瀟䌚においおは、もはや本質的な問題ではないのだず気づきたした。

だから、3䜜目のEPを䜜る時は、聎いた人が思わず「えっ、これっお䞀䜓䜕なの」ず感じおしたうような、そんな埗䜓の知れない空気感をあえお意図しお䜜りたした。簡単に䞀蚀で説明できおしたうようなものにはしたくなかったんです。答えを提瀺するのではなく、聎く人の䞭に「問い」が生たれるような、䜕だかよくわからないけれど、気になるもの。その違和感こそが、私があのEPに蟌めたかった䞀番の狙いなんです。

―『Ah, the grits of』は、アブストラクトな音像や挔奏も印象的です。

ヒゞュン嘘を぀かずに真実を語る方法ずしお、私が芋぀けた䞀぀目の答えは、音そのものの面癜さを远求するこず。蚀葉で説明しきるのではなく、音の響きや質感で盎感的に䌝えようず。そしお二぀目が、私がいた挑戊したいこずで、安郚公房の『砂の女』ずいう小説に関わっおいたす。普通、音楜で文孊を匕甚する時は、その物語性や情緒を補匷するために䜿われるこずが倚いですよね。でも私は、そうはしたくない。その小説ずいう存圚を、もっず即物的な、䞀぀の人工物ずしお音楜の䞭に眮きたかった。意味に寄り添うのではなく、冷培なストラクチャヌ構造ずしお文孊を扱うこずで、新しい衚珟ができるのではないかず考えおいたす。むき出しのたたでは䌝わらなかったり、誰かを傷぀けおしたったりする真実でも、芞術ずいうフォヌムを通すこずで、嘘を぀かずに、けれど安党に䞖の䞭に攟぀こずができる。結局、衚珟の本質はそこにあるず思うんです。私にずっお、音楜や小説ずはたさにそのために存圚するものだし、あらゆる芞術䜜品もたた、そうあるべきだず思っおいたす。

―最初にアルバムを聎いた時に惹かれたのは、シリアスなテヌマを扱う䞀方で、歌声や曲調そのものは明るい曲が倚いですよね。

ヒゞュンそのバランスは、たさに私の性栌の根幹に関わる郚分です。私はたず䜕よりも「自分自身の安党」を第䞀に考える人間なんです。䟋えば、母ず䞀緒に車に乗っおいる時に、危なそうな車や、明らかにマナヌの悪い人がいたずしたすよね。そこで䞋手に怒りをぶ぀けたりしたら、盞手がどんな恐ろしい報埩をしおくるかわからない。なので「静かに通り過ぎよう」ず考える、そんな性栌なんです。

だから音楜でも、自分の蚀いたいこずはハッキリ蚀いたすが、それをあえお明るい雰囲気で包み、遠回しに䌝えるようにしおいたす。そうするこずで身の安党を守りながら、同時に蚀いたいこずを届けるこずができる。その境界線をい぀も意識しお䜜っおいたす。

―自分の音楜には、垌望ず絶望のどちらが倚く含たれおいるず思いたすか

ヒゞュン呚りの人がどう思うかわかりたせんが、私自身は垌望に぀いお話しおいる぀もりです。「䞖の䞭がこんな状況でも、みんなこうしお生きおいるよね」ずいう、そのこず自䜓に垌望を感じおいたす。

Photo by Yuki Kikuchi

―倚䜜であるこずず同様に、ラむブでも匟き語り、バンドセット、ずきには座りながらパ゜コンや様々な機材も䜿ったり、いろんな圢態でパフォヌマンスしおいるみたいですね。

ヒゞュン䞀぀目暙を定めおしたうず、倱うものが倚すぎる気がするんです。芖野が狭くなっおしたうずいうか、その瞬間にしか手にできないものを逃したりするのがあたりに惜しくお。私は、その時、その瞬間を逃さない人間でありたいんだず思いたす。これからも攟浪者のように生きおいきたいです。

―すでに新䜜の制䜜にも着手しおいる

ヒゞュンはい。ただ、ずっず䜜り続けおはいるんですけど、最近は以前ほど蚀葉やメロディが出おこなくお。どうすればたた、あの頃のように自然な感芚を取り戻せるだろうかず考えながら音源制䜜に向き合っおいたす。

その話でいうず、ヒゞュンの初来日むベントを䌁画した菊地䜑暹さんが、熱心な営業担圓のようにあちこち連れ回しおくれお笑。そこからキャメロン・りィンタヌギヌスやマック・デマルコずお䌚いするこずができたんです。圌らず䞀緒にいながら感じたのは、「根っこの郚分では同じ人間なんだな」ずいうこず。ステヌゞの䞊で自由に振る舞う姿が矚たしくもあるけど、そんな圌らず話しおみお、私ず同じように苊劎し、それでも䞀生懞呜生きおいるこずを知りたした。日本に来お、同じような悩みを持぀ミュヌゞシャンたちず出䌚い、新鮮な環境に身を眮いたこずで、たた自然な感芚を取り戻せそうな気がしおいたす。

匟き語りパフォヌマンス

バンドセットでのパンキッシュな挔奏

AJIMI&OPPA-LA presents「SUNDAY MIX」

2026幎4月12日日江ノ島 Diner OPPA-LA

é–‹å Ž / 開挔 16:00

出挔CADEJO、Woo Huijun and Special Guest

DJVIDEOTAPEMUSIC

チケット前売 Â¥5,000皎蟌 / 1ドリンク代別途

予玄https://sundaymix.peatix.com/

『pumping of heart is torturing』

『once again, survive and cheek to cheek』

『Ah, the grits of truth sting my feet... and it prickles!』

ディスクナニオンにお取扱䞭CD・LP

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