エムティーアイは12月21日、「女性の健康課題と働き方に関する意識・実態調査」の結果を発表した。調査は2025年10月31日~11月4日、女性3,601名を対象に、同社が運営する「ルナルナ」「ルナルナ 体温ノート」「ルナルナ ベビー」にて行われた。

「女性の健康課題によって仕事に影響がある」8割超

月経随伴症状やPMS、更年期症状などの女性の健康課題に悩んだことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した女性は8割以上にのぼった。特に「生理痛(腹痛や頭痛)などの月経随伴症状」は82.2%、「月経前症候群(PMS)」は70.6%となり、多くの人が月経に伴う不調で悩んでいることがわかる。

それらの症状によって仕事に影響が出たことがあるかを聞いた。「よくある」23.5%、「たまにある」61.1%を合わせると、8割以上の働く女性が仕事への影響を自覚していることがわかる。具体的な影響としては、1位「集中力・判断力が低下した」84.6%、2位「業務の質が下がった」56.8%、3位「対応できる業務の量や時間が減った」27.9%が上位に並んだ。

  •  生理痛などの月経随伴症状や月経前症候群(PMS)、更年期症状などの女性の健康課題によって仕事に影響が出たことはありますか。/ 仕事にどのような影響がありましたか

    生理痛などの月経随伴症状や月経前症候群(PMS)、更年期症状などの女性の健康課題によって仕事に影響が出たことはありますか。/ 仕事にどのような影響がありましたか

生理休暇の利用率は2割以下

働く女性の多くが健康課題によって仕事に影響が出ていると回答しているが、そういった症状があるときに仕事を休んだことがあると回答した人は33.7%にとどまった。大半が、仕事への影響を感じながらも休むという選択肢をとっていないことがわかる。

「休んだことがある」と回答した人を対象に、どのように休みをとったかを聞いてみると、最も多い回答は「有給を利用した」51.4%となり、生理休暇に関しては、有給・無給を合わせて17.4%と2割以下だった。雇用形態別にみると、正規雇用の場合は有給を利用した人が60.3%と全体よりも増え、非正規雇用の場合は欠勤したと回答した人が55.6%に上った。

  • それらの症状を理由に仕事を休んだことはありますか。/ 前問で「休んだことがある」と回答した方にお伺いします。どのように休みをとったか教えてください

    それらの症状を理由に仕事を休んだことはありますか。/ 前問で「休んだことがある」と回答した方にお伺いします。どのように休みをとったか教えてください

生理休暇や職場独自の休暇制度を利用しなかった理由

生理休暇や職場独自の休暇制度を利用しなかった人にその理由をたずねると、「利用できる制度がないため」42.5%が突出して多い結果となり、女性の健康課題に伴う休暇制度などはまだまだ浸透していない現状がうかがえる。また、「制度を利用すると無給になるので余っている有給を使う方がいい」というコメントも目立った。

次に多い回答として「制度を利用することに心理的に抵抗があったため(恥ずかしい、申し訳ないなど)」21.0%があがった。自由回答では「上司が男性だと言いづらい」「制度はあっても前例がなく利用しづらい」などの声もあり、制度と実態にはギャップがあることがうかがえる。

  • 生理休暇や職場独自の休暇制度を利用しなかった理由を教えてください

    生理休暇や職場独自の休暇制度を利用しなかった理由を教えてください

健康課題によって働き方を変える女性は約1割

続いて、女性の健康課題によって転職や異動など、働き方を変えた経験があるかを聞いた。「そのような経験はない」が最も多く、89.3%となり、「転職した」割合は、4.6%、さらに「退職した」割合は2.2%、「勤務時間を変えた」割合は1.9%となった。

また、「そのような経験はない」と回答した人のうち、実行はしなかったが働き方の変更を検討したことはあると回答した人は16.1%と、約6人に1人いる結果となった。働き方の変更を検討することは、人生においても大きな決断に直結することを考えると、この6人に1人という数字は決して少なくない。実行しなかった理由としては、働き方を変えた場合の経済的な不安や、人手不足の職場への申し訳なさ、影響の出る時期が限定的なため働き方の変更を決断するには至らなかったことなどがあげられた。

  • 女性の健康課題に伴う症状により、転職や退職、異動など働き方を変更した経験はありますか

    女性の健康課題に伴う症状により、転職や退職、異動など働き方を変更した経験はありますか

働き方の変更・検討につながった健康課題としては「生理痛(腹痛や頭痛)などの月経随伴症状」41.3%が最も多く、次いで「月経前症候群(PMS)」27.9%となった。

また、働き方を変更(検討含む)した理由としては1位「通勤や長時間勤務が負担になったため」43.6%、2位「周囲に迷惑をかけるのが心苦しかったため」42.1%、3位「業務の質を維持できなくなったため」36.5%となり、上位の理由には同程度の割合で回答が集まったことからも、直接的な理由があるというより、業務の負担や精神的な負担などさまざまな要因が影響し合って判断に至っていることが推測される。

  • 転職や退職、異動など働き方の変更・検討につながった主な健康課題は何ですか。/ 転職や退職、異動などの働き方の変更を選択した、または検討した理由を教えてください

    転職や退職、異動など働き方の変更・検討につながった主な健康課題は何ですか。/ 転職や退職、異動などの働き方の変更を選択した、または検討した理由を教えてください

健康課題によって働き方を変えた女性からは、その際に苦労したエピソードも寄せられた。その一部を紹介する。

  • 「上司に生理のことが理解されなかったことや、中小企業のため少人数でシフトを組んでいたため、休むという選択肢がなかなか取れず、退職に至るまで解決策を考える余裕もなくなったこと」

  • 「接客業だったとき、生理の時も立ち続けてずっと笑顔で仕事することが大変だったのでピルを4年飲んでいた。しかし子供を望むようになり、ピルを辞めたいが、仕事のクオリティを維持出来ないので事務職に転職した」

  • 「コールセンターの契約社員として勤務していたが、顧客対応に追われ生理2日目など一番ピーク時にトイレに行けず経血が椅子に漏れたりなど嫌な場面がありました。気付いた人がウェットティッシュをくれたりしました。理解してくれる人ばかりではない為、50歳過ぎて生理がまだある事が、今も本当に嫌で仕方ないです」

  • 「転職前は仕事で充実感を感じていて、それが生きがいだった。転職をし、通院したり、規則正しい生活ができるようになった一方で、仕事のやりがいは感じられなくなり、自分にとってベストな働き方はなんなのかをとても悩んでいる」

  • 「収入が一気に減るためメンタル的にも落ち込んで心療内科に通ったりしていた」

  • 「『頑張れない人』という嫌味を直接言われたりしたのが、辛かった」

就職・転職の際の職場選びで重視すること

続いて、現在就労中ではない人も含めて全体に、就職や転職などを考える際に女性の健康課題に理解のある職場であるかを重視するか聞いてみると、年代を問わず実に8割の女性がそうした環境を重視すると回答した。

ライフステージによってさまざまな健康課題を抱える可能性がある女性にとって、それらへの理解度は職場選びの際の大事な基準となっていそうだ。

  • 就職や転職などを考える際、女性の健康課題に理解のある職場であるかを重視しますか

    就職や転職などを考える際、女性の健康課題に理解のある職場であるかを重視しますか

妊娠・出産を機に約7割が働き方の変更を検討

また、妊娠中や産・育休中、または産後に働き方の変更を考えたことはあるかを質問してみると、月経随伴症状などの女性の健康課題の際は約1割だったのに対し、なんと約7割の人が「はい」と回答した。

考えた時期としては「妊娠中(産休前)」51.3%が最も多く、過半数を占めた。妊娠中は、つわりや出血などの妊娠初期症状によって業務に影響が出ることが多かったという声が複数あがった。生理休暇や、出産予定日の6週間前から取得が可能な産前産後休暇(産休)は法的にも企業に義務付けられている。しかし、産休前のつわりなどによる体調不良の際に利用できる制度は一般的に整っていないため、現状のサポートでは実態に追いついていないのかもしれない。

  • 妊娠中や産休・育休中、または復職直後に転職や退職、異動など働き方を変えたいと考えたことはありますか。/ 働き方を変えたいと考えたのはいつの時期ですか

    妊娠中や産休・育休中、または復職直後に転職や退職、異動など働き方を変えたいと考えたことはありますか。/ 働き方を変えたいと考えたのはいつの時期ですか

妊娠・出産を機に実行したこと

妊娠・出産に伴って働き方を変えたいと考えた人に、実行した内容を聞いた。前半で紹介した月経随伴症状やPMSなどの健康課題による働き方の変更の際は、検討しただけで実行しなかったという割合が8~9割だったのに対し、今回は約6割が何らかのアクションを起こしていることが明らかとなった。妊娠・出産による生活への影響の大きさが改めてうかがえる。

詳しく見てみると、実行した内容としての1位は「勤務時間を変更した」20.1%、2位は「退職した」19.3%、3位に「転職した」11.4%が並んだ。非正規雇用の場合は約4割が退職を選んでいる。

  • 実際に実行した内容を教えてください

    実際に実行した内容を教えてください

妊娠・出産に伴い働き方を変えた人から寄せられた、当時大変だったというエピソードを一部紹介する。

  • 「妊娠は病気ではないと言う圧力があった。」

  • 「とにかく妊娠2カ月からつわりが酷かったので、休職か退職かで悩みました。ほぼ安定期に入る頃まで3カ月寝たきりになっていたので第2子、第3子の時は迷わず退職しました。」

  • 「妊娠期間が意外と大変で、急遽異動させていただいて、申し訳なかった。」

  • 「私が育休から復帰した13年前は時短勤務もなく、復帰直後から8:30-17:30勤務。残業も当然で20時に帰宅していました。夫も19時以降の帰宅。協力し合っても、初めての育児でもあり、あまりにも過酷で続けることができませんでした。」

  • 「子育て中で自由な時間が少ない中で、転職活動に集中することが難しかった。」

  • 「育休復活後から育児時間を取得していたが、保育園に通っている子供が頻繁に発熱や感染症などを患い、有休を取らざるを得ず、ただでさえ短時間勤務なのに、さらに仕事のパフォーマンスを上げなければいけなかったのが大変でした。」

  • 「管理職は迷惑をかけてしまうと思い短時間勤務希望したらパートとして働かなくてはならなかった。」