「くたびれた老人バンドにはならない」──CIRCLE JERKS初来日、キース・モリスが放つ覚悟

1979年に結成され、『Group Sex』でLAハードコアの原型を刻んだサークル・ジャークス(CIRCLE JERKS)が、ついに初来日を果たす。2020年に予定されながらパンデミックで幻となった公演から6年、その約束が実現する。ゴリラ・ビスケッツ(GORILLA BISCUITS)とのダブルヘッドライナー・ツアーで日本のステージに立つ彼ら。ブラック・フラッグ(Black Flag)初代ボーカルとしても知られるキース・モリスに、レガシーと現在地を訊いた。

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─ 今回がCIRCLE JERKSとしての初来日公演になります。2020年に予定されていた初来日が延期・中止になったあと、2026年2月に実現する今の気持ちを一言で表すと? そして日本で最初に体験したいことは何ですか?

キース:「最高!」って気分だよ。日本に行けるのをずっと待っていたからね。まず体験したいこと?  そうだな、朝食にフィリピンから空輸されたフレッシュなマンゴーでも食べられたら最高だね。どうだい、ちょっとロックスターっぽいだろ? でも実際は、デニーズみたいな店で十分なんだ。ワッフルハウスやIHOP(インターナショナル・ハウス・オブ・パンケーキ)と大して変わらない場所でさ。

─ 2月25日〜27日の日本公演は、各日ローカルのオープニング・アクトがいます。日本のパンク/ハードコア・シーンを体感できそうですね。

キース:とにかく観客がぶっ飛んでるところを見たい。狂乱、熱狂、制御不能のカオスだ! 「ゴジラ対キングコング」くらいの衝突! せめて「ゴジラ対モスラ」でもいい。黒澤明の『七人の侍』で山賊が村を襲うあの緊迫感みたいなやつさ。よし、来い!

─ 『Group Sex』はTrust Recordsによる40周年再発で、あらためて”パンク史の重要な一枚”として更新されました。いま自分たちで聴き返すと、当時の何がいちばん鮮明に蘇りますか?

キース:カリフォルニア州イングルウッドにあった通称”ピンク・ハウス”の、薄暗いガレージに立っている自分の姿が蘇る。あそこは当時、俺たちの拠点であり、LAハードコアが荒削りなかたちで産声を上げていた現場のひとつだった。

重たい木のドアを背にして、壁には防音代わりに使い古しのカーペットや空っぽの卵パックが打ちつけられていた。完全なDIY空間。スタジオでも何でもない、ただのガレージだ。でも『Group Sex』の爆発的なスピードと怒りは、まさにあの空間から生まれた。

近所の大人たちは、俺たちの騒音やグレッグ・ヘトソンの鮮やかなオレンジ色の髪の彼女、そしてあの無秩序な空気にも案外寛容だった。でも子どもたちは本気で嫌がっていたね。たぶん俺たちはジャクソン5みたいには聴こえなかったんだろう。まあ、仕方ないさ……。

─ Circle Jerksの初期曲は、いまの観客の前でも同じ曲なのに別の意味を帯びることがあると思います。2026年のステージで、あなたたちが「変えない部分」と「変わった部分」をそれぞれ教えてください。

キース:今の政治や社会状況には怒るべきことが山ほどある。CIRCLE JERKSのメッセージは最初から変わっていない。”俺たち対やつら”――あるいは”ダビデ対ゴリアテ”だ。俺たちは”どこにでもいる普通の人間”の側にいる。そして――これはとても大事な「そして」なんだけど――できる限り楽しまなきゃいけない。バンドとしては、より良い人間になり、より良いプレイヤーになった。それが進化だよ。

─ 2025年には「新曲を作るなら”最高のもの”でなければ意味がない」という趣旨の発言がありました。いま新しいCircle Jerksを作るうえで、何が絶対条件になりますか?

キース:エネルギーだ! くたびれた老人バンドみたいに登場するわけにはいかない。同じ系譜のバンドは山ほどいるし、俺たちは70年代後半から80年代初頭に自分たちが作るのに関わったものの見本でなきゃならない。以前、メンバーのひとりが冗談まじりに「俺たちはCIRCLE JERKSなんだから、何を録ってもファンは愛してくれる」と言ったことがある。でも、それほど甘くてナイーブな考えはない。そんなふうにはいかないんだ。28年間も新曲を出していないんだから、本気でやるしかない。全弾発射で、命が懸かっているくらいの覚悟でね。

「俺たちは押しつけられたくないし、命令されたくもない」

─ Circle Jerksの歌詞やMCは、社会状況への反応として読まれることが多いと思います。近年のステージでも政治的発言が報じられましたが、2026年のいま、あなたが言葉で手放したくないテーマは何ですか?

キース:言うべきこと、書くべきこと、叫ぶべきことは多すぎる。俺のテーマはアメリカで起きている出来事に基づいているけど、世界全体にも通じるものだ。不平等、持てる者と持たざる者の格差の拡大、現代の奴隷制、上にいる連中の思いやりの欠如、寡頭政治、本当に重要な問題に対する無関心――そういうものだ。目を覚ませ。周囲を見ろ。俺たちは押しつけられたくないし、命令されたくもない。

─ 今回のツアーはGORILLA BISCUITSとのダブルヘッドライナーです。LAハードコアとNYハードコアはしばしば対照的に語られますが、同じ夜に並ぶことで何を証明したいですか?

キース:GORILLA BISCUITSのことは昔から知っていたけど、正直に言えばちゃんと音楽を味わう時間はなかった。世の中には音楽が多すぎるし、全部を追いかけるなんて無理なんだ。今回は何本も一緒にやるから、彼らのサウンドをじっくり知ることができる。最高のダブルヘッドライナーだよ。東海岸だ西海岸だという区分は俺にはあまり意味がない。どれも最高にヤバい音楽さ。

─ 2月25日のオープニング・アクトCOKEHEAD HIPSTERSは、バンド名がCIRCLE JERKSのリリック由来で、さらにWalter Schreifelsが作品をプロデュースした縁も紹介されています。

キース:〈Cokehead hipsters〉は「I, I AND I」という曲の一節だ。あえて言うけどダジャレじゃない(笑)。この曲は俺たちの友人であるクリスD(『Slash Magazine』のライターであり、Slash/Ruby RecordsのA&R、そしてThe Flesh Eatersのフロントマン)と、同じくThe Flesh EatersやPlugzで活動していたティト・ラリヴァが共作した。俺はこの曲が大好きで、一時期は「セットリストに入れないならライブはやらない」と言ったくらいだ。旗は振り続けなきゃならないし、トーチも渡していかなきゃいけない。新しいバンドが前に進むことが大事なんだ。COKEHEAD HIPSTERSにさらなる力を!

─ 長いキャリアの中で、あなたたちは年齢と身体性をどう両立してきましたか? 続けるために変えたこと/変えなかったことは?

キース:80年代後半に酒と”ハリウッド・ハッピー・パウダー”(コカインのことだ)をやめた。28年前に糖尿病になってからはタバコもやめたし、もう恋しくもない。パーティーの招待状は来なくなったけどね。最近は胆石も見つかってカフェインも断った。糖尿病もあるから食事もかなり見直した。おかげで、より健康的なバカ騒ぎ野郎になったよ。でも態度だけは絶対に変えない。

─ 最近のインタビューで若い観客がリアルなものを求めて会場に来ている、という手応えが語られていました。「リアル」とは具体的に何だと思いますか?

キース:リアルっていうのは、怒り、電気のようなバイブレーション、汗、こぶ、傷、切り傷、縫い跡、傷跡、青あざ、ニキビ、いぼ、埋没毛、頭痛、耳鳴り、鼻血、ブラックアイ、骨折――そしてバンドと同じくらい重要な観客の熱狂だ。オートチューンもいらない。8人がかりで曲を書いて、高価なスタジオ機材のほうがエレキギターより優れているなんて言う自己陶酔したセレブもいらない。そんな連中は勝手にやってくれ。

─ あなたが今も聴く度に刺激を受けるアルバムや楽曲は何かありますか? その理由も合わせて教えてください。

キース:Xの「Universal Corner」、The Rolling Stonesの「Jumpin' Jack Flash」、Televisionの「See No Evil」、Sparksの「This Town Ain't Big Enough For The Both Of Us」、Gun Clubの「Bad Indian」、Iggy And The Stoogesの「Search And Destroy」、The Beatlesの「Revolution」、The Jesus Lizardの「Puss」、Alice Cooperの「Long Way To Go」、Concrete Blondeの「Still In Hollywood」、Jackie Lomaxの「Sour Milk Sea」、Procol Harumの「Whisky Train」、The Who版「Young Man's Blues」……ほかにも何百曲もある。俺は音楽を難しく考えたいわけじゃない。ただ心を動かされたいんだ。ロックしようぜ。

CIRCLE JERKS × GORILLA BISCUITS ジャパン・ツアー

 

東京 2月25日(水)渋谷クラブクアトロ

OPENING ACT:COKEHEAD HIPSTERS

■OPEN 18:00 / START 18:30

■TICKETS:¥9,800 (税込/All Standing/1ドリンク代別途)

<問>クリエイティブマン 03-3499-6669

 

東京 2月26日(木)Shibuya Spotify O-EAST

OPENING ACT:WIPES

■OPEN 18:00 / START 18:30

■TICKETS:¥9,800 (税込/All Standing/1ドリンク代別途)

<問>クリエイティブマン 03-3499-6669

 

大阪 2月27日(金)梅田CLUB QUATTRO

OPENING ACT:TIVE

■OPEN 18:00 / START 18:30

■TICKETS:¥9,800 (税込/All Standing/1ドリンク代別途)

<問>梅田クラブクアトロ:06-6311-8111

 

企画・制作:クリエイティブマンプロダクション

※公演の延期、中止以外での払い戻しはいたしません。

※未就学児(6歳未満)のご入場はお断りいたします。

公演ウェブサイト:https://www.creativeman.co.jp/event/circle-jerks-gorilla-biscuits/