福士蒼汰が主演するフジテレビ系ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』(毎週火曜21:00~ ※全話放送終了後、FODでseason2独占配信)の第10話が、3月31日に放送された。

今作は数多く制作されてきた“警察ドラマ”の中でも、知られざる「警視庁広報課」を舞台にした完全オリジナル作品。物語はついに、これまで積み上げてきたすべてを巻き込みながら、どこへ着地するのかすら全く見えない“異様な領域”へと突入した!

  • 大塚明夫 (C)フジテレビ

    大塚明夫 (C)フジテレビ

すべての立場に正義がある――混沌とした構図が最大のスリルに

通常の刑事ドラマであれば、どんな事件も“どのように解決されるのか”という道筋はある程度想像がつく。真犯人の登場、トリックの解明、あるいは犯人の動機に寄り添ったドラマチックな収束――そして今回で言えば、決定的な“証拠”によってすべてが覆る。そのいずれかに着地することが王道であろう。

しかし本作は、その“王道”を根底から裏切った。22年前の未解決事件に真犯人が現れ、捜査一課と公安が激しく対立。さらにはその“真実”そのものがかき消されかねないという状況において、“解決”の形はまったく見えてこなかった。そもそも本作において“解決”とは何を指すのか――その前提すら揺らいだのだ。

本来であれば、決定的な証拠を突きつけたあの瞬間こそが最大のカタルシスだったはずだ。しかし今作は、その“証拠”すら無力化してしまった。公安という存在によって「暴いてはならない真実」が立ち上がり、証拠でありながら証拠として成立しないという、あまりにも歪(いびつ)な状況が現出したのである。

だが本作がさらに優れていたのは、そんな公安を単なる“敵”として処理しなかった点にある。むしろ彼らにもまた、揺るぎない“矜持”があることを描いてみせたのだ。

もしこの真実が暴かれれば、背後にある“カルト”の存在が社会に再び拡散し、より大きな混乱と不安を招くかもしれない。そのリスクを引き受けてでも隠すべきなのか、それとも暴くべきなのか。どちらが“正義”なのかは、もはや誰にも断じられなかった。

一方的な“悪”を設定せず、すべての立場にそれぞれの正義があることを突きつける。この混沌とした構図こそが、本作の真骨頂であり、同時に“結末がまったく予想できない”という最大のスリルを生み出していたのだ。

いとも簡単に更新されるピーク

この混迷をさらに加速させたのが、真犯人を名乗る受刑者・大沼の存在である。彼を演じた大塚明夫の存在感は圧倒的であった。

彼の“声”は、それ自体がひとつの真実のように響いた。22年前の事件を語るその言葉は、否応なく説得力を帯びていた。しかし同時に、そのあまりに完成された響きが、どこか“作られた語り”のような違和感も残していた。本当に彼は真犯人なのか――その疑念が最後までつきまとった構造は、極めてスリリングだった。

そして何より驚かされたのは、大沼が“最後の最後で再びキーマンになる”という展開だ。真実を語る存在であったはずの男が、自らの存在を証明するために暴走し、事態そのものを揺るがしていく――その瞬間、本作は単なる謎解きを超え、制御不能の“異様な領域”へと踏み込んだのである。

前回の第9話の時点で、すでにここがピークだと感じていた。しかし本作は、その頂点をいとも簡単に更新してみせた。最終回に待ち受けるのは、真犯人・大沼による立てこもり事件という、あまりにも過酷で、あまりにも過剰なクライマックス。エンターテインメントとしての高揚感に震える一方で、このドラマが最後に突きつけてくるであろう“現実”を想像すると、恐ろしくてならない。

  • (C)フジテレビ