2019年に創設された少年少女野球チーム「フリースタイルスポーツクラブ」(神奈川県綾瀬市)。週1回、日曜日の午後から4時間「緩く、楽しく」活動し、現在は29人の子ども達が集まっている。令和の時代に子どもが集まるチームは、どんなチーム運営をしているのだろうか? チーム創設者であり元高校野球監督でもある代表の五十公野大輔さんと、チームをサポートする奥様の紗知子さんにお話を伺った。


<親の都合で野球ができない子をなくしたい

——チーム立ち上げのきっかけから教えてください。

五十公野:娘が年長の時に同級生達と横浜DeNAベイスターズが主催している『DB.スターマンカップ』というティーボール大会に出たことがきっかけですね。そこで子ども達が楽しく野球をやってくれていたので、それでチームを作ろうかなと思ったんです。発足はその翌年ですから娘が小学1年生になったときですね。最初のメンバーはほとんどが1年生ばかりというチームでした。

——1年生ばかりで試合なども行っていたのでしょうか?

五十公野:他のチームに混ぜてもらう形でティーボールの大会に出ていました。練習ではティーボールで親子対決をしたり、サッカーやドッジボールもやったりしていました。野球に縛られず、ただただ外遊びをするという感じのチームでしたね。

——保護者の当番制がないそうですね。

五十公野:当番制はなくて、あるのは保護者の皆さんの善意です。それで活動が回っています。お父さんコーチや見守ってくれるお母さん、保護者の皆さんの協力によってチームが成り立っています。本当に感謝しかありません。

紗知子さん:うちも子どもが4人いますからよく分かるんですけど、例えば一番上のお兄ちゃん、お姉ちゃんが「野球をやりたい!」となったとして、そのチームに保護者の当番制や係の仕事をやる決まりがあったら、下の子が体調不良の時や連れて来られない時、仕事の時など、当番や係が負担だなぁと感じてしまう事もあると思います。
そんなふうに、親の都合で野球ができない子をなくしたいという思いから保護者の当番制をなくしています。

——部費はいくらでしょうか?

紗知子さん:1000円です。兄弟姉妹が何人入部しても部費は1世帯1000円にしています。何人入部してくれても部費は同じですから、上のお子さんが入部する際に「じゃあ下の子も一緒に」という感じで、兄弟姉妹で入部してくれているご家庭も多いです。フリースタイルでは、子どもを預ける感覚でチームに入っていただいてOKですから。
それで「子どもたちが野球をやっている姿を見たい」「自分も子どもと一緒に体を動かそう」ということで、グラウンドに足を運んでくれる親御さんが多くなっているように思います。

<色んなスポーツをやっている中の一つが野球

——フリースタイルには現在どんな子が集まっていますか?

五十公野:ホームページを見て来てくれる子が多いです。女の子も6人在籍しています。あとはチームとしても他のスポーツとの二刀流を推奨していますので、他のスポーツをやっている子が多いですね。うちの子も柔道、体操教室に通っていますし、夏は野球よりもサーフィン、冬場はスノーボードをやったりしています。
野球1本で頑張るというのも良いと思うのですが、フリースタイルはどちらかというと「色んなスポーツをやっている中の一つが野球」というスタイルです。
ちなみにチームの活動以外にも、幼少期に野球の原型を経験してもらいたくて綾南幼稚園で毎週金曜にティーボールも行っています。こちらにも毎回10〜15人の幼児が参加してくれています。

——技術指導はどのようにされていますか?

五十公野:低学年と高学年、それぞれにヘッドコーチがいて、基本的な投げ方、打ち方、捕り方などは彼等が指導してくれています。練習時間が週に4時間しかないなかで、ヘッドコーチの2人が色んなことを勉強して、考えてやってくれています。お父さんコーチの皆さんも野球経験者が多くて、投げ方だったり打ち方だったりを子ども達に分かりやすいように教えてくれています。

紗知子さん:入部される際に「ご無理なさらずですが、もしよろしければ、親子で体を動かす場としてお手伝い頂けたらありがたいです」程度のことしかお願いしていないのですが、それでも有り難いことに毎回多くのお父さん、お母さんがグラウンドに来て手伝ってくれています。

<年3回の公式戦が成果を発表する舞台

——連盟には入っていないそうですが、試合、大会などはどのようにしているのでしょうか?

紗知子さん:夏は伊勢原市の高部屋小学校が母体になっている「羽ばたけ鳩杯」という大会、春は卒団するタイミングで桜台小学校の「サクラ杯」という大会に出させてもらっています。

五十公野:メインはその2回で、一昨年からが「ノーサイドカップ」というフリースタイルと同じような理念を持つチームが参加する大会も始まったので、年間で全3大会ですね。あとは練習試合もちょくちょくとやっています。

——試合に出る子はどのように決めているのでしょうか?

五十公野:基本的には全員出場する方針ですが、(試合の中で)完全に全員を平等に起用するのはなかなか難しいので、練習の参加率が高い子を優先して起用するようにはしています。

——連盟に加盟しているチームは毎週のように大会に参加していますが、子ども達はもっと試合をやりたがらないですか?

五十公野:そこは十人十色ですね。野球にはまってくれていたり、実力のある子達は「もっと試合をしたい!」となりますし、他の習い事をしながら週一回の活動を楽しんでいただいているご家庭だと、月一回の試合でも多いと思われている場合もあります。
色んなご家庭がありますので、様々な意見を聞いてできるだけ間を取るように、お話をして理解してもらうようにしています。
月に3回練習をして一回練習試合があって、その成果を発表する舞台である公式戦が年に3回ある。(今は)これくらいがちょうど良いのかなと思っています。

——今後の目標を教えてください。

五十公野:公式戦で勝たせてあげたいですね。特に「ノーサイドカップ」は我々と同じような2チームとやっていますけど、うちだけまだ優勝できていないんです。今の5年生たちが「来年は僕達が絶対に勝つ!」ってキャプテンが言ってくれていますからね。

(取材・写真:永松欣也)