日本気象協会は3月10日、2026年の春夏の天候予想を発表した。
春は早めに気温上昇
2026年の春は、平年と比べて西日本・東日本を中心に気温が高い見込み。前年の春と同様、寒暖の変動が大きいものの、4月以降は気温が早いペースで上昇し、夏商材の需要は4月中に立ち上がる地域が多くなると予想される。
一般に日最高気温が20℃を超えると、アイスクリームやスポーツドリンクなどの夏商材は需要が増加する。そこで同協会は、夏商材の一例として「アイスクリーム」に着目。需要が伸び始める時期の目安を示す「アイスクリーム前線」を作成した。アイスクリーム前線は、気温の上昇に伴ってアイスクリームなどの夏商材の売り上げが伸び始める時期を示したもの。2026年は、九州や四国、近畿、東海、関東の一部で4月中旬までに夏商材の需要が立ち上がり、東日本、西日本のそのほかの地域でも4月下旬にはシーズンインとなる見込み。東北では5月上旬から中旬、北海道では5月下旬にかけてアイスクリーム前線が到達すると予想される。
また、「アイスクリームなどの夏商材が売れ始める時期」の図では、主要6都市における夏商材が売れ始める時期の目安を、前年と比較して示している。前年の春も寒暖差が大きい中、気温が上昇した4月上旬にシーズンインとなった。2026年は前年に比べると気温の上昇タイミングがやや遅い予想だが、4月以降は初夏を先取りした陽気の日が多く、夏商材の需要が伸びやすい見込みだ。
2026年の夏も猛暑予想、昨年との違いは?
2026年の夏も猛暑となる可能性があり、2025年と同様に厳しい暑さへの警戒が必要となる。鍵となるのが「エルニーニョ・ラニーニャ現象」。エルニーニョ・ラニーニャ現象は対となる現象で、太平洋熱帯域の海面水温が変化することで、大気の流れや降水の分布に影響を与える。近年は、地球の大気全体の気温が高い状態が続いていることに加えて、太平洋熱帯域の海面水温がラニーニャ現象に近い分布となる時期があった。2024/2025年冬から2025年夏にかけては、こうした状況が大気の循環に影響し、太平洋高気圧が強まりやすい背景となって、2025年夏の記録的な猛暑の一因になったと考えられる。2025/26年冬もラニーニャ寄りの海面水温分布がみられたため、2026年夏の前半にかけては前年に似た気象の背景となることが考えられる。
このため、2026年夏の前半は、太平洋高気圧が日本付近へ張り出しやすく、気温が高くなりやすい見通しだ。さらに、地球規模で気温の高い状態が続いていることや、日本近海の海面水温が高い状態が続いていることも、高温になりやすい背景要因とされる。偏西風の位置や太平洋高気圧・上層の高気圧(チベット高気圧)の張り出しなどの条件が重なった場合、近年に匹敵する厳しい暑さとなるおそれがある。
一方で、夏の後半は海面水温分布がエルニーニョ現象側へ移行する可能性があり、太平洋高気圧の勢力が一時的に弱まることで、台風の影響を受けやすいことも想定される。2026年夏は、猛暑への備えに加え、大雨や台風への備えも重要となる。
なお、本予報は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象に代表される熱帯の海洋の変動をもとに予測を行っている。熱帯の海洋に明確なシグナルがない状況においては予測が難しく、精度が低下すると考えられる。また、数週間程度の顕著な高温や低温、長雨などが予測できるのはひと月前を切ってからとなる。
春から秋にかけて、気象がビジネスへ与える影響
2026年の春~秋にかけて、気象がビジネスへ与える影響について、同協会は業種ごとの見通しを示している。
製造業、夏商材の需要早期化に留意
2026年も平年より気温の高い傾向が続き、前年と同様に早めに気温が上昇する見込みのため、冷感商品や飲料などの夏商材の需要が早期に立ち上がる見込み。暑い夏が続くことで、外出を控える、屋内で過ごす、買い物頻度を減らすといったライフスタイルが変化している可能性もあり、需要傾向の変化にも注意が必要としている。
小売業は売り場準備と在庫調整がポイント
夏商材の売り場展開は早めに準備することが推奨される。春から夏にかけては気温の変動が大きいため、短期の気象予測を活用した在庫調整を行うと、効率的な調整が可能になる。また、夏は高温による外出控えや雨による客足への影響が予想される。
アパレル業、夏物需要の長期化を予測
前年と同様に夏物の需要期間が長くなる見通しだ。秋口まで半袖で過ごせる暑さが続き、秋物の立ち上がりは遅れる見込み。前年は暑い夏から寒い冬への移行で秋物の需要期間が短くなったが、2026年は秋を感じる期間が長く、秋物の需要期間は前年よりも長くなると予想される。
エネルギー業は電力需給と発電量の変動に注意
4月以降に快適な気温の日が増えると電力余剰のリスクがあり、特に土日祝日や春の大型連休は注意が必要とされる。前年と同様に、暑さによる冷房需要のピークは早まる見通し。秋以降は長雨・台風の影響により、太陽光発電量が不安定化する可能性がある。
物流業は熱中症対策と遅延リスクが課題
気温の上昇が早いため、労働環境における早めの熱中症対策が必要とされる。夏後半から秋は、長雨・台風により物流遅延や在庫偏りの原因となる可能性がある。
農業は暑さ対策の前倒しが重要に
暑さの早い到来により、作柄への影響が生じる可能性がある。圃場(ほじょう)の水分状況や生育の進み具合をこまめに確認し、かん水や遮光などの暑さ対策を前倒しで行うと良いとのこと。また、夏後半から秋の天候不順によって、品質や収量に影響するリスクがある。長期と短期の気象予測を参考に対策を行うよう呼びかけている。


