2026年の幕開けとなる冬ドラマが早くも序盤から中盤に差し掛かりつつある。今冬は各局が強力な主演俳優を立てて挑む力作ぞろい。しかし、早くも数字と評判の両面で明暗が分かれつつある。
ここでは主要作がそろったこのタイミングで「本当に質が高くて、今後期待できる作品」を唯一のドラマ解説者・木村隆志がピックアップ。俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視」したガチンコで、今回の第1弾では2026年冬ドラマ主要23作の傾向とおすすめ5作、後日掲載の第2弾では目安の採点付き全作レビューを挙げていく。
2026年冬ドラマの主な傾向は、【[1]「オリジナルで真っ向勝負」の背景 [2]「嘘」が渦巻く物語が続出】の2つ。
傾向[1]「オリジナルで真っ向勝負」の背景
今冬は近年でも最高水準と言えるくらいオリジナル作品がそろった。
ゴールデン・プライム帯のオリジナルは、『ヤンドク』(フジテレビ系、月曜21時)、『夫に間違いありません』(カンテレ制作・フジ系、月曜22時)、『替え玉ブラヴォー!』(NHK総合、月~木曜22時45分)、『東京P.D. 警視庁広報2係』(フジ系、火曜21時)、『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系、水曜22時)、『ラムネモンキー』(フジ系、水曜22時)、『おコメの女―国税局資料調査課・雑国室―』(テレビ朝日系、木曜21時)、『プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮』(フジ系、木曜22時)、『元科捜研の主婦』(テレビ東京系、金曜21時)、『DREAM STAGE』(TBS系、金曜22時)、『リブート』(TBS系、日曜21時)、『50分間の恋人』(ABC制作・テレ朝系、日曜22時15分)、『パンチドランク・ウーマン―脱獄まであと××日―』(日テレ系、日曜22時30分)の13作品。
一方、原作のある作品は、小説の『再会~Silent Truth~』(テレ朝系、火曜21時)、『テミスの不確かな法廷』(NHK総合、火曜22時)、『パンダより恋が苦手な私たち』(日テレ系、土曜21時)、漫画の『未来のムスコ』(TBS系、火曜22時)の4作のみ。17作中13作の約76%がオリジナルという高水準となった。
オリジナルが大半を占める最大の理由は、放送収入が苦しくなる中、「IP(知的財産)で幅広く稼ぎたいから」にほかならない。続編、映画化、スピンオフ、グッズ、イベント、企業コラボ、海外を含めた配信など、「幅広く稼ぐためにオリジナルで勝負する」ことは当然の戦略になりつつある。
その結果、作品ジャンルは主に「サスペンス&ミステリー」「お仕事」「ラブストーリー」の3つに分かれた。言わばこの3つが現在「オリジナルで視聴率と配信再生が取れそう」と見込まれるジャンルなのだろう。
また、『ヤンドク』『夫に間違いありません』『パンチドランク・ウーマン』という“実話をベースにしたオリジナル”が3作も誕生するという新たな動きも見られた。各局のプロデューサーたちは以前よりも小説や漫画に頼れなくなったことで、日々目にするものから「これはドラマの企画にならないか」と探している。
傾向[2]「嘘」が渦巻く物語が続出
今冬は「嘘」をベースにした物語が目立っている。
「登場人物全員が嘘つき」と言われ、命を懸けた騙し合いが行われる『リブート』を筆頭に、保険金詐欺、殺人、汚職などの『夫に間違いありません』。タイムカプセルに拳銃を埋めたほか息子の万引きを隠すなどの『再会~Silent Truth~』。警察の隠蔽などを描いた『東京P.D. 警視庁広報2係』が放送されている。
さらに、ヒロインが恋人に内緒で他の男性と親密な関係を続ける『冬のなんかさ、春のなんかね』、事情を抱えた刑務官と殺人犯が脱獄する『パンチドランク・ウーマン―脱獄まであと××日―』も登場人物の「嘘」が物語を動かしているというニュアンスが濃い。
深夜帯でも、『身代金は誘拐です』(読売テレビ・日テレ系、木曜23時59分)、『AKIBA LOST』(日テレ系、火曜24時59分)、『ぜんぶ、あなたのためだから』(テレ朝系、23時)、『略奪奪婚』(テレ東系、火曜24時30分)、『マトリと狂犬』(MBS・TBS系、火曜25時28分)、『俺たちバッドバーバーズ』(テレ東系、金曜24時42分)、『嘘が嘘で嘘は嘘だ』(フジ系、日曜23時15分)も「嘘」を含む物語が放送されている。
その多くはダークサイドのサスペンス&ミステリーであり、「続きが気になる」「リアルタイムで見たくなる」という視聴率獲得と、「クチコミが広がる」「考察をうながす」という点で配信再生数アップへの期待が大きい。
ただ、『リブート』という振り切ったサスペンス&ミステリーの大作に注目が集まっている分、他の作品は狙ったほどのインパクトを与えられていない感がある。嘘、裏切り、不正、トラウマなどのネガティブな要素が多用されすぎてインパクトが薄れているのかもしれない。
マーケティングベースで企画を立てると、どうしても似たところが出てしまうが、どのサスペンス&ミステリーを見たらいいのか。ドラマ好きでも選ぶのが難しいところがある。
これらの傾向を踏まえた今クールのおすすめは、『東京P.D.』と『終のひと』の2作。
『東京P.D.』は広報を軸にすることで警察とメディア両方の問題点を鋭くあぶり出す社会派。空回りしながらも前に進む主人公は共感度が高く、あえて笑いを排除した演出も見事で、刑事ドラマに一石を投じる意欲作となりそう。
『終の人』は小さな葬儀社が舞台のリアルな感動作。口は悪いが慈悲深い主人公は魅力的で、エピソードのバリエーションも多彩で飽きさせない。深夜24時台の放送だが、埋もれてしまうには惜しいため良作のためピックアップした。
さらに『リブート』は黒岩勉が構想3年をかけた濃密な物語と1人2役を超える鈴木亮平の演技が高次元で融合。ダークサイドに偏り過ぎの感はあるが、エンタメ性は今冬トップか。『ラムネモンキー』は民放ではひさびさとなる古沢良太脚本でさすがの完成度。原作小説からの脚色が巧みでミステリーとして見応え十分の『再会』もおすすめしたい。
「視聴率や先入観だけで判断して見ない」というのはもったいないだけに、TVerや各局の動画配信サービスなどでチェックしてみてはいかがだろうか。
2026年冬ドラマ オススメ5作
- No.1 東京P.D. (フジ系 火曜21時)
- No.2 終のひと (TBS系 火曜24時58分)
- No.3 リブート (TBS系 日曜21時)
- No.4 ラムネモンキー (フジ系 水曜22時)
- No.5 再会 (テレ朝系 火曜21時)




