VSG不動産は12月24日、「マンションの管理費と修繕積立金の値上げ」に関する意識調査の結果を発表した。調査は2025年7月2日~7月3日、マンションを購入し、現在も居住中の男女1,004名を対象にインターネットで行われた。

築10~30年の"本格修繕期"マンションが約7割を占める

  • マンションの築年数を教えてください

    マンションの築年数を教えてください

約7割の調査回答者が築10~30年未満のマンションに居住しており、特に「20~30年未満」が38.0%と最も多かったことが明らかになった。新築~10年未満のマンションに住む居住者は12.1%と少数派となり、築年数が進んだ物件に住む層が多数派を占める結果となった。

築10~30年のマンションは、エレベーターや配管、防水工事など、大規模な修繕が本格化する時期に差し掛かっている。そのため、管理費や修繕積立金の見直しが必要不可欠となる。調査結果において、この年数のマンションに住む居住者が多数派を占めていることから、修繕負担が家計にのしかかり始める時期に差し掛かっていることがうかがえる。

修繕積立金の不足や、急な値上げに対する不安が今後のマンション管理における重要な課題となる。特に、管理費や修繕積立金の増額が家計に与える影響が大きくなる可能性があり、そのための早期対応が求められるだろう。

管理費・修繕積立金の"直撃"は6割弱

  • 物価高騰によって、過去3年以内にマンションの管理費または修繕積立金が値上げされたことはありますか?

    物価高騰によって、過去3年以内にマンションの管理費または修繕積立金が値上げされたことはありますか?

「物価高騰によって、過去3年以内にマンションの管理費または修繕積立金が値上げされたことはありますか?」と質問した。

「管理費も修繕積立金も値上げされた」と回答したのは39.6%、さらに「管理費のみ」8.3%、「修繕積立金のみ」10.0%を合わせると、約6割の回答者が何らかの値上げを経験していることがわかった。また、「値上げはされていないが、今後の予告や議論があった」と回答したのは13.8%、つまり値上げの予兆や議論があったと感じている人は全体の7割を超えている。

一方で「値上げも予告もない」は28.3%にとどまり、物価高騰や人件費・資材高の影響が、管理費・修繕積立金のレベルにまで広く波及している実態がうかがえる。管理費・修繕積立金は「いつか上がるかもしれないもの」ではなく、「すでに上がり始めているもの」として、多くの居住者にとらえられていると言える。

物価高騰の実感は"値上げ"が中心

  • 物価高騰の影響を実感した場面として、当てはまるものをすべて選んでください

    物価高騰の影響を実感した場面として、当てはまるものをすべて選んでください

物価高騰を実感した場面として最も多かったのは「管理費・修繕積立金が値上げされた/値上げの予告があった」が56.3%で、過半数を占めた。次いで、「修繕工事や設備更新の実施時期が先送りになった」が17.0%、「管理人の勤務時間が短縮された」が14.4%となっている。

物価高騰がマンション住民に与える影響として、まず「値上げ」の実感が強く、特に管理費や修繕積立金の増額が家計に直接的な影響を与えていることがわかる。これにより、不安を感じる住民が多く、今後の値上げへの懸念が広がっている。一方で、「修繕工事の先送り」や「サービスの低下」といった「値上げ以外でのサービス縮小」も進行していることが確認された。これらは管理組合がコスト上昇に対応するための手段として取っているが、長期的には建物の品質や住環境に悪影響を及ぼす可能性がある。今後、マンション管理においては、修繕計画やサービス維持のための適切な対応と、住民との透明なコミュニケーションが求められる。

毎月の負担は「2~4万円」が6割超

  • 現在、マンションの管理費と修繕積立金をあわせて、毎月いくら支払っていますか?

    現在、マンションの管理費と修繕積立金をあわせて、毎月いくら支払っていますか?

管理費と修繕積立金の合計負担額は、「20,000円~30,000円未満」が35.4%、「30,000円~40,000円未満」が29.0%であり、2~4万円のレンジが全体の6割超を占める結果となった。さらに、「10,000円~20,000円未満」も15.9%に上り、1~4万円帯で約8割が該当する構図である。

この水準は、一般的な世帯の固定費の中でも無視できない比率を占める金額であり、数千円の値上げであっても年間ベースでは大きな負担増となる。もともとの支払額が2~4万円帯に集中しているからこそ、追加値上げに対する心理的ハードルや、家計調整の必要性が高まりやすい状況にあると言える。

多くの居住者が「急な値上げ」などを懸念

  • マンションの修繕積立金について、不安に感じていることはありますか?

    マンションの修繕積立金について、不安に感じていることはありますか?

「マンションの修繕積立金について、不安に感じていることはありますか?」と質問した。

「特に不安は感じていない」と回答したのは27.7%にとどまり、約7割の住民が何らかの不安を抱えていることが明らかとなった。特に「修繕積立金の不足により、将来的な急な値上げが発生しそう」が42.4%、「将来の大規模修繕に必要な金額が確保できないのではないか」が38.0%と、将来の資金不足とそれに伴う大幅値上げへの懸念が上位を占めている。

また、「長期的な資金計画(収支計画)が不透明」、「空室や滞納者の増加により、一部の住民の負担が増えるのではないか」など、マンション全体の財政健全性や住民構成の変化に伴う負担増にも目が向いている。

この結果は、単に現在の負担額だけでなく、「将来どこまで上がるのか」「本当に足りているのか」という長期的な視点での不安が広く浸透していることを示しており、管理組合側の透明性と説明責任の重要性が浮き彫りになっている。

8割近くが「必要性は理解」

  • 修繕積立金の不足を理由に値上げが行われることについてどのように感じますか?

    修繕積立金の不足を理由に値上げが行われることについてどのように感じますか?

「修繕積立金の不足を理由に値上げが行われることについてどのように感じますか?」と質問した。

「やむを得ないことだと思う(必要な修繕のためなら納得できる)」が37.5%、これに「仕方ないとは思うが、家計への負担が心配」23.4%、「ある程度は理解できるが、事前の情報共有や説明が不十分だと感じる」18.6%を加えると、約8割が値上げの「必要性自体は理解している」層であることがわかる。

修繕積立金の不足を理由とした値上げに対して、約8割の住民が「必要性は理解している」と答えていることから、マンションの維持管理に必要な費用負担は認識されている。しかし、同時に「家計への負担が心配」「事前の情報共有や説明が不十分」といった意見も多く、住民の完全な納得には至っていないことが明らかになった。

このギャップは、長期修繕計画や費用内訳の共有、複数案の提示など、合意形成プロセスの設計次第で縮小できる余地が大きいと言える。

納得の鍵は「長期修繕計画」と「具体的な内訳」

  • 管理費や修繕積立金の値上げについて、どのような情報提供があれば納得しやすいと感じますか?

    管理費や修繕積立金の値上げについて、どのような情報提供があれば納得しやすいと感じますか?

「管理費や修繕積立金の値上げについて、どのような情報提供があれば納得しやすいと感じますか?」と質問した。

「長期修繕計画と将来的な費用見通し」が53.2%で最も多く、次いで「修繕工事や管理サービスの具体的な内容・内訳」が46.7%で続いた。さらに、「他マンションとの比較(相場データなど)」が31.4%となっており、居住者は自分のマンションの状況を客観的に理解したいというニーズが強いことがわかる。

「特に必要ない/任せている」は16.3%と少数派であり、大半の居住者は「数字と計画に基づく説明」を求めている。値上げを単なる通知で済ませるのではなく、長期修繕計画と紐づけたストーリーとして示せるかどうかが、納得感を左右する決定要因になっていると考えられる。

許容ラインは「月額3,000円未満」がボリュームゾーン

  • 管理費・修繕積立金が値上げされる場合、どの程度までなら許容できますか?

    管理費・修繕積立金が値上げされる場合、どの程度までなら許容できますか?

管理費の値上げ許容幅は、「月額1,000円未満」が25.5%、「月額1,000~3,000円未満」が35.4%で、合計すると6割超が「3,000円未満まで」を上限と考えている。修繕積立金も同様に、「月額1,000円未満」が19.5%、「月額1,000~3,000円未満」が31.4%で、3,000円未満が半数超のボリュームゾーンとなった。

管理費・修繕積立金の値上げに関して、居住者の許容範囲の中心は「月額3,000円未満」であり、全体の6割以上がこの範囲を上限として認識していることがわかる。一方で、「月額5,000円以上」を許容する層は少数派にとどまり、1割強~2割弱に過ぎない。もともとの負担額が2~4万円帯に集中している中で、追加負担の心理的許容ラインは「数千円」が中心であり、5,000円を超える値上げは"家計インパクトの大きい決断"として受け止められやすいことがうかがえる。

"大幅値上げ"で、約半数が「売却検討」の可能性

  • 管理費・修繕積立金が許容範囲を超えて大幅に値上がりした場合、将来的にマンションの売却を検討しますか?

    管理費・修繕積立金が許容範囲を超えて大幅に値上がりした場合、将来的にマンションの売却を検討しますか?

管理費・修繕積立金が許容範囲を超えて大幅に値上がりした場合、「売却を真剣に検討すると思う」が8.1%、「状況によっては売却を考える可能性がある」が17.2%、「できれば住み続けたいが、やむを得ない場合は売却も考える」が27.4%であり、合計すると約半数が将来的な売却の選択肢を意識している。

一方、「売却はまったく考えていない」も27.9%存在し、「わからない/判断できない」が19.4%と、態度を保留している層も少なくない。

この結果は、管理費・修繕積立金の水準が「マンションの資産価値」だけでなく、「住み続けるかどうか」というライフプランの意思決定にも直結していることを示している。過度な値上げは、長期居住意向の低下や、将来的な売却・住み替えニーズの顕在化につながるリスクをはらんでいると言える。

値上げへの備え、4割超が「まだ何もしていない」

  • 今後の管理費・修繕積立金の値上げに備えて、どのような準備や対応を考えていますか?

    今後の管理費・修繕積立金の値上げに備えて、どのような準備や対応を考えていますか?

今後の管理費・修繕積立金の値上げに備えた対応として、「特に何もしていない・考えていない」が44.1%と最大であり、半数近くが具体的な対策に踏み出せていない状況が浮かび上がった。

一方で、「家計の見直し(節約・固定費削減など)」を挙げた人は30.2%、「値上げの理由や内訳を管理組合に確認したい」が19.3%、「管理会社や理事会に説明責任を求めたい」が16.9%、「管理費や修繕積立金の見直し(減額や見送り)を求めたい」が12.3%と、家計側の対策と管理側への働きかけの両面で動き始めている層も一定数存在する。

さらに「長期的に売却や住み替えを検討したい」が9.0%となっており、値上げ動向次第では住み替え戦略を視野に入れる人も少なくない。全体として、まだ「様子見」の態度が多数派である一方、今後の値上げ局面が進めば、家計調整・管理側への要求・住み替え検討といった行動が加速する可能性が高いと考えられる。