アサヒグループホールディングスは、立教大学や龍谷大学の学生などと協働し、「責任ある飲酒」を実践的に学ぶことのできるボードゲーム『CARE & CHEERS(通称:ケアチア)』を開発。そのお披露目となる「責任ある飲酒を学ぶボードゲーム」発表会が開催された。
『CARE & CHEERS』は、お酒に関する悩みや困りごとに直面したプレーヤーに対して、ほかのプレーヤーがアドバイスや働きかけを行い、自分や周囲が飲酒トラブルに陥るのを未然に防ぐ声のかけ方や手助けの方法を体験できるボードゲーム。対象は20歳以上。「最終的には、一緒に飲む人たち同士のコミュニティの中で、お互いに支え合っていくことの大切さを学んでいただくことがこのゲームの目的」だと、アサヒグループホールディングス ソーシャルインパクト&アフェアーズ部門長の中村威氏は説明する。
アサヒグループでは、サステナビリティ活動に5つのマテリアリティを定義しており、その中のひとつである「責任ある飲酒」において、未成年飲酒の防止など「不適切な飲酒の低減」と、ノンアルコール・低アルコール飲料を開発・展開する「新たな飲用機会の創出によるアルコール関連課題の解決」といった大きく2つの取り組みが実施されている。
そして、不適切飲酒の背景として、仕事、家庭、経済的なストレスや不安、飲まないといけないプレッシャーなど、社会的・構造的・個人的問題が複雑に入り混じっている状況を指摘。その課題解決には、意識啓発や知識の獲得だけでなく、個人の様々な状況に配慮し、コミュニティで支え合い、理解し合うことが大事であり、今回開発されたボードゲームは、その“きっかけづくり”になるものだと、中村氏は紹介する。
ボードゲームの開発には、1年以上の期間をかけており、社内外のワークショップや体験会を通して、多様な飲酒スタイルの人々の経験や日常の飲酒シーンをヒアリングし、幅広いお酒にまつわるエピソードや考え方などが反映されている。さらに、お酒を飲み始めたばかりの世代の声を反映するため、立教大学法学部の薬師丸正二郎ゼミおよび同大学の有志の学生、「SUMADORI-BAR SHIBUYA」で働く大学生とも協働。お酒の席で困ったことや心地よく感じた場面など、学生たちの実体験をもとに、ゲームのルールやキャラクターの設計が行われ、完成した試作品は、学生同士のグループや、学生と社会人が混在するグループでトライアルを実施し、世代や飲酒に対する考え方に関わらず、さまざまなプレーヤーが一緒に楽しめるよう改良が重ねられた。
また、ゲームの効果を検証するため、社会言語学を研究する龍谷大学政策学部の村田和代ゼミとも協働。村田ゼミでは、プレーヤーのゲーム中の会話の分析および事前事後のアンケートによる実証研究が実施され、その結果、多くのプレーヤーが「周囲への気遣い」や「他者理解の重要性」を実感し、飲酒について自分とは異なる考え方の人の視点を持つようになっており、ゲーム中の疑似体験で、適切な介入方法や不適切飲酒に関する知識を得る効果があることも確認されている。
『CARE & CHEERS』は今後、社内外の研修・イベントで活用されるほか、アサヒビールが外部の企業や大学などで実施している「スマドリセミナー(適正飲酒セミナー)」などにおいて、従来の知識の習得に加えて、ゲームを一緒に体験してもらうことによって、「より体系的にこの課題を理解し、行動変容を少しでも促せれば」との考えを示した。
そして、『CARE & CHEERS』の開発に携わった学生からの発表も行われ、「友達と新しいことに挑戦したい」、そして「大学生になってお酒が急に身近になったものの、飲み会の場のトラブルにどう対処したら良いかわからないという漠然とした不安」から開発に参加したという、立教大学 法学部3年の城芽衣さんは、開発当初に行われた合宿の様子などを報告。1年以上、開発に携わったことで、自分自身のお酒に関する知識が深められただけでなく、「以前より、飲み会の場で他の人に配慮して、どんな気持ちかを考えることができるようになった」との感想を述べた。
一方、スマドリアンバサダーとして活動する、跡見学園女子大学4年の芹ヶ野真帆さんは、『CARE & CHEERS』のプロトタイプ版が完成した後から開発に参加し、ゲーム中の言葉遣いの改善など、ゲームの完成度を高める取り組みに従事。自身は「お酒を飲むのは苦手なタイプ」という芹ヶ野さんだが、初めてゲームを体験した際、お酒が好きで飲んでいる人にも悩みがあることに気付き、「多くの人が自分とは違う人の気持ちを理解できるようになれば、アルコールハラスメントなどの問題解決に貢献できるのではないか」との考えを示し、今後、多くの人にゲームを体験してもらうことで、「飲む人も飲まない人も、お互いを尊重できる飲み会が増えてほしい」との期待を明かした。
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(写真左より)アサヒグループホールディングス ソーシャルインパクト&アフェアーズの田畑氏、立教大学 法学部3年の城芽衣さん、跡見学園女子大学4年の芹ヶ野真帆さん、アサヒグループホールディングス ソーシャルインパクト&アフェアーズ部門長の中村威氏
また、発表会では、スマドリアンバサダーの2人と、当日初めてゲームを体験する2人による『CARE & CHEERS』の実演が行われ、初めて体験した2人からは、「とてもリアルで共感することが多かったが、自分の知らなかった気づきみたいなものもとても多く、楽しく学ぶことができた」、「周りの人の悩みや願望など、自分がこれまで気づけなかった範囲まで知ることができたり、それに対して、どのように働きかけたらよいのかを考える機会にもなった」といったコメントが寄せられた。






