お笑い芸人としての顔を持ちながら、映画や絵本でも独自の世界観を築いてきたキングコング・西野亮廣。その最新作『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』の裏側には、かつての“相方の不在”と“それでも信じて待ち続けた日々”があった――。華やかなファンタジーの裏に込められた、知られざる物語とは。
9日、都内で行われた『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(3月27日公開)の登壇イベントに、カジサック(梶原雄太)、MEGUMIとともに登壇した西野。
前作『えんとつ町のプペル』に続く今回の物語について、西野は「前作でプペルがいなくなってしまったんですが、ルビッチは戻ってきてほしいと思っていて、あの手この手でプペルが戻ってくるようにやってみるんですが、なかなか戻ってこない。これ以上期待しても戻ってこなかったときにつらすぎるといって、ルビッチは諦めてしまい、次に進もうとするところから始まる物語です」と説明。
その物語の根底には、自身の“とある経験”があるという。
「22、3歳ごろだったんですが、自分たちキングコングは幸か不幸か、デビューが早くて。運でしかないんですけど、お仕事もたくさんいただいたんですが、どこに行っても結果が出せなかった」
そのプレッシャーの蓄積が原因で、当時の相方・梶原が突然姿を消すことに。
「ついには梶原さんが病んでしまって、失踪してしまったんです。ある日、急にいなくなってしまったんです。そこから3日くらい連絡が取れなくて、ようやく見つかったんですけど、とても仕事に復帰できるような状況ではないということで、無期限の活動休止が発表されて……」
その後、事務所から「1人での活動再開」を提案された西野。しかし、そこで彼が選んだのは、“待つ”という選択だった。
「最初はちょっと揺れたというか、『1人でやるしかないかもな』とも思ったのですが、万が一、自分が1人でやってうまくいってしまったら、本当に梶原くんが帰ってくる場所がなくなってしまうなと思ったんです」
当時を振り返り、「漫才をしているときが楽しかったし、2人でしゃべっているときも楽しかった」と話す西野は、このすべてを失いたくないという思いで踏みとどまったという。
「梶原くんが戻ってくる選択肢は、僕が待つということ以外ないなと。それを決めた日があったんですが、自分の人生を振り返ったときにいちばん覚悟を振り絞った」
「僕は頑張り屋さんなので、自分を信じることは結構できるんですけど、戻ってくるかわからない人を信じる、待つのは非常に大きな覚悟や体力、勇気が必要。これは描くに値するテーマだなと思って、ここが軸にあります」
つまり、新作『約束の時計台』は、ルビッチがプペルを信じて待つ物語――それはまさに、かつての西野が梶原を信じて待った日々と重なる。アニメの世界に込められた静かな“真実”に、多くの観客が心を動かされることになりそうだ。





