年末年始、やっと休みに入ったのに「たくさん寝てるのにだるい」「休みに入った途端に体調を崩した」…そんな経験はありませんか? せっかくのおやすみは健康に過ごしたいもの。年末年始の過ごし方について、札幌もいわ徳洲会病院 病院長の後平泰信医師が解説します。
年末年始の「寝だめ」って意味ある? 有効なケースも
寝だめはなぜ必要なのでしょうか。2024年2月に厚生労働省から「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が出されましたが、成人の睡眠時間は6時間以上が推奨されています。
ところが令和元年の国民健康・栄養調査によると20歳から59歳までの各世代で睡眠時間が6時間以上の割合は35-50%となっています。寝だめは普段の睡眠不足を休日に補おうとしているのです。寝だめを扱った研究では、週末の寝だめが体重を増加させるという結果がある一方、寝だめが高血圧や糖尿病、心臓の病気、うつ病に対してリスクを下げるという研究もあります。
寝だめが有効なケースとしては平日の睡眠不足が多少ある方で、休日1~2時間程度長く睡眠を取ることは疲労回復の効果があると考えますが、極端な睡眠不足を休日の寝だめで補おうとするのは逆効果です。具体的には普段より3~4時間以上長く寝ると、睡眠の質が悪化し、休日明けの仕事のパフォーマンスなどに悪影響が出てしまいます。
また寝過ぎてしまうと体内時計が狂って「時差ボケ」のような状態となり、だるさや疲労を感じます。また自律神経の乱れや血行不良や筋肉の凝り、脳の血管拡張による頭痛などが起こります。
長期休みに入ったとたんに体調を崩すのはなぜ?
冬休みのような長期休みは「社会的時差ボケ」が起きやすくなります。
「社会的時差ボケ」とは生活リズムが崩れることでまるで海外旅行の際などに経験する時差状態になることを指します。連休中にやりがちな寝だめ、夜更かし、寝坊などが原因となります。
前項でもお話しましたが、体内時計は寝る時間よりも起きる時間で決まります。平日と休日で起床時刻が2時間以上ずれると、時差と同じ状態になるのです。社会的時差ボケにより体内時計のリズムが乱れ、自律神経の調整がうまくいかなくなります。結果として頭痛や胃腸などの不調、メンタルの不調などが起こりやすくなります。
年末年始は特に食事が不規則になりがちです。体内時計は食事でも調整されていますので、飲み会の次の日に胃もたれや二日酔いで朝食を抜いてしまったり、深夜にカロリーの高いものを食べたりすることでリズムが崩れます。
特に朝食で、眠りのホルモン(メラトニン)の原料となる、乳製品やバナナなどに多く含まれているトリプトファンというアミノ酸や海苔や魚介類、肉類などに多く含まれているビタミンB6をしっかり摂ると良いでしょう。
また体内時計は社会的な要因でも調整されているので、会社や学校、習い事などがなくなると、いつも調整してくれていたイベントがなくなるのでより乱れやすくなります。疲れると思われがちですが、休みの日には普段参加できないイベントや集まりなどに積極的に参加することがむしろ体内時計を整えるのに良いでしょう。
年末年始に“生活リズムを整える”コツ
生活リズムの崩れやすい年末年始こそ、体内時計を整えて規則正しい生活を心がけることが重要です。一旦体内時計が狂ってしまうと、整うまでに時間がかかってしまうため、連休中から普段の生活リズムを崩さないことが大切です。
簡単に行え、体内時計の調整に最も重要なことは、「朝起きた日の光を浴びる」ということです。
体内時計をリセットするためには最も効果的で、毎朝決まった時間に10分~15分程度でも構わないので日光浴をしましょう。曇りの日でも十分な照度がありますので、寒い季節は外に出なくても窓際に立つだけでも効果が期待できます。
また日中に運動を行うことも効果的です。以前はランニングなどの軽い有酸素運動が効果的と言われていましたが、最近の研究ではヨガやストレッチ、また筋力トレーニングなどでも睡眠の質を上げる効果が報告されています。
冬は外での運動が難しい場合もありますので、ぜひ室内で試してみてください。掃除などの家事も、中程度の運動と同じくらい負荷がかかりますので、年末の大掃除や年始に家事を積極的に行うことでご自身の健康のみならず家族からも喜ばれるのではないでしょうか。
夜に寝つきをよくするためのポイント
寒い冬はお風呂に浸かることも多いかと思いますが、入浴は特に寝付きをよくするのに効果的です。寝る1時間くらい前に40度前後のお風呂に15分程度浸かると良いでしょう。眠っている時の赤ちゃんの手足が温かいのはご存知の方もいらっしゃると思いますが、我々は体の中心の熱(深部体温)が下がることで眠くなります。つまり手足の血管を広げ熱を放出することで体を冷やすことで寝付きが良くなるのです。ぜひ試してみてください。
年末年始は家族や友人など大切な方と過ごす時間も多いと思いますので、ぜひスマートフォンから一度離れてみてください。寝る直前までスマートフォンを見ていることで頭が活性化し、またブルーライト自体が眠りのホルモンであるメラトニンを抑制することで寝付きが悪くなります。
連休明けの不調を防ぐ、睡眠の効果とは?
生活リズムを整えることで様々な良い効果が得られます。冬は感染症が流行りやすい時期ですが、寝不足の方は約5倍風邪にかかりやすいと言われています。今冬はインフルエンザや新型コロナウイルスが流行っていますが、予防接種でワクチンを打った後も、しっかりと睡眠時間を確保しなければワクチンの効果が弱まってしまうという研究結果もあります。
このように生活リズムと免疫は密接に結びついております。また自律神経系を整えることで、メンタルの安定化が期待でき、集中力も高まります。睡眠時間が短いと、死亡率が上昇したり、認知症になりやすい、高血圧や心臓病、脳卒中のリスクが高まりますので、ぜひ年末年始の連休中にご自身の睡眠、生活リズムを見直してみましょう。
この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。

