愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「“東日本大震災から15年”当時の記憶と6年半(78回)の“スカロケ資産運用部”総まとめ」を解説
本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

最終回となる3月11日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「“東日本大震災から15年”当時の記憶と6年半(78回)の“スカロケ資産運用部”総まとめ」というテーマでお話を伺いました。

(左から)マンボウやしろ、宗正彰さん、浜崎美保

◆東日本大震災当時の金融市場の動き

浜崎:本日が最終回となります。今回、宗さまには「“東日本大震災から15年”当時の記憶と6年半(78回)の“スカロケ資産運用部”総まとめ」についてお話しいただきます。

やしろ:東日本大震災から今日で15年が経ちました。当時、2011年の経済活動や金融市場の動きで、記憶に残る何か特徴的なことはありましたでしょうか。

宗正:東日本大震災発生直後の日経平均株価は、そこから下がって8,000円台から9,000円台で推移していました。為替市場も1ドル79円台前半まで円高が進みました。特に円高は、輸出関連企業の割合が高い日本経済にとってかなりのダメージになりますが、なんと「このままでは日本が危ない、経済的な二次被害の可能性がある!」との声が上がり、3月18日にG7先進7カ国が為替の協調介入に踏み切って、急速に進んだ円高を止めることに成功しました。

やしろ:そんなことが当時あったんですか。

宗正:日本がG7の国々に助けられた訳なんですが、このときの共同声明の内容が、またしびれますよ。「日本に対し、必要とされるいかなる協力も提供する用意がある」と。当時はTOKYO FMで「クロノス」という毎朝のワイド番組があって、私はこの日の朝、生出演をしていたんです。

やしろ:中西哲生さんの番組ですね。

宗正:はい、そうです。為替の協調介入があったのがその日の午前9時なんですけど、私は午前8時半あたりに生出演していたところ、リスナーの方から「今の日本にとって金融経済的に最も必要なことは何でしょうか?」といった質問がありました。そのときの私は「為替の協調介入です」と答えました。為替の協調介入は複数の国が同時に、例えば円高であれば円を売って、アメリカドルをはじめ自国の通貨を一斉に買う動きなんですが、なかなか踏み切ることはありません。このときも約10年半ぶりのことで、東日本大震災以降、これだけの規模の為替の協調介入はありません。

やしろ:へえー。そうなんですね。

宗正:それくらい踏み切ることが難しくて、非常に数少ない大規模な為替の協調介入で、危機的な状況だった日本をG7の国々が協力して助けてくれたという話です。

やしろ:当時、1ドル79円台だった記憶は今もあるんですけど、円高って円が買われるっていうことじゃないですか。それはどうしてそうなったんですか?

宗正:東日本大震災直後に、今で言うフェイクニュースのような情報が為替市場で流れたんです。「日本で大震災が起きたので、海外の資産を日本が引き上げるんじゃないか」と。海外の資産を引き上げるということは、最終的には諸外国の通貨を日本円に転換することになりますから、それで円高が進みました。

やしろ:当時の円高はそういうことなんですね。

宗正:実際には、そんな動きはありませんでしたが、当時は異常事態の中で飛び交う情報も混乱していましたから、特に為替市場は動き始めると一方向(円高方向)に動きやすいですからね。

やしろ:止まらなかったっていうことですね。

宗正:そうなんです。一方向に動き始めると、今度はその動きが止まるのに充分な理由が必要になりますから。

やしろ:日経平均株価が8,000円台から9,000円台で、為替が1ドル79円台って、ちょっと今では想像できない世界ですね。

◆株式市場の乱高下はしばらく続きそう

やしろ:そして現在、アメリカのイラン攻撃以後、株式市場は乱高下が続いています。今回のケースで「地政学リスク」と株式市場の関係、その見方について教えてください。

宗正:アメリカのイラン攻撃以降、日本の株式市場は乱高下していますよね。「地政学リスク」が現実になると、今の中東情勢もそうですけど、様々な情報も不確かで先行きも不透明な中、株式市場は先ずは大きく下がります。その後、良い情報と悪い情報とが交錯し始めて株式市場が乱高下し始めます。今はまさに、このステージに入りました。

今回のケースでの情報のポイントとして、「戦闘状態がいつまで続くのか」、そして「原油価格の高騰はどのレベルまで続くのか」といった、大きくはこの2点です。戦闘状態が長引けば長引くほど、原油価格は連れて上がります。原油価格は世の中のあらゆるモノの価格やサービス価格に影響を与えますからね。私たちの身近なところでは電気料金。今の原油価格の高騰は、今年の夏あたりの電気料金に影響してきます。

いずれにしても、原油価格の高騰が企業業績にどの程度の影響を及ぼすのか、それが時間の経過とともに企業の株価に織り込まれて行きます。ほぼ織り込まれたところで、株価の乱高下は落ち着いて、下がり続けた株式市場全体も落ち着きを取り戻す。これが「地政学リスク」が現実になってからの典型的な株式市場の動きになりますが、今回もこうなると思います。

やしろ:ホルムズ海峡封鎖云々の情報がいろいろと出ているじゃないですか。トランプさんは「短期決戦でもう終わりが見えている」と言っていますけど、宗さまの見立てはどうですか?

宗正:トランプ大統領はこれまでも、様々な市場の動きを意識した発言をしてきました。その発言のタイミングも原油の先物価格が1バレル100ドルを超えたときでした。やはりアメリカ経済にとっても、行き過ぎた原油価格の高騰はまずいんですよ。

やしろ:確かに、その発言のタイミングで原油の先物価格の高騰も一旦はストップがかかりましたよね。

宗正:そうでしたね。でも実際にはトランプ大統領の発言から2日後の今日も全く戦闘状態は終わっていませんよね。

それどころか、ホルムズ海峡に機雷をイランが敷設するといった、もっと悪い情報が伝わっています。これが先ほどのお話の良い情報と悪い情報が交錯して株式市場が乱高下するっていう今の状態なんですね。

やしろ:しばらくは続きそうということですか。

宗正:続くと思います。まだまだ始まったばかりだと思ったほうが良いですね。

◆金利の方向性から為替市場を読み解く

やしろ:そして、これまでの「スカロケ資産運用部」では、金利の方向性と水準を見ることの重要性についてよくお話が出ましたが、特に金利の方向性から為替市場の今後を読み解く方法を改めて教えてください。

宗正:「金利は経済の体温計」なんて言われますが、大前提として景気が良ければ金利は上昇します。景気が悪ければ金利は下がります。それからもうひとつの大前提として、各国の金利は、それぞれの国の中央銀行の金融政策によって決まります。

この2つをまず頭に入れておいていただいて、例えば日本の中央銀行「日銀」は、今の物価高を抑えるために金利を更に引き上げようとしています。日本の金利が上がるということは日本円が高くなるということですから「円高」になります。為替市場は公園のシーソーと同じ仕組みで、片方が上がれば、もう片方は下がります。つまり、一方が円高ということは、もう一方の通貨がアメリカドルであれば「ドル安」になりますから、「円高ドル安」ということです。

仮に、アメリカの中央銀行FRBが今の経済指標を見て、景気の下振れ懸念から金利を下げようとする場合、これはドル安につながります。一方がドル安ということは、もう一方の円は円高で「ドル安円高」。先ほどの「円高ドル安」もこの「ドル安円高」も、状態としては同じなんですが、金利が動くほうを最初に持ってきたほうが、より分かりやすいんです。

例えば、日銀が金利を上げようとするから円高で、そうなるともう片方はドル安ですと。日本の株式市場は輸出関連企業の割合が高いので、円高に振れれば株式市場は下がりやすい、こんなふうに為替市場の動きから株式市場の動きを予想する訳です。様々な市場の動きを予想する際には、金利の方向感から為替市場の動きに紐づけると良いと思います。

やしろ:今また1ドル157円、158円くらいの水準で止まっていますけど、ここから円高方向に戻る可能性はあるのでしょうか?

宗正:中東情勢も新たに加わったので、当面の間は円高に振れたり円安に振れたりといった、一定の範囲内で動く感じでしょうね。ただ、今の日本の高市政権が進める政策は、どちらかと言えば円安に振れやすいんです。

やしろ:なるほど。じゃあ、そんなには円高に進まないですかね。

宗正:先ほどお話しした考え方で言えば、よほどドル安が進まない限り円高には進まないということになります。もちろん、状況はその時々で変わりますけどね。

やしろ:日本サイドからは、そこまで大きくは動かないかもしれないけど、アメリカ次第では為替が円高のほうに急に動く可能性もあるということですね。

宗正:そうです。だから、為替市場の動きを予想する際には、どちらの通貨が上がって、どちらが下がるのか。公園のシーソーをイメージすることが大事なんです。

やしろ:宗さまは「政治と経済は車の両輪。だから政治の動きは要チェック」とよくおっしゃっていました。

宗正:昨年1月にトランプ大統領が就任して以降、彼の言動は世界経済や金融市場を大きく揺さぶっています。トランプ関税もそうですし、今のイラン攻撃もそうです。彼の政治的な主張が、世界経済や金融市場に大きな影響を与えています。日本国内では、昨年の秋に高市内閣が発足したときもそうですし、この2月に与党自民党が衆議院選挙で圧勝したときもそうでしたが、高市政権の政策を反映したいわゆる「高市トレード」が日本の金融市場でありました。

それから、高市政権の「積極財政」の方針は、財源確保の必要性の観点から、日本の長期金利を押し上げて円安に振れると、こんな見方に繋がります。考えてみれば、最近の世界経済や金融市場を動かしている主な要因は、経済活動そのものよりも、むしろ政治から始まるもののほうが多いかもしれないですね。

やしろ:両輪とは言え、かなり政治の影響を受けていると。

宗正:片方が動けばもう片方も動くっていうのが「車の両輪」じゃないですか。最近は、政治の動きが主導して、経済を動かすことが多いということですね。

◆経済の知識なしでは損をします!

やしろ:改めて、これから資産運用を始める人や投資初心者の方に、特にお勧めの資産運用の方法を教えていただけると嬉しいのですが。

宗正:投資対象には様々なものがあります。債券だったり株式だったり不動産もそうですし、FXや暗号資産もあります。どれが良いとか悪いとかではなくて、個人個人が得意なものを投資対象にすること、これが一番重要なんです。ただ、今挙げた投資対象には、それぞれ求められる知識や固有の特徴があって、実はどれも難しい。

そこでお勧めしたいのが、資産運用のプロが組入銘柄を選んで一つのファンドにまとめた「投資信託」。中でも投資信託の積立を投資初心者の方にはお勧めしたいと思います。「定時定額」って言いますけど、例えば毎月同じ金額を積み立てることで、投資信託の基準価格が下がったときには、より多くの口数を購入することができて、上がったときにはそれがリターンになって戻ってくる。

毎月決まったタイミングで自動的に購入するので、売買タイミングに悩まなくてもいいんです。積立しているのを忘れて、ほったらかしにしておくくらいがちょうど良い。投資信託の積立は「つみたてNISA」も使えますから。ここから始められるのも良いかなと思います。

やしろ:分かりました。さあ、2019年10月から6年半続いた「スカロケ資産運用部」も今日で一旦、最終回となります。愛と経済の伝道師、宗さまからリスナーの皆さんに一言お願いします。

宗正:一通り大事なことは、78回の放送の中でお伝えしてきたつもりなんですが、身近なモノやことで経済活動に結びついていない、関係していないものはひとつもありません。例えば、スーパーの野菜売り場で、今の中東情勢で原油価格が高騰していることを思い出す。一年中どんな季節の野菜が揃っているのも原油を使うハウス栽培のおかげですから、ここから先は原油価格の高騰に連れて野菜の価格も上がり始めるんじゃないかな、とか。

他には、ランチタイムにお店に行くと、値段が安い順にA、B、Cの3コースが用意されていることが多い。真ん中の価格のBコースを選ぶ人が実際には多いんですけど、実はBコースがお店にとって一番利益が出るメニューだったりします。

世の中のあらゆる事象は経済と繋がっています。身近なことや目に入るモノ、耳で聞いたことを頭の中で経済に結びつけてイメージしていただければ、経済活動や金融情勢により敏感になることができるんじゃないかなと思います。そして、ここから先の日本では、資産運用をしなければ寿命を全うすることはできないかもしれないといった感覚が必要です。

やしろ:年金だけじゃ、かなり厳しいぞという話ですね。

宗正:年金制度は、もともと生活を支えるための制度ですから、年金だけで老後の生活資金を全て賄うのは無理なんです。自身で資産運用をするためには金融や経済知識が不可欠ですから、「スカロケ資産運用部」をきっかけに今後、身近なモノや動きの中から日常的に学んでいただければと思います。そして経済の知識なしでは損をすると、それぐらいの気持ちで、今後の人生を楽しんでいただければと思いますね。

やしろ:分かりました。宗さま、ありがとうございました。

浜崎:宗さま、6年半本当にありがとうございました。番組からお花を。

宗正:本当ですか? ありがとうございます。女性から花をいただくなんて何年ぶり、いや何十年ぶりだろう。本当にありがとうございます。

浜崎:お気持ちでございます。

宗正:本当にありがとうございます。「スカロケ資産運用部」は一旦、最終回とさせていただきますが、それ以外に番組のほうでもまた、色々とお付き合いをいただけましたら嬉しいです。

やしろ:ぜひお声掛けください。これからもよろしくお願いします。

宗正:よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

<番組概要>

番組名:Skyrocket Company

放送日時:毎週月~木曜17:00~20:00(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)

パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/番組公式X:@Skyrocket_Co