貯蓄と投資、どちらも大切なのはわかっていても、「何がどう違うの? 」「結局どちらを優先すればいいの? 」と迷ったことはありませんか。貯蓄はなんとなく安心、投資はリスクが怖い。そんなイメージだけで判断してしまうのは、少しもったいないかもしれません。

貯蓄と投資は対立するものではなく、それぞれ役割の異なるお金の使い方です。この記事では、両者の違いを整理しながら、目的に応じた貯蓄と投資の上手な使い分けをご紹介します。「今年こそお金のことをきちんと考えたい」という方は、ぜひ基本から見直してみましょう。

貯蓄・投資の平均金額や割合は?

そもそも、周りの人はどのくらい貯蓄や投資をしているのでしょうか。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額の平均は1,940万円、中央値は720万円となっています(平均は資産を多く持つ世帯の影響で高く出る傾向があり、中央値のほうが実態に近い)。

一方で、単身世帯の金融資産保有額の平均は919万円、中央値は130万円とされており、世帯形態によって資産の規模が大きく異なることがわかります。 なお、金融資産には預貯金だけでなく、株式や投資信託、保険なども含まれます。

次に、同調査から、それぞれの世帯で金融資産をどのような内訳で保有しているのか抜き出してみましょう。

・二人以上世帯: 預貯金745万円(約38.5%)、保険364万円(約18.8%)、有価証券727万円(約37.5%)、その他の金融商品102万円(約5.3%)

・単身世帯: 預貯金373万円(約40.6%)、保険158万円(約17.2%)、有価証券349万円(約38%)、その他の金融商品38万円(約4.1%)

こうして見ると、いずれの世帯も最も多いのは全体の約4割を占める預貯金ですが、それとほぼ同じくらいの有価証券も保有していることがわかります。また、保険はそれらの半分程度、そして、その他の金融商品はさらに少ないという傾向が見て取れます。

では、実際に貯蓄と投資の割合を考える際は、どのくらいを目安にすればいいのでしょうか。家族構成や投資に割り振れる金額、投資の目的などにもよりますが、安全性を重視するなら「貯蓄: 投資=7: 3」を目安にするのがおすすめです。

この割合をひとつの基準としつつ、住居費や教育費など大きな支払いが控えている場合は、貯蓄の比重を高めておくと安心です。一方、十分な貯蓄を確保したうえで家計に余裕がある場合は、「貯蓄: 投資=5: 5」までを目途に、投資の割合を少しずつ増やしていくといいでしょう。

ただし、これらの割合はあくまでも一般的な目安として捉え、自分のライフスタイルやリスク許容度に合わせて調整していくことが大切です。

貯蓄とは、安全にお金を確保する仕組み

次に、貯蓄とはどのような仕組みなのか、改めてその内容を確認してみましょう。

<貯蓄とは>

貯蓄とは、将来の支出や不測の事態に備えて、手元にお金を安全な形で置いておくことを指します。主な方法は、銀行の「普通預金」や「定期預金」、毎月一定額を積み立てる「積立預金」などです。

貯蓄の最大の目的は、お金を「増やすこと」よりも、「必要なときに確実に使える状態で確保しておくこと」にあります。そのため、貯蓄は生活防衛資金として重要な役割を果たします。

たとえば、病気やケガによる医療費、突然の失業、家電の故障など、予期せぬ出費は誰にでも起こり得ます。こうした緊急時に、すぐ使えるお金があるかどうかで、家計の安心感は大きく変わるのです。

一般的には、生活費の3〜6ヶ月分程度を貯蓄として確保しておくと安心できます。

<貯蓄の特徴とメリット、デメリット>

貯蓄の特徴としてまず挙げられるのが、原則として元本が保証されていることです。「預金保険制度」の範囲内であれば、万が一金融機関が破綻した場合でも、一定額までお金が保護されます。また、利息はごくわずかではあるものの、基本的にマイナスになることはありません。

さらに、いつでも引き出せる流動性の高さも大きな特徴です。急な出費が必要になった際、すぐに現金化できる点は、投資商品にはない強みといえるでしょう。

また、人生の節目となるさまざまなイベントに備えるうえでも、貯蓄は重要な役割を果たします。結婚や新生活のスタートにかかる費用、出産・子育てに必要なお金、住宅購入時の頭金など、まとまった支出が見込まれる場面では、あらかじめ計画的に貯蓄しておくことが欠かせません。

このように、貯蓄には多くのメリットがあります。元本が守られている安心感があり、仕組みもシンプルで、金融知識が少なくても始めやすい点は大きな利点です。

一方で、デメリットも存在します。現在のような低金利の状況では、貯蓄だけでお金を大きく増やすことは難しく、物価が上昇すると、実質的な価値が目減りしてしまう可能性があります。

投資とは、お金を働かせて増やす仕組み

続いて、投資とはどのような仕組みなのか見ていきましょう。

<投資とは>

投資とは、将来の利益を目指して お金を「働かせる」ことです。単に預けておくだけの貯蓄とは異なり、株式や投資信託、債券などの金融商品に資金を配分して、値上がり益や配当・分配金などの利益を期待することが基本です。

つまり、お金を「ただ保管」するのではなく、増やしていくことを目的とした資産運用の一つの形です。

<主な投資商品>

投資の代表的な商品としては、まず「株式」があります。株式投資は、企業の株を購入してその価格の変動や配当を通じて利益を得る方法です。市場に上場している株式は企業の業績や景気動向によって価格が変動するため、他の金融商品と比べてリターンが大きくなる可能性がありますが、同時に価格が下落するリスクもあります。

もうひとつ、多くの初心者に適した投資商品として「投資信託」があります。投資信託は、複数の投資家から資金を集め、専門家が国内外の株式や債券などに分散して運用する金融商品です。少額からでも投資が可能で、複数の資産に分散して投資するため、特定の企業や資産に資金が集中するリスクを抑えやすいという特徴があります。

また「 債券」は国や企業が発行する借入証書のようなもので、あらかじめ決められた利息収入を得られる商品です。株式に比べると価格変動リスクは低い傾向にあり、比較的安定した収益を期待するときに活用されます。

さらに、投資を始める際の入り口としてよく紹介されるのが、税制優遇制度である「 NISA(少額投資非課税制度) 」です。NISA口座で株式や投資信託を運用すると、配当や売却益に対する税金が非課税になります。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAではこの税金がかからないため、効率よく資産運用できるメリットがあります。

<投資の特徴とメリット、デメリット>

投資には、預貯金のような元本保証は基本的にありません。短期間で価格が大きく動くこともあり、購入時より低い価格で売却する可能性もあります。

それでも投資が注目されているのは、長期的な視点で取り組むことで、お金を増やせる可能性が広がるからです。株式市場は、短い期間では上下を繰り返しながらも、長い目で見ると成長してきた歴史があります。投資の期間をしっかり取ることで、値動きの影響を受けにくくなり、結果として資産を増やしやすくなります。

また、投資においてリスクを抑える基本的な考え方が「分散投資」です。投資先やタイミングを分けることで、特定の商品や時期に左右されにくくなります。株式や債券といった資産の種類だけでなく、国内外の市場に分散することも、安定した運用を目指すうえで有効です。

貯蓄と投資の上手な使い分け方

貯蓄と投資を上手に使い分けるためには、感覚やイメージだけで判断するのではなく、目的と期間を明確にすることが大切です。

まず考えたいのは、「いつまでに」「いくら必要なのか」という目標です。たとえば、3年後に使う予定のお金なのか、10年、20年先の将来に向けた資金なのかによって、取るべき方法は大きく変わります。

目標額と期間が決まったら、それに応じて貯蓄と投資の割合を考えます。一般的に、短期間で使う予定のあるお金ほど、貯蓄中心にしておくのが安心です。たとえば、1〜3年以内に使う教育費や住宅購入の頭金などは、価格変動の影響を受けにくい預貯金で確保しておくと、計画が立てやすくなります。

一方で、10年以上先を見据えた長期の目標であれば、投資の比率を高める選択肢も考えられます。老後資金や長期的な資産形成など、時間を味方につけられる場合は、価格変動のリスクを分散しながら、投資による成長を取り入れやすくなるからです。

このように、期間が長いほど投資を活用しやすく、期間が短いほど貯蓄の役割が大きくなります。

重要なのは、貯蓄と投資を「どちらか一方」として選ぶのではなく、ゴールに応じて役割を分けることです。すべてを貯蓄にすると増えにくくなり、すべてを投資にすると不安が大きくなりがちです。

目標やライフステージに合わせて割合を調整しながら、定期的に見直していくことで、無理のない資産形成につなげることができます。

バランスを意識して貯蓄と投資を組み合わせよう

貯蓄と投資は、どちらが正しいかを比べるものではなく、目的に応じて使い分けるものです。貯蓄は暮らしの安心を支える土台となり、投資は将来に向けて資産を育てる役割を担います。まずは必要な貯蓄を確保し、そのうえで目標や期間に合わせて投資を取り入れることが大切です。

自分のライフステージに合ったバランスを意識しながら、無理のない形で資産形成を進めていきましょう。