金は、古くから「価値が失われにくい資産」として知られ、経済の不安定な局面で注目されやすい存在です。

近年は、ニュースで金価格の話題を目にする機会も増え、「少し持っておいたほうがいいのでは?」と感じている方もいるかもしれません。

ただし、金への投資方法は一つではありません。金融商品として保有する方法もあれば、実物として持つ方法もあり、それぞれリスクや手間、税金の扱いも異なります。

そこで今回は、SBI証券の投資情報部の植田雄也さんに、金投資の代表的な4つの方法を比較しながら、「自分に合った金投資の考え方」を解説してもらいます。

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インフレや円安のニュースを見て『金投資っていいのかな?』と思ったことはありませんか? しかし、いざ調べると『投資信託』『ETF』『地金・コイン』『純金積立』…種類が多くて迷いますよね。 今回は、投資初心者の方がどれを使って金投資をはじめればよいのか、4つの方法をやさしく比較します。

  • 投資信託
    金価格の値動きに連動することを目指して運用される商品。少額から購入でき、保管や管理の手間がかからない
  • ETF
    証券取引所に上場している金連動商品。株式と同じように、取引時間中に売買できる
  • 地金・コイン
    金の延べ棒や金貨など、実物の金を保有する方法。現物資産としての安心感がある一方、保管や管理が必要
  • 純金積立
    毎月一定額で金を積み立てて購入する仕組み。価格変動の影響を平準化しやすく、長期向き

金4つの投資方法の比較

  • 図表1:金4つの投資方法の比較

    図表1:金4つの投資方法の比較

上記は、金への4つの投資方法を並べたものです。

投資スタイルで選ぶなら?

「NISAを使って、まずは少額ではじめたい」→投資信託 or ETF
「安全資産として"実物の金"を持ちたい」→地金・コイン※1
「コツコツ積み立て、最終的に"実物の金"がほしい」→純金積立※2
となります。自分に合ったスタイルが明確に分かると、一気にはじめやすくなりますね。それでは、一つずつ解説していきます。

※1 1540など一定口数以上の保有で現物転換(要手数料等)できるETFもあります
※2 SBI証券:1kgから引出し可(別途手数料あり)2026年1月現在

① 投資信託

特徴:100円から気軽にはじめられる
メリット:分散投資・管理不要(プロが運用)・損益通算可能(特定口座などで投資する場合)
注意点:信託報酬(運用管理費用)がかかる
税金:NISAで非課税投資可能

② ETF

特徴:株と同じようにリアルタイム売買できる
メリット:市場価格での即時売買が可能、少額投資OK・損益通算可能(特定口座などで投資する場合)
注意点:売買手数料がかかる場合あり
税金:NISAで非課税投資可能

③ 地金・コイン

特徴:"実物の金"を保有できる
メリット:無価値になりにくい、世界共通資産
注意点:売買手数料が高め・自宅保管には盗難リスク
税金:保有期間が5年超の場合なら長期譲渡所得となり、(利益−特別控除50万円)×1/2 に課税という優遇あり

④ 純金積立

特徴:毎月の積立で購入(ドルコスト平均法に向く)
メリット:現物引出し可、長期積立向き、価格変動を平準化
注意点:買付手数料1.65%(SBI証券の場合)、現物引出しは別途手数料
税金:保有期間が5年超の場合なら長期譲渡所得となり、(利益−特別控除50万円)×1/2 に課税という優遇あり

売却時の税金について

◎投資信託・ETF(特定口座などで投資する場合)

税率:20.315%→NISAを活用すれば非課税

◎地金・コインや純金積立

金・銀・プラチナ等の売却益は「譲渡所得」になります。そのため、確定申告が必要で、保有期間により課税方法が変わります。

・保有期間が5年以内の場合
→ 短期譲渡所得(利益−特別控除50万円)

・保有期間が5年超の場合
→ 長期譲渡所得(利益−特別控除50万円)× 1/2

算出方法

・短期譲渡所得=売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円
・長期譲渡所得=<売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円>×1/2
※詳しくは、最寄の税務署等へお問い合わせください

【注意】一見、わかりやすい金投資だけど……

金投資は"わかりやすく見えて、見落としやすい点"があります。

・為替影響
・売買スプレッド
・信託報酬(運用管理費用)
・売買手数料
・損益通算の可否
など

商品によってコストや注意点は違うので、「どれを選ぶかで実質的な利回りが変わる」点はチェックが必要です。

ここまで見てきたように、金投資は「どれが正解」というものではなく、目的や考え方によって適した方法が変わります。次に、全体をあらためて整理してみましょう。

まとめ

金投資は目的によって選び方が大きく変わります。

◎手軽さ・少額・非課税 → 投資信託・ETF(NISA対応)
◎実物を持つ安心感 → 地金・コイン
◎コツコツ積立&将来現物 → 純金積立

まずは "自分が金に何を求めるのか"を基準にすると、どの方法が合うか自然と見えてくるかもしれません。