
ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が、今季の上位打線構想の一部を明言した。1番・大谷翔平、3番・ムーキー・ベッツ――。一見すれば豪華布陣に映るが、その配置が思わぬ副作用を生む可能性もある。今回は、盤石に見える打線の裏に潜む“構造的リスク”を探る。(文・八木遊)
大谷1番、ベッツは3番での起用を明言
ドジャースのロバーツ監督は、キャンプ地のアリゾナで今季の上位打線に言及。主砲・大谷翔平を引き続き1番に固定する方針を示した上で、昨季は主に2番を務めたムーキー・ベッツの打順を1つ下げ、3番打者として起用することを明言した。
気になる「2番と4番は決まっていない」としつつも、MVPトリオの一角、フレディ・フリーマンと、シカゴ・カブスから新たに加入したカイル・タッカーを両打順に配置することはほぼ間違いないだろう。
さらに5番以降にも、昨季首位打者を争った捕手のウィル・スミス、左翼への転向が決まっているテオスカー・ヘルナンデスらが並ぶ破壊力抜群の打線が見られそうだ。
しかし、他球団には脅威となるドジャース打線だが、不安材料が全くないわけではない。
上位打線に押し寄せる「高齢化」と「右打者不足」
上位打線を担うとみられる名前の挙がった6人の打者のうち、タッカーを除く5人はすでに30代に突入。中堅からベテランの域に差し掛かっている。6人衆の中で最も若いタッカーにしても、29歳を迎え大きな上がり目は期待しづらい。
そしてもう一つ気掛かりなのが、上位打線4人のうち3人が左打者という点だ。
唯一の右打者はベッツで、2番から3番への打順変更は本人にはプラスとなるだろう。
俊足も魅力のベッツはレッドソックス時代から1番を打つことが多く、実際に大谷が加入した2025年もシーズン途中までリードオフマンを務めていた。ところが死球による骨折のため戦列を離れている間に大谷が1番に定着。ベッツは復帰後に2番を任されていた。
しかし、タイプ的にはある程度の制約を受ける2番よりも自由に打てる1番がベター。昨季は体調不良などもあったが、不本意な成績で終えたのは2番という打順も影響したはずだ。2番ほど制約のない3番なら下落基調だった打撃もV字回復する可能性は十分あるだろう。
一方で、2番に左のフリーマンかタッカーが入ることは、大谷の打撃に悪影響を及ぼす可能性もあるかもしれない。
59盗塁→20盗塁…さらに減少の可能性
1番と2番に左打者が続くことで、相手チームは迷わずサウスポーを試合終盤にぶつけてくるだろう。大谷にサウスポーを苦手としているイメージはあまりないが、左右投手別の成績を比べると、左投手にはかなり手こずっていることが分かる。
例えば昨季のOPSは、対右の1.076に対して、対左は.898。メジャー通算で見ても、1.009と.850と顕著な差が出ている。
さらに、打撃以上に数字を落としそうなのが盗塁数だ。
今季は開幕から投手として登板する見込みで、むやみに走ってくることはないとみられる。実際、投手に復帰した昨季も前年の59盗塁から20盗塁に激減。今季はさらに減少することも予想される。
さらに2番に左打者が入ることで、一塁走者としても左投手と対峙することが増えるだろう。実は昨季マークした20盗塁のうち19盗塁は右投手からのもので、左投手が相手の時は4回の企図がありながら、盗塁成功は1回だけしかなかった。
ドジャース上位打線に押し寄せる高齢化と、左打者の偏重―――。重箱の隅をつつくような不安要素ではあるが、ベッツを3番に据えることは得策なのか。さらに言えば、そもそも1番大谷がベストなのかも含めて、ロバーツ監督の判断に注目が集まる。
【著者プロフィール】
八木遊(やぎ・ゆう)
1976年生まれ。スポーツライター。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。
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