近畿日本鉄道は、1月16日から名古屋線および大阪線などで新型一般車両1A系の営業運転を開始した。中でも名古屋線において、一般車両の新車は5800系以来、28年ぶりとされる。近鉄の新たな一般車両となる1A系の魅力を紹介したい。
奈良線・京都線系統とは異なる青系の塗装に
1A系は2024年に登場した8A系をベースにした一般車両。奈良線、京都線、橿原線、天理線などで活躍する8A系に対し、1A系は名古屋線、山田線、鳥羽線、大阪線で運用に就く。外観も8A系をベースとしており、前面は八角形をモチーフにデザイン。一方で、1A系の車体塗装は8A系と大きく異なり、落ち着きのある上品な印象の青色をメインカラーに採用した。青色を引き立たせる明るい白色との組み合わせで、近鉄らしいツートンカラーとしている。
近鉄の一般車両は「赤色・白色のツートンカラー」というイメージが強かった。2000年代に登場した「シリーズ21」はブラウンと白色をメインカラーとしているが、いまも赤色・白色の一般車両が圧倒的に多い。それだけに、1A系の第一印象は新鮮そのもの。同じ青系のメインカラーを採用している「しまかぜ」と比べても、1A系の外観は重厚な印象だった。
ところで、名古屋線・大阪線系統で活躍する1A系以外の一般車両も青色・白色の塗装に変更するのかという問いに対し、近鉄側から「検討する」との回答を得た。ただし、奈良線・京都線系統は8A系も含め、赤色・白色の組み合わせを継続する。
たとえば鶴橋駅の場合、奈良線の電車と大阪線の電車が次々にホームへ入ってくるものの、現在はどちらも同じ塗装で区別がつきにくかった。奈良線と大阪線の一般車両を異なる塗装とすることで、多くの利用者にとって見分けやすくなる可能性がある。
長距離の運行でも疲れない車内に
1A系の車内は、8A系と同様、従来の一般車両より格段に明るい。側面の窓は縦940mm・横870mmで、特別に広いというわけではない。明るさの要因は化粧板にあるように思う。側面の化粧板は杉や檜をモチーフとした木目調で、天井は明るい白色系を採用。側面の窓はドア窓も含めてUVカットガラスを採用しており、カーテンなしでもまぶしい印象はない。
座席に関して、1A系のL/Cシートは従来車両と比べて1人分の座席幅が若干広くなっている。クッション性も向上し、従来より柔らかく感じられ、長時間の乗車であっても座り心地は良い。L/Cシートの特性上、一部を除き各座席に肘掛けを設置している。窓側に肘掛けがないクロスシートは肘の置き場所に困ることもあるが、1A系でその心配はあまり感じられない。
なお、名古屋線でクロスシートとロングシートを切り替えるタイミングについて尋ねたところ、「利用状況を見て考えていきたい」とのことだった。参考までに、他線区の場合、ラッシュ時はロングシート、ラッシュ時以外はクロスシートとなっている。
8A系と同じく1A系も「やさしば」を採用。ベビーカーやキャリーケース等の利用者を想定した近鉄独自の座席付きスペースで、車内中央部の扉付近に設置している。床面にストッパーがあり、キャリーケースのキャスターのうち1つをストッパーの中に入れられる。
筆者は以前、キャリーケースを持って8A系に乗車した際、「やさしば」を利用したことがある。キャスターをストッパーに入れることで、キャリーケースを手で支える必要がなくなり、両手が空くため、スマホの操作も気軽にできた。1A系はおもに急行系の種別で長距離運用が想定される。そうした運用を考えると、長時間乗車する場面など、「やさしば」の存在をより心強く感じる利用者が多いかもしれない。
荷物棚にも細かい工夫がみられる。荷物棚の先端にあるパイプは少し低く、手すりとしても使える。加えて、荷物を乗せやすく、奥に押し込みやすい。吊り手は最近のリニューアル車でも採用している楕円型となり、つかみやすい設計となっている。
1A系は8A系をベースとした車両だが、もちろん8A系との違いもある。そのひとつが1A系に設置した多目的トイレ。1編成(4両編成)あたり1カ所、宇治山田方から2両目の車両に設置されている。近鉄の一般車両で多目的トイレの設置は1A系が初とのこと。多目的トイレの内部にベビーベッドや鏡があるほか、上部に荷物棚も設置している。トイレ内で荷物の置き場所に困ることもあるが、1A系だとその類の問題は不要になるだろう。
近鉄といえば、細かな配慮が行き届いた特急車両のイメージが強い。一般車両においても、8A系・1A系ともに配慮の行き届いた車両になっていると感じた。新たに登場した1A系の車内レイアウトなど、将来的に名古屋線・大阪線系統の標準タイプとなることはもちろん、他社の一般車両においても参考にされる場面が出てくるかもしれない。









