ゴールデン・プライム帯5本という民放最多のドラマ枠を持つフジテレビ系の中で、今冬最も前評判が高いのは『ラムネモンキー』(14日スタート、毎週水曜22:00~)ではないか。

同作は反町隆史、大森南朋、津田健次郎のトリプル主演も魅力的だが、前評判が高い最大の理由は古沢良太の脚本作品であること。古沢と言えば、『リーガル・ハイ』シリーズ(フジ系)、『コンフィデンスマンJP』(フジ系)、『鈴木先生』(テレビ東京系)、『外事警察』(NHK総合)、『ゴンゾウ 伝説の掲示』(テレビ朝日系)、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(Prime Video、NHK)などを手がけた業界トップクラスの脚本家と言っていいだろう。

なかでも熱狂的なファンが多いのは2015年放送の『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジ系、FODで配信中)。月9ドラマ全盛期の流れを汲むラブストーリーながら、その内容は異色尽くめだった。あらためてどんな見どころがある作品なのか、ドラマ解説者・木村隆志が掘り下げていく。

  • 『デート~恋とはどんなものかしら~』(C)フジテレビ/共同テレビ

    『デート~恋とはどんなものかしら~』(C)フジテレビ/共同テレビ

理解し難いレベルの極端なカップル

月9ドラマにラインナップされたものの、恋愛ドラマとしては超異色作。基本的に恋愛ドラマはメインの男女に共感できることが前提のジャンルだが、当作の藪下依子(杏)と谷口巧(長谷川博己)は誰もが理解し難い恋愛不適合者の変人だった。

依子はミリ単位の誤差もよしとしない強烈な「リケジョ」で融通の利かない堅物キャラ。一方の巧は「高等遊民」と称して一切の労働を拒否し、誰かに寄生して生きるダメ人間キャラ。どちらも度の過ぎたこだわりを持ち、婚活市場では減点材料だらけで相手にされないレベルの人柄でありながら、それをメインに据える古沢らしい思い切りのよさが光った。

実際、依子の父親役を演じた松重豊は「変態コンビ」と語るほどであり、視聴者も序盤は「イロモノのラブコメ」という目で見る人が多かった。しかし、「極端な偏屈さを笑うだけだった視聴者が徐々に愛おしさを感じる」という不思議な魅力に気づかされていく。

依子の口を突き出したアヒル口、巧の「オードリー・ヘップバーン、原節子、峰不二子、メーテルを足して4で割った女性」という理想のタイプ、フラッシュモブでのプロポーズなどの笑いどころを盛り込みつつ、一方でジェンダー、婚活、少子化などの社会問題をバッサリ斬る毒を織り交ぜた脚本は古沢ならでは。予定調和をよしとしない作風で知られる人だけに、各話・全体ともに視聴者の予想を上回るような展開で支持を集めていった。

初のテーマパークデート、お見合いパーティー、クリスマス会、カウントダウンパーティー、正月の親族顔合わせ、バレンタインデーと結納、誕生日……各話それぞれクオリティーは高かったが、圧巻だったのは最終話。単に「2人が結ばれるかどうか」だけではなく、さまざまな仕掛けと伏線回収を凝縮させる圧巻のフィニッシュだった。