MMDLaboによる、ポイント経済圏に関する現状の分析では、通信キャリアの4つの経済圏に2つの経済圏を加えた「6大経済圏」が国内にあり、それぞれ特徴的な経済圏を構築しているが、今後は金融と通信の連携や定着率の向上が注目点で、同社の代表取締役である吉本浩司氏は、「ポイント経済圏の競争は、定着のさせ方の競争になってきた」と分析する。
楽天が強い経済圏、PayPay、ドコモも猛追
6大経済圏は楽天(楽天ポイント)、NTTドコモ(dポイント)、ソフトバンク(PayPayポイント)、KDDI(Pontaポイント)の通信キャリア系4社と、三井住友フィナンシャルグループ(Vポイント)の金融系、イオン(WAON POINT)の流通系を加えた6つを指している。同社では「通貨としての共通ポイントを提供し、自前で決済サービスを提供していること」、そして、「通信、金融、買い物などでポイントを使って貯められる機能を備えていること」と定義している。
同社は長くモバイル関連の調査をしてきたが、通信事業者が金融やポイント事業に進出したことから経済圏の調査にも力を入れ、定期的に結果を発表している。今回、2025年12月11~15日にかけて行われた、25,000人のユーザー調査からポイント経済圏の現状が分析された。
現在活用しているポイントと、最も使っているポイントを聞いた設問では、いずれも楽天ポイントが圧勝。特にメインで活用しているポイントでは2位以下に倍以上の差を付けている。メイン利用のポイントとしては楽天が57.1%と6割近くに達していることから、「楽天ポイントと他にも複数のポイントを使う」という人が多いと吉本氏は分析する。
1年前と比較すると、楽天ポイントの傾向は変わらないが、dポイントとPontaポイントがやや上昇。これは両社が通信プランとの組み合わせた、いわゆるポイ活プランの影響があると考えられる。
通信会社の利用状況を見ると、メイン回線だとドコモが23.8%と多いが、通常の4社の契約数シェアとは一致せず、楽天モバイルが10%近くを占めていた。低価格プランを含むドコモ系は29.8%、KDDI系は22.4%、ソフトバンク系は19.7%だり、携帯電話の契約数シェアと比較して楽天モバイルが大きいという結果だった。
料金プランの調査では、実際にポイ活プランを利用しているという回答は多くはなかったが、各社とも短期解約ユーザーよりも長期利用者を優遇する傾向を強めており、この割合が今後上昇する可能性はある。
ポイントの貯め方は各経済圏が特徴的だが、特に楽天ポイントとWAON POINTは傾向が明確で、それぞれECサイト(楽天市場)、スーパー(イオン)で貯めているという人が7~8割となった。
逆にまんべんなく貯める場所が分散しているのがdポイントやPontaポイントで、両社とも通信料金で貯めている人が多いのは、各キャリアの利用者が多いことを意味している。対照的に少ないのがPayPayで、キャリアフリーのユーザーが多いことが伺える。楽天も上位項目に通信料金が入っておらず、これはユーザー数が少ないという影響もありつつ、他の楽天サービスが強いと言えそうだ。また、dポイントはポイント利用場所もまんべんなく分散している点も特徴だった。
普段利用する支払い方法を聞くと、約75%が現金だったが、9割の時代もあったことから考えると割合は下がってきている。増えてきているのはクレジットカードのタッチ決済で、コード決済は前回調査から1.2ポイント増で微増にとどまった。コード決済は利用金額は増加が続いているものの利用人数が伸び悩んでおり、利用者の増加が難しくなってきていると吉本氏は見ている。
クレジットカードを利用している人は、楽天カードが圧倒的に多く、メインカードとしては2位のdカードに3倍以上の差を付けていた。ただ、楽天カードは一般カードが圧倒的に多いのに対して、dカードはdカード GOLD・PLATINUMという上位カードが強い。しかも、こうした上位カードの利用者はメイン利用にする割合が多く、特にdカードの上位カードユーザーは高い割合になっていると吉本氏は語る。
コード決済利用者は、PayPay利用者がPayPayが圧倒的。利用しているコード決済でもメイン利用でも多くの人がPayPayと回答していた。上位4社はPayPay、楽天ペイ、d払い、au PAYで、全体の93%を占めるという結果となった。すでにゆうちょPayなどが撤退したが、ここに新たに食い込むのは難しいというのが吉本氏の考えだ。
銀行と証券という金融サービスは、銀行口座こそゆうちょ銀行が強いが、楽天銀行と楽天証券が高いシェアを確保。メガバンクに続いてPayPay銀行や住信SBIネット銀行が伸びている。証券では、複数の経済圏と連携するSBI証券、ドコモ傘下のマネックス証券、PayPay証券も伸びており、ポイント運用・ポイント投資など経済圏での活用が進んでいる。こうした金融サービスは粘着性が高く、今後競争軸になってくると吉本氏は分析している。
6大経済圏の中で最も意識している経済圏は楽天経済圏が42.9%とやはり強い。PayPayが17.8%、ドコモが16.4%と続く。
特徴的なのは年代で、10代はPayPayが圧倒的に高い。これは実際の取材でも同様の印象で、すでに周囲の人がみんなPayPayを使っているから自分も、という声は多い。20代以上は楽天が逆転し、50代が最も多くなる。10代からは「親は楽天を使っている」という声は良く聞く。
それぞれの経済圏で使われているサービスは、ドコモとauは通信が圧倒的に多い。auは電気やガスが多いのが特徴的。PayPayはコード決済が圧倒的で、Yahoo!ショッピングがあるため、ECサイトの利用者も多い。
ECサイトが圧倒的に強いのが楽天で、他と比べてクレジットカードが多いほか、銀行と証券も強い。イオンはWAONの電子マネー、Vポイントは、Tポイントからの移行組かポイントカードが多く、特徴的なのが「クレジットカードのタッチ決済」が多いという点。これは三井住友カードの効果だろう。
これは、経済圏に参加した理由にも繋がっており、ドコモとauは通信料金がきっかけで、携帯を契約して自然にポイントが貯まり、ショップの店頭でクレジットカードを勧められて契約した、というパターンが多いようだ。PayPayはコード決済、楽天はECがきっかけで、吉本氏は「自然に貯まって意識し始めるドコモ、auと、アクティブに使ってポイントを貯めるPayPayと楽天」という違いがあると指摘する。
経済圏はそれぞれ通信キャリア、小売・EC、金融・決済、交通・マイルといった顧客基盤から成り立っているが、吉本氏は経済圏のきっかけという入口ではなく、その後いかに定着をさせるかという点で競争が起きていると指摘する。
これは例えば住宅ローンや資産運用など、金融サービスを活用した競争で長期利用に繋がることを狙う。さらに、「未来にはライフステージの戦いになる」と吉本氏は予測している。これはヘルスケアといったサービスが強化されるとみているためだ。
通信キャリア4社の場合、楽天は小売・ECが強く、利用に応じてポイントがアップするSPUでの定着を図る。課題としては、モバイルで2000万契約を目指す楽天は、通信料金以外の面で価値を提供することが必要。
PayPayは若年層に強く加盟店数も多くやアプリの接触頻度も高い。Visaとの提携でクロスボーダー決済も重視、さらなる高額決済への拡大がポイントになってくる。ドコモは上位カードのロイヤル形成と銀行・証券の一体化したサービスに向けた取り組みが課題。auは、これにローソンという小売をいかに生かすかがポイントとなってくる。
吉本氏は各社に対してこうした分析を示しつつ、2026年から2027年にかけて、ポイント経済圏では金融競争が激化すると指摘。どのように定着させるか、各社の競争が注目される。















