ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(写真:Getty Images)

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 大型補強を重ね、常勝軍団として君臨するドジャース。その戦略は確かに結果を出してきた一方で、高齢化とFA偏重という新たな課題も抱え始めている。勝ち続けるための選択は正しいのか。数字と編成の視点から、ドジャースの現在地と次の一手を読み解く。(文:Eli)

 

勝つための補強は成功──ドジャースが積み重ねた「結果」

[caption id="attachment_246151" align="aligncenter" width="733"] ドジャースの大型補強[/caption]

 

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 2023年オフの大谷翔平加入以降、ロサンゼルス・ドジャースは大型補強を繰り返している。同年には先発2人、タイラー・グラスノー、山本由伸を追加。次年にはテオスカー・ヘルナンデス、トミー・エドマンの延長、ブレイク・スネルの獲得、さらにはコスパが悪いリリーバーにまで手を伸ばしタナー・スコットを獲得した。

 

 「ワールドシリーズに勝つ」という目的は一貫している。スネル、グラスノー、山本の獲得はそれまでデプスや復活選手で賄い制圧力に欠けていた先発ローテを大型強化。スコット獲得もその延長と言えるだろう。

 

 テオスカー、キケの再契約はプレーオフに向けて強心臓野手を確保したと見られる。結果的に2025プレーオフでドジャース先発陣はイニング/先発6.0、FIP2.89でリーグトップ、ERA2.68、K%29.3、K-BB%21.3は2位。

 

 2024プレーオフではキケ、テオスカーはそれぞれwRC+127、117を記録した。同時にすべてが上手くいくことは無いが、最終的に2連覇を達成したことから戦略は成功したと言って良い。

 

 しかし、FAでロースターを埋めることは一時的な強さをもたらしても、長期的には大きな害を生む。その一つは高齢化だ。ドジャースの今季野手平均年齢は30でリーグ4番目に高齢だった。

 

 これは2015年のアンドリュー・フリードマン就任以降初めてのことだ。さらに2021と2025の野手ロースターを比べると、2021はシーガーやベッツ、スミスなど主力のほとんどが30歳周辺だったのに対して、2025は30未満の主力がパヘスしかいない。

[caption id="attachment_246152" align="aligncenter" width="734"] ドジャースの高齢化[/caption]

 

 高齢化は全盛期通過によるパフォーマンス低下もさることながら、勤続疲労による故障の増加ももたらす。アトランタブレーブスはマット・オルソン、オジー・アルビースなど若手の囲い込みを行い、その選手の多くがシーズン休まず稼働することを売りにしていた。

 

 しかし今季は故障や成績低下に見舞われ、シーズン開始前プレーオフ進出確率が90%超えだったにも関わらず、8月にはほとんど終戦。

 

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 結局地区4位、ワイルドカード7.0差という結果に終わった。ドジャースにも同様の傾向があり、特にフル稼働を好むフリーマンや二刀流で通常の2倍負荷がかかる大谷などはいつ故障が起こってもおかしくない。

 

 また、FAのみでロースターを構築することは成績見込みがしやすい一方で、自前で選手を育てるのと比べ圧倒的にコスパが悪い。

FA偏重が生む「高コスト体質」という現実

 

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 MLBの昇給制度はプレー歴によって制御され、1-3年目はチームが独占的に決定(Pre-Arb)、4-6年目は年俸調停制度(Arbitration)を通して昇給、7年目以降はFAにより自由な交渉が可能となる。

 

 Pre-Arb期間中は基本的に最低年俸+αに抑えられる。年俸調停権を手にすると昇給が始まるが、慣習的に年俸調停1,2,3年目で年俸目安はFA市場価格の40%、60%、80%に抑えられる。

 

 大谷翔平を例に挙げれば、1-3年目(2018-2020)はそれぞれ$0.545M、$0.650M、$0.700M、年俸調停権を得た3-6年目は$3.0M、$5.5M、$30M、そしてFAとなり自由交渉が認められドジャースと契約すると$70Mまで上昇した。1.0WARあたりのコストで言えば年俸調停前とFA契約の間には70倍の差である。

[caption id="attachment_246153" align="aligncenter" width="1094"] 大谷翔平のコストパフォーマンス[/caption]

 

 コスパだけを見ればFAは最悪なため忌避すべきで、ロースターのすべてを年俸調停前の選手で埋めるべきだが、現実では割高だが成績は予測しやすいFAと格安だが戦力的にはギャンブルな若手をチームの財務状況や目標に応じて上手くミックスしていく。

 

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 ドジャースはメジャートップクラスで資金が潤沢な球団であり、毎年WS優勝が至上命題である以上多少FA偏重となるのは仕方ない面があるが、これまでの大型補強は高コスト体質を生み出している。

 

 2025シーズンの1.0WARあたりの価格$7.03Mはリーグ5位。異常な数値ではなく、また超格安ロースター($2.94M/WAR)を有するブルワーズレベルまで下げる必要は無いが、少し気に掛ける必要はありそうだ。

[caption id="attachment_246155" align="aligncenter" width="1021"] 2025シーズン1.0WAR あたりの価格[/caption]

ファームは豊作 ドジャースが持つ「選択肢」

[caption id="attachment_246154" align="aligncenter" width="941"] ドジャースのプロスペクト[/caption]

 

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 幸運なことにドジャースには高齢化を解決できる期待すべき若手が揃っている。

 

 メジャーレベルでは2025年に若手リリーバーの波があった。ドジャースリリーフ陣のfWARはシーズンを通して6.0だったが、そのうち26歳以下のジャスティン・ロブレスキー、ジャック・ドライアー、ベン・カスパリウス、エドガード・ヘンリケス、ウィル・クラインで4.9を生み出している。

 

 この5人は全員2年目以下で、今後4-5年間安くキープが可能だ。先発でもエメット・シーアンがチーム3位のfWAR2.1を記録し、来季ローテ5番手が濃厚だ。

 

 問題は野手の若手だがファームには豊富な野手プロスペクトが揃っている。米分析ツール『Fangraphs』の2025中期レポートではメジャー3位と評価された。

 

 しかもリーグ全体100位に入る6人のうちトップ4人が野手だ。このままメジャーレベルまで使うにしろ、どこかのタイミングでトレードするにしろ選択肢は広がる。

 

 2025トレードデッドラインではダスティン・メイやハンター・フェドゥーシャなどの余剰戦力を使ってプロスペクト補充に成功した。

 

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 レッドソックスから獲得した外野手ジェームス・ティブスは傘下12位、レッズから獲得した先発投手アダム・サウィナウスキーは同7位に入った。

 

 過去にはギャビン・ラックス⇔マイク・シロタ(傘下8位)、マット・ビーティ⇔リバー・ライアン(全体88位/傘下6位)など、余剰戦力でファームを補充する戦力更新トレード例が多くあり、今後も大きなファクターとなるだろう。

 

【著者プロフィール】

Eli

主にXでドジャース、MLBに関する情報を発信。

X:@byeli_dodgers59

note: https://note.com/lim33

 

 

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【了】