12月になると至るところで耳にするクリスマスソング。最もよく聴くのは、邦楽では山下達郎の「クリスマスイブ」、洋楽ではワム!(WHAM!)の「ラスト・クリスマス」あたりだろうか。

その洋楽で最も耳にする曲を主題歌にし、さらに番組名にしたのが2004年10~12月に放送された織田裕二主演の『ラストクリスマス』(フジテレビ系、FODで配信中)。

同作は1980年代後半から90年代前半の月9ドラマを彷彿させる王道のラブストーリーだった。あまり知られていないが、実は脚本・坂元裕二、演出・西谷弘のコンビが手がけた高品質な作品でもあり、今なおファンの間では「クリスマスが近づくと見たくなるドラマ」と言われている。

あらためて、どんな見どころがあり、何が21年後に現在も刺さるポイントなのか。ドラマ解説者・木村隆志が掘り下げていく。

  • 『ラストクリスマス』(C)フジテレビ

    『ラストクリスマス』(C)フジテレビ

主人公と「カンチ」の勤務先が同じ

『ラストクリスマス』の作品内容が発表された当時、「往年の月9に回帰」という声があがっていた。その最たる理由は織田裕二が1991年の『東京ラブストーリー』以来13年ぶりに月9ドラマに出演し、しかもラブストーリーであること。

さらに脚本・坂元裕二、プロデュース・大多亮とのトリオも同作以来であり、何と主人公・春木健次(織田)の勤務先は『東京ラブストーリー』の永尾完治(織田)と同じ“ハートスポーツ”だった。

『ラストクリスマス』は王道の月9だが、その世界観は『東京ラブストーリー』よりもかなり明るくラブコメ度は強め。その上で終始、温かいムードで包まれたような作品だった。

主人公の健次とヒロインの青井由季(矢田亜希子)は、「もともと1つの部屋だった」という同じマンションの隣人。さらに第1話で由季が壁に残された扉を壊したことで、時折行き来する半同棲のような生活となった。

ただ、健次は白河仁美(桜井幸子)から婚約解消されて恋の気配はゼロ。一方の由季も元レディースのバツイチで5股をかけているほか、「本気で人を好きにはならない」と公言するなど恋愛関係になりそうなムードはなかった。健次36歳、由季24歳とひと回りの年齢差があり、演じる織田と矢田も11歳差だったことも含め、「ここからどのように恋愛感情が育まれていくのだろう」と感じた人が多かったのも事実だ。

しかし、健次は高校時代の後輩でラジオDJの柴田幸子(りょう)と再会し、由季もハートスポーツ商品開発部の日垣直哉(玉木宏)との関係性が明らかになり、恋が動きはじめていく。

さらにデザイナーの藤沢律子(片瀬那奈)、健次の後輩社員・葉山達平(森山未來)、派遣社員の高瀬彩香(MEGUMI)、健次の友人で取締役の新谷伍郎(伊原剛志)らも恋模様に参戦。

「健次が初恋の人」という幸子、律子に振られ続けるプレイボーイの直哉、恋した恩師の死を引きずる律子、受付嬢が好きだが彩香に振り回される達平、「ラブテロリスト」の彩香、寒いダジャレを連発する女好きの伍郎……きっちりキャラが描き分けられたにぎやかな恋愛群像劇に往年の月9を思い起こさせられる。