三井住友信託銀行は3月13日、NISAの利用状況や利用意向に関する調査の結果を発表した。調査は2026年1月、全国の18~69歳(関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く)11,135名を対象にインターネットで行われた。

NISA口座数は2024年に急伸も若干鈍化傾向

2024年に「新しいNISA」が始まり、2年が経過した。口座数は2025年12月末時点で約2,825万口座にまで増加しており、国民の「貯蓄から投資へ」のマインドチェンジが伺える。一方で、政府が掲げる「2027年末までに3,400万口座」の達成までは、若干の距離があるといえる。

  • 四半期ごとのNISA口座数の推移(2019年3月末~2025年12月末)

    四半期ごとのNISA口座数の推移(2019年3月末~2025年12月末)

同社は2026年1月、全国1万人にアンケート調査を実施し、NISAの「口座数」だけでは見えない、「NISAを実際に資産形成に利用している人」、ならびに「利用していない人における今後の利用意向」を分析した。

NISAの認知度は6割弱、利用している人は2割強

同調査によると、NISAの認知度は57.7%だった。一方で、利用者は22.3%であり、認知と利用のギャップは35.4%となった。

年代別では、特に60代の認知が60.3%と高いようだが、利用率は21.3%にとどまりギャップが一番大きい結果となった。

  • NISA制度を「知っている」「利用している」割合

    NISA制度を「知っている」「利用している」割合

18-39歳では、4割以上がNISA利用に前向き

同調査では、NISAの利用率に加え、NISAを利用していないと回答した人に対し「NISA制度を今後利用しますか」と聴取した。すると、利用済+利用意向がある人の合計では35.8%だった。利用率は22.3%であるため、利用意向がある人が全員NISAを利用した場合、NISAの利用者が最大で現状の1.6倍にまでなる可能性がある、といえる。

NISAの利用済+利用意向がある人を「NISA前向き層」、NISAの利用に後ろ向きな回答者を「NISA意向なし層」と定義すると、18-39歳ではNISA前向き層が4割以上である一方、高齢層ほどNISA意向なし層が多く、60代では約半数に上った。

  • NISA利用者・利用意向者の割合

    NISA利用者・利用意向者の割合

30-60代は前向き層が増加、60代は意向なし層が高止まり

この利用割合と利用意向は、新しいNISAが始まって以降、どのように変化してきたのか。

2024年1月から2026年1月の調査結果を時系列で比較すると、利用前向き層は着実に伸びていることが分かる(30.8%⇒34.1%⇒35.8%)。意向がない層は、2024年から2025年にかけて増加したものの、今回は減少に転じている(29.0%⇒36.7%⇒33.4%)ことが分かる。

  • NISA利用者・利用意向者の割合の時系列比較(2024年-2026年)

    NISA利用者・利用意向者の割合の時系列比較(2024年-2026年)

このデータを年代別に分析すると、おおむねどの年代でもNISA前向き層の増加が見て取れる。一方で、18-29歳は利用前向き層が若干減少、60代は利用意向なし層が高止まりしている状況だ。

  • 年代別:NISA利用者・利用意向者の時系列比較(2024年-2026年)

    年代別:NISA利用者・利用意向者の時系列比較(2024年-2026年)

NISAの利用率をエリア別で分析すると、NISA利用率は首都圏がトップ、NISA利用意向者まで含めると近畿圏がトップとなった。年代別では、40代において中京圏が利用者・利用意向者の割合いずれもトップとなった。

  • 居住エリア別 NISA利用者・利用意向者の割合

    居住エリア別 NISA利用者・利用意向者の割合

金融教育の経験やライフプランニングがカギ?

もう1つ、顕著に差が出ているのが、「金融教育の受講経験」や「ライフプランニング」である。

どこかの"場"で金融教育を受けた経験がある人は、NISAの利用済+利用意向ありの割合が、未経験者に比べて大きくなっている。特に、「短大生・大学生・大学院生・専門学校生」や「社会人」のタイミングで教育を受けた層は、NISA利用率が顕著に高い傾向がみられる。自分名義で証券口座を開設でき、実際に投資行動へ移りやすい時期と重なるため、金融教育が行動変容につながりやすいものと考えられる。また、社会人になると安定した収入が得られることで余剰資金を投資に回せるようになり、NISAのような非課税制度のメリットを実感しやすくなるものと思われる。

  • 金融教育を受けた時期(複数回答可)とNISA利用者・利用意向者の割合

    金融教育を受けた時期(複数回答可)とNISA利用者・利用意向者の割合

また、ライフプランを立てている人は、そうでない人に比べて顕著にNISAの利用が進んでいる。自身の長期的な"家計のあり姿"を描くことで、そのプラン実現に向けたアクションとして「NISAを利用した資産形成」が選ばれているものと推察される。逆に、ライフプランを立てていない人は6割以上がNISAの利用意向がない。

  • ライフプランを立てている度合いとNISA利用者・利用意向者の割合

    ライフプランを立てている度合いとNISA利用者・利用意向者の割合