(左から)ホワイトソックスの村上宗隆、ブルージェイズの岡本和真(写真:Getty Images)

 メジャーでの所属先が決まった村上宗隆と岡本和真。両者はセ・リーグを代表する強打者として活躍し、ともに3度の本塁打王を獲得した実績を持つ。しかし、過去にもNPBで本塁打王に輝いた選手が海を渡ったが、いずれも長距離砲として成功したとは言い難かった。村上・岡本の”両大砲”は、メジャーでもアーチを量産し、長距離砲として大成することができるのだろうか(文・八木遊)

年末年始に所属先決定 本塁打王を争ってきた”大砲コンビ”

 

 ともにポスティング制度を利用した村上と岡本。村上はクリスマス直前にシカゴ・ホワイトソックスと2年総額3400万ドル(約53億円)で、岡本は年明けにトロント・ブルージェイズと4年総額6000万ドル(約94億円)でそれぞれ契約を結んだ。

 

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 両チームは比較的本塁打が出やすいとされる本拠地をホームとしており、村上と岡本にはNPB時代と同じようにアーチの量産に期待がかかる。

 

 村上は26歳、岡本は29歳で念願のメジャー開幕を迎える2人。ご存じの通り、2020年以降は毎年のようにセ・リーグの本塁打王を争ってきたライバル関係でもある。

 

 2020年から2024年の5年間でともに3度ずつ本塁打王に輝いた村上と岡本だが、昨季はケガの影響もあり、そろって70試合前後の出場にとどまった。規定打席には届かなかったが、OPSはともに1.000を超えた。年齢的にも脂が乗り切り、絶好のタイミングでの渡米といえるだろう。

 

 そんな2人に対して、米データサイトの「Fangraphs」は成績予測システムの『Steamer』による来季の成績予想を発表している。

 

米データサイトが出した今季予想成績は…?

 

 日本時間1月8日時点で、『Steamer』がはじき出した2人の今季予想成績は以下の通りだ。

 

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 【村上宗隆、Steamerの2026年成績予測】

 138試合 打率.231、30本塁打、75打点 WAR1.9

 

 【岡本和真、Steamerの2026年成績予測】

 130試合 打率.251、22本塁打、69打点 WAR2.5

 

 2人のアピールポイントとなるパワー部門、つまり本塁打と打点は村上が上回るとみられているが、打率は岡本が上。さらに守備と走塁なども加味した選手の貢献度を総合的に測るWARは岡本に軍配が上がっている。

 

 ただ2人が予想通りの数字を残せるかを、懐疑的な目で見るファンは少なくない。

 

 というのもここ数年は打者・大谷翔平の大活躍で、日本のファンの感覚もやや“バグッて”いる部分があるからだ。

 

 大谷は2023-24年に本塁打王を獲得。昨季は1本差で惜しくもタイトルを逃したが、自己ベストを更新する55本塁打を放った。

 

 大谷の活躍に加えて、昨季は鈴木誠也も30本の大台に到達。NPB時代の実績からすれば、村上と岡本にも20~30本塁打を期待したくなるところだろう。

 

 

“長距離砲として”成功したとは言い難い日本人3選手

 

 ところが、過去にもNPBで本塁打王に輝きメジャーに挑戦した日本人3選手は、いずれも“長距離砲として”成功したとは言い難い。

 

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 NPBで本塁打王に輝きメジャー挑戦を果たしたのは、松井秀喜、中村紀洋、筒香嘉智の3人である。

 

 この中で最も成功を収めたのは、言うまでもなく松井だった。読売ジャイアンツ時代に3度も本塁打王に輝き、28歳でニューヨーク・ヤンキースに加入。長距離砲として期待されたが、メジャーでは打点にこだわる打撃で30本塁打超えは2年目の1度だけに留まった。

 

 そんな松井の2年後にメジャー挑戦を果たしたのは、1歳上の中村だ。こちらは松井とほぼ同時期に猛牛打線の4番打者として、本塁打王に1度輝いた球界屈指のパワーの持ち主だった。

 

 ところが移籍先のロサンゼルス・ドジャースでは出場機会に恵まれず、メジャーでは17試合に出場しただけ。打率.128、0本塁打、3打点という記録が残っている。3Aでは101試合で22本塁打とパワーを見せつけたが、メジャーの高い壁を超えられなかった。

 

 3人目が2020年にタンパベイ・レイズと契約を結んだ筒香嘉智(現・DeNA)だ。メジャー1年目はコロナ禍に見舞われる不運もあった。同年は51試合で8本塁打を放ったが、打率は.197と2割を割り込んだ。2024年の春までアメリカでプレーしたが、メジャー通算で18本塁打、打率も.197に留まった。

 

 つまり、NPBで本塁打王に輝いた過去の3人は、中距離打者として活躍した松井を除けば、長距離砲としては期待外れに終わったということになる。

 

 松井と同じ3度本塁打王に輝いている村上と岡本。打率を捨ててでも一発にこだわるのか、それとも偉大な先輩のように打点や打率に重きを置くのか。2人には、いい意味で予測を裏切る結果を残してほしいところだ。

 

 【松井秀喜のメジャー通算成績(実働10年)】

 1236試合 打率.282、175本塁打、760打点

 

 【中村紀洋のメジャー通算成績(実働1年)】

 17試合 打率.128、0本塁打、3打点

 

 【筒香嘉智のメジャー通算成績(実働3年)】

 182試合 打率.197、18本塁打、75打点

 

【著者プロフィール】

八木遊(やぎ・ゆう)

1976年生まれ。スポーツライター。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。

 

 

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【了】