
JR北鎌倉駅から徒歩14分。入り組んだ住宅街の坂道を上った奥に、稲荷神社が鎮座しています。
土地勘がないと迷ってしまい「なかなかたどり着けない!」という声が続出。しかしそれでも参拝する価値があるので、ぜひ挑戦してみてください。
今回はこちらの稲荷神社について、歴史や境内の見どころなどを案内させていただきます。
稲荷神社の歴史
こちらの稲荷神社は鎌倉時代初期の1219~1222年(承久年間)ごろ、五穀成就と国家安全を願って山城国飯成山(いなりやま。京都府の伏見稲荷)から勧請されました。
御祭神は受気母知命(うけもちのみこと)。日本神話『日本書紀』に登場する食べ物の女神で、月夜見命(つくよみのみこと)に殺された遺体から天地の恵みが生じたという伝承があります。
『新編相模国風土記稿』によると、その後に山神(さんじん/やまのかみ)と山王(さんのう)を合祀した記録があり、また室町時代ごろの作と推定される地蔵菩薩像が二体安置されていました。これら二体の仏像は御祭神の本地仏(ほんじぶつ)と考えられていますが、確かなことはわかっていません。
※山神:山々を治める大山祇神(おおやまつみのかみ)。または山に棲む神々の総称。※山王:日枝山を治める大山咋神(おおやまくいのかみ)。大山祇神の曾孫。※本地仏:神様の正体である仏様。日本の神様は仏様の化身であるという神仏習合思想のあらわれ。
稲荷神社の見どころ
こちらの稲荷神社はただ境内に立つだけでも清々しい気持ちになれますが、見どころを予習してから参拝すると、より有意義な時間を味わえるでしょう。
小野田泉里句碑
露ふん亭(で) 行くや鎮守の 朝詣(あさもうで) ※石碑より
【筆者による意訳1】朝露を踏み分けて、鎮守の稲荷神社に参拝する(清々しい情景の描写)【筆者による意訳2】我が帝国海軍が、露(ロシア)を踏みつけ、征伐する(当時の社会情勢)
※注釈:行くは「征く(征伐する)」、鎮守は「鎮守府(帝国海軍)」、「朝」は「我が朝(我が国・日本)」にかかっている。
これは日露戦争(1904~1905年)当時に詠んだ句で、まさに「坂の上の雲」の時代が感じられます。
小野田泉里(おのだ せんり)は本名を小野田源十郎(げんじゅうろう)、別号を漱石庵(そうせきあん)と言い、農業を営むかたわらで約2,000近くもの俳句を遺しました。
近くに鎌倉文学館が設置した案内板があるので、お時間に余裕があったらじっくり読むのがおすすめです。
根本萬蔵之碑
地元から西南戦争(1877年1~9月)に官軍兵士として出征し、肥後国山本郡植木村(熊本県熊本市北区)で4月8日に戦死した根本萬蔵(ねもと まんぞう)を祀っています。
植木村には西南戦争における最大の激戦地となった田原坂(たばるざか)があり、官軍・西郷軍ともに多くの死者が出ました。萬蔵が戦死した4月8日には、同村内の辺田野(へたの)でさらなる死闘があったそうです。
鎌倉を遠く離れた熊本の地で尊い命を散らしてしまった無念を偲び、また国家を守るために尊い命を捧げた遺徳を後世に伝えるため、一族が石碑を建立したのでした。
命の尊さや平和の大切さを噛みしめるよすがとして、今も地元の人々に愛されています。
小さなお猿の像
よく注意していると、境内の片隅に小さなお猿の像を発見できるかもしれません。
お猿は烏帽子をかぶり、右手に鈴、左手に御幣を担いでいました。その表情は何ともユーモラスで、実に楽しそうです。
いつ・誰が設置したのかは不明ですが、こちらのお猿は山王様のお使いですから、かつて山王様が合祀されたことに関係するのでしょう。お猿本体と台座は金属製で、その土台はコンクリートで固められているため、それなりの意図をもって工事したものと考えられます。
大きさは20~25cmくらいでしょうか。あえて場所は書かないので、じっくり探してみてください。もし見つけられたら、山王様のご加護にあずかれるかも知れません。
まとめ
今回は鎌倉市台の鎮守である稲荷神社について紹介してきました。大船と北鎌倉の境界地域に鎮座する秘境感がたまらないので、ぜひたどり着いてほしいと思います。
社殿前からの眺めも素晴らしく、北鎌倉の八雲神社(山ノ内)や雲頂庵(円覚寺塔頭)も臨めるので、探してみてくださいね。
北鎌倉観光の定番ルートに飽きてしまった方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
台 稲荷神社
御祭神
受気母知命(うけもちのみこと。稲荷神)
参拝時間
24時間(ただし管理元神社は9:00~17:00)
※照明が十分でないため、夜間の参拝は危険です。
休務日
社務所はありません(連絡は管理元神社へ)
主な祭礼
1月5日 新年祭(しんねんさい)4月第1日曜日 例祭(れいさい)アクセス
所在地:神奈川県鎌倉市台1795
JR横須賀線「北鎌倉駅」から徒歩14分(900m)
駐車場:なし(公共交通機関のご利用がおすすめです)
連絡先
管理元神社:岩瀬 五所稲荷神社
電話/FAX:0467-47-4798(9:00~17:00)
メール:iwase5inari@mou.ne.jp
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