
JR鎌倉駅西口から徒歩6分。今小路を進んでいくと、うっかり通り過ぎそうなくらいナチュラルに巽神社(たつみじんじゃ)が鎮座しています。
今回はこちらの巽神社について、歴史や御祭神、見どころを紹介。鎌倉散策の予習になれば幸いです。
巽神社の歴史
『鎌倉市史 社寺編』などによると、こちらの巽神社は801年(延暦20年)に坂上田村麻呂が勧請したと伝わります。
創建当初は葛原岡(市内梶原五丁目の山中)に鎮座していたと言われ、平安時代の1049年(永承4年)に源頼義(頼朝の5代祖先)が社殿を改修しました。
鎌倉時代初期の1200年(正治2年)に寿福寺が建立されると、その境内へ遷座され、後に現在地へ遷座します。巽とは辰(たつ)と巳(み)すなわち南東の方角を指し、寿福寺から見て南東に位置することから名づけられました。
この経緯には異説もあり、源頼義が葛原岡から現在地へ遷座した後に寿福寺が建立され、たまたま寿福寺の南東に位置していたため巽神社と名づけられたとも言われます。果たしてどっちが先だったのか、決着はついていません。
社殿の修復は戦国時代の1539年(天文8年)にも行われた記録があり、現存している社殿は江戸時代後期の1835年(天保6年)に建てられたものです。
しかし、1923年(大正12年)に発生した関東大震災で倒壊、1925年(大正14年)に修復再建されました。
そして、明治時代から昭和の敗戦まで、国家神道における社格制度下では村社(そんしゃ)に格付けされており、地元の扇ガ谷を代表する神社であったことがうかがえます。
巽神社の御祭神
奥津日子神(おきつひこのかみ)奥津日女神(おきつひめのかみ)火産霊神(ほむすびのかみ)こちらの巽神社では、古くから以上三柱をお祀りしてきました。
奥津日子神と奥津日女神はかまどを司る男女の神様で、かまどの火起こしや熾火(おきび)を神格化した存在と考えられています。
火産霊神はその名が示すとおり火の神様で、日本神話『古事記』では火之迦具土神(ほのかぐつちのかみ)や火之夜芸速男神(ほのやぎはやをのかみ)、火之炫毘古神(ほのかがびこのかみ)などと呼ばれてきました。
三柱を合わせて竃神(かまどがみ)または荒神(こうじん)と呼び、台所の神様として祀られます。台所は家族の健康と幸せを支える場所ですから、家内安全や健康長寿、そして火を使うため火災除けにご利益があるそうです。
巽神社の見どころ
コンパクトな境内に多くの見どころが凝縮されているので、予習しておきましょう。
個性派デザインの社殿
よく見ると、背の高い瓦屋根の下から、銅板葺きの屋根がせり出しています。この二重屋根はトップヘビーで不安定な社殿を支える目的で庇が増設された結果、個性的なデザインが生み出されたのでした。
瓦屋根の曲線美と、銅板葺きの直線デザインが対象的ですね。ほかにも、屋根と屋根の間や獅子の彫刻など、じっくり観賞すると楽しいでしょう。
猿田彦大神の石碑
江戸時代後期の1845年(弘化2年)に建立されました。猿田彦大神(さるたひこおおかみ)は日本神話に登場する神様で、道開き(厄災消除・出世開運・交通安全など)のご利益が有名ですね。
碑面の下部には猿田彦大神をお祀りした方々の名前が刻まれており、彼らの熱心な信仰が感じられました。
社殿を彩る石燈籠
江戸時代前期の1697年(元禄10年)に造られたもので、現在は倒壊防止の柵で保護されています。
取材に訪問した時は、なぜか四隅の柱にミカンが積まれていました(見えますか?)。これはどういう意味があるのでしょうか。
小鳥たちに食べてほしかったのか、あるいは単なるいたずらかもしれませんね。いずれにしても、こちらの巽神社が地元の皆さんに親しまれていることがわかります。
巨大なご神木?
境内の右手で重厚な存在感を放っている巨大な樹木。こちらはご神木でしょうか。もともと二本の樹木が融合したのか、一本の樹木が枝分かれしたのかはわかりませんが、大地から湧き上がる偉大な力が感じられました。
根元からは地面をがっしりとつかんでいるような力強さが感じられ、自然と畏敬の念を覚えます。
抵抗感のない方は、樹木にふれたり抱きしめたりすると、ヒーリング効果を得られるかもしれません(くれぐれも樹木を傷つけない範囲で)。
社殿の千社札
びっしりと貼りつけられた千社札。昨今では禁止されている神社仏閣も多いですが、こちらの巽神社ではさまざまな千社札が貼りつけられていました。
古いものから新しいものまで、地名が記されているものもあり、全国さまざまなところから参拝に来ているのがわかります。
飽きずに見ていると時間を忘れそうになるものの、首が痛くならないよう注意してくださいね。
諏訪社はどこへ?
ところで巽神社の境内(社殿の右手奥)には諏訪社が祀られていたはずですが、今回の取材ではそれがなくなっていました。
これは一時的な措置で今後戻ってくるのか、それとも御神霊をお返しして(廃社にして)しまったのでしょうか。気になりますね。
まとめ
今回は、鎌倉市扇ガ谷の巽神社について紹介してきました。住宅街にとけ込んだ児童公園のような境内の雰囲気は、地元民から親しまれてきた歴史が醸し出しているのでしょう。
これからも気取らないスタイルで、末永く愛され続けることを願ってやみません。
巽神社
参拝時間
24時間
※照明が十分でないため、夜間の参拝は注意が必要です。
休務日
社務所はありません(連絡や問い合わせは管理元神社へ)
主な祭礼
11月28日 例祭(れいさい)アクセス
所在地:鎌倉市扇ガ谷1-9-7
JR鎌倉駅西口から徒歩6分
駐車場:なし(公共交通機関のご利用か、近くのコインパーキングがおすすめです)
連絡先
管理元神社:横須賀市若松町 諏訪神社
電話:046-822-0208
FAX:046-822-9649
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