三井不動産が2026年4月より、舟運プロジェクト『&CRUISE』として日本橋~豊洲間でフル電動旅客船の定期航路をスタートさせる。同社によれば、民間企業によるフル電動旅客船の定期航路は国内初だという。担当者は「買い物、通勤といった日常使いはもちろん、国内外の旅行者の移動手段として、また有事の際には人・物資の輸送にも利用できます」とアピールする。本稿ではメディア試乗会の模様をお伝えする。

  • 三井不動産がフル電動旅客船『Nihonbashi e-LINER』で定期航路をスタートさせる

    三井不動産がフル電動旅客船『Nihonbashi e-LINER』で定期航路をスタートさせる

電動旅客船の乗り心地は?

舟運プロジェクト『&CRUISE』では、三井不動産が船主となり、観光汽船興業が運航事業を行う。想定航路は、日本橋船着場(中央区防災船着場)と豊洲船着場(ららぽーと豊洲)の往復で、所要時間は片道20分ほど。運賃や1日何便往復するのかといった点については、「現在検討中」としている。

  • 豊洲船着場(ららぽーと豊洲)

    豊洲船着場(ららぽーと豊洲)

本プロジェクトで運航するフル電動旅客船の名称は『Nihonbashi e-LINER』で、設計・建造は大洋電機が担当、造船所は三重県伊勢市のエルモ。リチウムイオン二次電池を電源としており、1日の運航を終えた夜間に豊洲船着場に隣接する給電設備で充電することを考えている。Nihonbashi e-LINERの全長は17m、試運転最高出力は8ノット以上、航続時間は8時間以上。最大搭載人員は62名(うち船員2名)となっている。

  • 豊洲船着場に停泊するNihonbashi e-LINER

    豊洲船着場に停泊するNihonbashi e-LINER

まずは船内を見学した。明るく清潔感のあるスペースで、流線型のテーブル、長椅子などが設置されている。内装材には、上質な人工のスエード、リサイクル可能なエコ建材など、環境に配慮した素材が多く使われているという。

  • 左舷側後方から搭乗。自転車も積載できる

    左舷側後方から搭乗。自転車も積載できる

  • 船内は落ち着く空間。窓も大きい

    船内は落ち着く空間。窓も大きい

階段の下には昇降機があり、車椅子の利用者も気兼ねなく利用できる。バリアフリーの船内トイレも十分な広さを確保。乗船中はフリーWi-Fiとコンセントが利用可能で、ちょっとした作業が行えるデスクも備えている。

  • 床がせり上がる、車椅子用の昇降機を搭載

    床がせり上がる、車椅子用の昇降機を搭載

  • バリアフリーの船内トイレ

    バリアフリーの船内トイレ

このあと港の周りを10分ほど周遊した。電動旅客船は驚くほど静かで、船着場から出港したことに気が付かないほどだった。軽油を使わないので、特有の嫌なにおいもしない。そして思いのほか速度が出る。デッキに出ると、真冬の冷たい風を真正面から浴びた。

  • 運転席の様子

    運転席の様子

  • デッキからの眺め

    デッキからの眺め

実際には、日本橋~豊洲を結ぶ運航ルートが設定されている。移動中は、どんな景色が展開するのだろうか。

  • 窓の外に広がる景色を楽しみたい

    窓の外に広がる景色を楽しみたい

“船に乗ること”が目的になる

メディア説明会で、三井不動産 日本橋街づくり推進部の七尾克久氏は「いま私たちは、官民地域一体となって日本橋再生計画に取り組んでいる最中です。その中で1つの重要なテーマとなるのが『水都再生』です。江戸時代から続く水の都を再生すべく、景観を整えるだけでなく、水質環境の改善、舟運の活性化にも力を入れています」と話す。

  • 三井不動産 日本橋街づくり推進部の七尾克久部長(左)と、同 市ノ澤伸幸氏(右)

    三井不動産 日本橋街づくり推進部の七尾克久部長(左)と、同 市ノ澤伸幸氏(右)

また日本橋街づくり推進部の市ノ澤伸幸氏は『&CRUISE』について「空・水・風を感じるWell-beingな移動体験を提供します。たとえば買い物のために乗船する、お子さんを連れて乗船、あるいは仕事をしながら移動する、仕事終わりに1杯飲みながら、など色いろな過ごし方ができます」と説明。そのうえで「単なる移動手段ではなく、船に乗ること自体を目的にしてもらうような、新しい移動体験になれば」と力を込める。

  • 船舶と航路について

    船舶と航路について

Nihonbashi e-LINERには、Edoの舟運、Experience体験、Expand拡がり、Emergency有事対応、Ecology環境共生、の5つの「E」をかけている。市ノ澤氏はプロジェクトの目指す姿として「今後、日本橋~豊洲~築地の新旧3大市場を拠点にさらなるネットワーク拡大をはかり、観光、買い物、通勤など日常の足としてお客さまにご利用いただく将来を思い描いております」と説明した。