フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)では、人気寿司店の熱血社長と従業員たちの姿を追ったシリーズ第2弾「人生を変える寿司2」を、3月1日・8日に放送。主人公は、悪ふざけや遅刻ばかりしている新人だ。
先輩たちの不興を買い、ついには“事件”まで起こしてしまうが、そんな彼に理解を示すのは、取材した25歳の小川将也ディレクター(ネツゲン)。その理由とは――。
髪を丸刈りにして心機一転を誓ったが…
東京に8店舗を構える「意気な寿し処 阿部」は、連日客でにぎわう人気の寿司店。何よりも「心意気」を大切にする社長・阿部浩さん(54)の下で修業に励むのは、一癖も二癖もある個性豊かな板前たちだ。少年院に入っていた者や、行き場を失った者でも、修業を希望する人間は拒まない。「どんな過去があっても人生は変えられる」が阿部さんの信念となっている。
2025年春、愛知県から上京してきたのはパンチパーマ姿の17歳・トワさん。入社式にも一人、大遅刻。修業が始まっても悪ふざけを繰り返し、ユウトさんら先輩たちの反感を買うことに。阿部さんに厳しく叱られ、髪を丸刈りにして心機一転を誓う。
空き時間には卵焼きの練習を繰り返し、その真剣な姿に、周囲の空気も少しずつ変わっていく。高校を退学処分になり、飛び出すように上京してきた彼にとって、店はいつしか大切な「居場所」になりつつあった。だが入社して半年が過ぎた頃、ある“事件”を起こしてしまう。ついには先輩たちからも距離を置かれ、大好きだった店が居づらい場所に変わっていく。状況を変えようと阿部さんはトワさんに、ある提案をするのだが、翌朝、彼は突然、姿を消してしまう…。
コミュニケーションを取りたいゆえの“ちょっかい”
第1弾では入社13年目(当時)のサワさんを中心に追っていたこともあり、今回は新人の成長を見届けようと、トワさんが主人公に。入社以来、無遅刻・無欠勤というユウトさんとの関係も気になっており、「パンチのあるトワさんがユウトさんと同じ店で働いたらどうなるんだろうと思っていたんです。ある種の師弟関係のようなものが見せられたらいいなと想定したのですが、実際に一緒になったらなかなか大変でしたね」と一筋縄にはいかなかった。
仕事に対する姿勢は正反対だが、2人の気持ちにはそれぞれ理解できる部分があったという。
「トワさんは入社式でふざけてしまって、“大丈夫なんだろうか”と思いながら撮っていたのですが、話したり交流する中で、“この子は自分の芯がある子だ”と分かってきたんです。一人で覚悟を決めて上京したけど、うまくいかないもどかしさ。彼は17歳で全然状況は違いますが、私も奈良から上京してきたので、東京に来て友達ができない気持ちも分かりました。
先輩にちょっかいを出してしまうのも、よくよく聞くと、彼としてはコミュニケーションを取りたくてやっていたことが分かったんです。“だからこういう行動を取っていたのか”と理解できるのですが、それに怒るユウトさんの気持ちもよく分かる。私はどちらかというと真面目側なので、トワさんのような子が同じ会社にいて年も近かったら、イラッとしてしまう部分もあるだろうなと思いました」
人生の再出発の物語を届ける意義
前回の第1弾がディレクターデビューだった小川D。当時の取材は、「本当にいろんな出来事が起こるので、ただただそこに食らいつくのに必死でした」と翻ろうされたことが反省点だというが、今回は「トワさんとユウトさんの関係がどうなるのか、という目線を持てたことが大きかったと思います」とテーマを設定し、腰を据えて臨むことができた。
しかし、そのまま想定内に進まないのがドキュメンタリー。「“こうなっていくんじゃないか”と思っていたものが崩れるのが、やはり面白いところでもあるなと思いました」と、制作の醍醐味を感じたようだ。
「意気な寿し処 阿部」の人々を追っていくことで、人生の再出発を描く「人生を変える寿司」シリーズ。この物語を届けることによって、「誰もが人生で転んでしまったり、何か影があったりすると思うのですが、それでも前向きに生きていく大切さが伝えられたらと思います」と力を込めた。


