
ドジャースの佐々木朗希が、わずか数十分で“別人”になった。現地3日(日本時間4日)のガーディアンズとのオープン戦。初回は23球を投げながら1死も奪えずKOされたが、再登板した2回以降は、22球で6アウトを奪う好投を披露した。まさに“ジキルとハイド”とも呼べる極端な投球内容だが、この裏にはある新球種の存在が見えてきた。(文・八木遊)
リリーフが適任?1死も奪えずノックアウト
やはり佐々木朗希は先発ではなく、リリーフが適任なのか―――。そう思わせざるを得ないオープン戦2度目の登板だった。
現地3日(日本時間4日)、ワールドシリーズ3連覇を目指すドジャースは、ガーディアンズと対戦。開幕ローテーション入りを狙う佐々木が今春2度目の実戦マウンドに登ったが、その投球は“ジキルとハイド”とも呼べる二面性のあるものだった。
まず1番打者のスティーブン・クワンと対峙した佐々木は、4球連続で98マイル(157.7キロ)前後のフォーシームを投じるもストライクが入らず。いきなり走者を背負う厳しい立ち上がりとなった。
続く2番打者の2球目にようやくストライクがコールされたが、直後のフォーシームをセンター前に運ばれる。さらに3番ホセ・ラミレスには、スプリットを連投するもフルカウントからこの試合2つ目の四球を与えて無死満塁のピンチを招いた。
そして4番カイル・マンザードに対しては、ストライクを先行させたものの、5球目のフォーシームを左中間スタンドに叩き込まれ、いきなり4失点の苦しい出だしとなった。
佐々木は続く5番打者に四球を与えたところで降板。打者5人に対して、1つのアウトも奪えず無念のノックアウトを食らった。
佐々木の乱調で追う展開となったドジャースだが、救援陣が2回以降、ガーディアンズ打線を沈黙させると、活発な打線が3回に2得点。続く4回に3点を奪って逆転すると、そのまま5-4でドジャースが勝利を収めた。
そして、この試合の最大の驚きが、佐々木が勝利投手になったことではないだろうか。
初回とは“別人”…22球で6アウト
初回に1死も奪えずマウンドを降りた佐々木だが、オープン戦の特別ルールによって2回裏に再びマウンドに上がると、数十分前とは見違えるような投球を披露した。
自らを救援する形で、3回まで2イニングを投げると、打者6人をピシャリ。レギュラーシーズンでは決してあり得ない白星まで転がり込んだ。
初回の佐々木と、2番手投手を挟んでリリーフした2回以降の佐々木はまさに別人だった。初回は打者5人に対し、23球を投じるもアウトを奪えず、ストライクも8球だけ。ストライク率は34.8%という乱調ぶりだった。
しかし3番手投手としてマウンドに上がった佐々木は、わずか22球で6つのアウトを奪い、ストライク率も59.1%に大きく改善。救援投手として結果を出した、昨季終盤からポストシーズンの投球を思い起こさせた。
佐々木を一変させた“第3の球種”
佐々木が再登板後に“一変”した理由だが、カットボールがうまく機能した可能性がある。佐々木はこのオフに、第3の球種として新球のカットボールを習得中。初回は23球のうちわずか5球しかなかったこの球種だが、再登板後は22球のうち10球と全体の半分近くを占めた。
佐々木のカットボールはスプリットとほぼ同じ球速だが、ボールの変化はスプリットほど大きくない。相手打線はフォーシームかスプリットの2ピッチ投手という印象を強く抱いているはず。そのため、ライバル球団の佐々木に対する分析が進むまでは、第3の球種が大きな武器となり得るだろう。
試合後、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は佐々木の開幕ローテーション入りに関して明言を避けたが、佐々木が昨季見せたリリーフ適性の高さを今季も証明し続ければ、あるいはブルペンで開幕を迎える可能性もあるだろう。
もしくはカットボールを習得し、投球の幅を広げることができれば、先発投手としてマウンドに立っていてもおかしくないだろう。佐々木が今季、飛躍できるかどうかは、カットボールが大きなカギを握っている。
【著者プロフィール】
八木遊(やぎ・ゆう)
1976年生まれ。スポーツライター。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。
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