「つけ麺好き?」――無類の麺好きな友人が、何十年も通う店に誘ってきた。それが、「麺屋 さん田」である。京都のラーメン激戦区と呼ばれている一乗寺でも、河原町や祇園といった繁華街でもない場所にありながら、地元客から厚い支持を集める人気店だ。
イオンモールの隣という立地ながら、平日でも行列ができることも多い。メディアにもたびたび取り上げられており、ファンの多さがうかがえる。今回はそんな「麺屋 さん田」を訪ねた。
「麺屋 さん田」は、イオンモール京都五条の北側にある路面店だ。京都市内ではあるがいわゆる「街ナカ」ではなく、阪急西院駅から徒歩で15分とやや距離があり、観光客よりも地元客が多い立地だ。
この日はピークを外した時間帯と雨天という条件だったことで、待つこともなくスムーズに入店できたが、通常は行列が多い。人数が揃ってから並ぶこと、食券を購入するタイミング、列のルールなどが丁寧に掲示されており、人気店ならではの配慮が感じられる。
■麺だけで成立する高い完成度
入店後、迷わず名物のつけ麺をトッピング付きで注文。つけ麺(並)は1100円、チャーシュー・メンマ・半熟卵の全部のせは350円だった。
待っている間、改めて店内を見渡すと、店内はカウンター席が中心で、テーブル席もあり、一人でも入りやすい雰囲気だ。
有名人のサインも並び、期待感が自然と高まる。
運ばれてきた一杯は、想像以上にトッピングが豊富で、麺は黄色ではなく、やや褐色がかっている。
調べてみると、焙煎した胚芽を練り込んだ自家製麺とのこと。店内の「麺の食べ方」ポップでも、まずは麺だけで味わうことがすすめられている。
ひと口食べて納得した。
太めでしっかりとしたコシがあり、噛むほどに小麦の甘みがじんわりと広がる。麺単体でも食べ応えがある。
そこに合わせるつけだれは、鶏をベースにした濃厚なスープ。ポタージュのようなとろみがあり、香りから食欲を刺激してくる。
口に含むと、旨味がどっしりと効いた重厚な味わい。それでいて動物系特有の臭みはなく、後味はすっきりとしている。
濃厚なのに、麺と絡めると不思議と軽やか。箸が止まらない。
■脇役越えのトッピングたち
追加したトッピングも印象的だった。
鶏チャーシューはしっとりと柔らかく、まるで上質なハムのような口当たり。メンマは風味と歯ごたえが際立ち、存在感がある。半熟卵はスープとの相性が抜群だ。
どれも単体で成立するおいしさだ。箸休めとしても楽しめるし、スープにつけながら麺とともに食べてもいい。つけ麺の完成度をさらに引き上げてくれる。
ああ、注文してよかった。
■〆も楽しめるスープ割
麺を食べ終えると、太麺ならではの満腹感がやってくる。
そこでスープ割りが登場するのだ。店内にはポットが置かれており、蕎麦湯のように残ったつけだれに加えて楽しむ。
かつおやサバを思わせる魚介の風味が加わることで、後味が変わる。濃厚だったつけだれに滋味深さが加わり、身体にじんわりと馴染んでいく。
「濃いのに軽い」、そんなストーリーが完成する。
■担々麺も〆までおいしい
友人が頼んだ担々麺も、完成度が高かった。
ほどよいピリ辛具合に、カシューナッツの香ばしさと食感がいい。チンゲン菜のシャキッとしたアクセントも効いている。
そして特筆すべきは、スープ割ではなく、ご飯割りがあることだ。坦々雑炊のように、残ったスープと絡めて混ぜ合わせて楽しめる、一杯で二度おいしい設計だ。
これまたよく合うのだ。
■並んででも食べたい理由がある
関西でつけ麺が流行ったのは、関東と比べて筆者の体感で5年以上遅めだったという印象がある。それでも、ここまでおいしいつけ麺が食べられる状況があることは素直にうれしい。
麺もスープも、それぞれが主役級。それでいて一体として成立している。まるでソロでもコンビでも売れるアーティストのような一杯だ。
そりゃ、並ぶわ。








