【鎌倉 観光スポットレポ】収玄寺 - そびえたつ石碑にご注目!大通り…

江ノ電長谷駅から大仏様方面へ歩いていくと、左手に現れた門構えの奥に「四條金吾邸址(しじょうきんごていし)」と刻まれた立派な石碑が目をひきます。

今回はこちら、鎌倉市長谷の収玄寺(しゅうげんじ)を紹介します。どのような歴史や見どころがあるのでしょうか。

収玄寺の歴史

江戸時代後期の1830年(文政13年)に日蓮宗の妙詣尼(みょうけいに)が現在地に開いた収玄庵(しゅうげんあん)が始まりと考えられています。この地にはかつて、鎌倉時代に活躍した武士・四條金吾こと四條頼基(よりもと)の館がありました。

頼基は熱心な日蓮宗徒で、1271年(文永8年)の龍口法難に際しては殉死を覚悟で宗祖・日蓮上人に従ったと言います。そんな頼基が暮らしていた場所であれば、日蓮宗の信仰を受け継ぐのにうってつけと言えるでしょう。

以来、捨身護法や法華色読の霊地として歳月を重ね、大正時代初期の本堂改築をキッカケに寺号を収玄寺と改めました。

※龍口法難(たつのくちのほうなん):日蓮聖人が龍口(藤沢市片瀬)で処刑されかけた宗教弾圧事件。※殉死(じゅんし):主君や師匠など尊敬する人の死に際して、後を追うため自ら命を絶つこと。※捨身護法(しゃしんごほう):仏法を護るためなら命さえ捨てる覚悟で、厳しい修行を積むこと。※法華色読(ほっけしきどく):法華経の教えを、理屈だけでなく実践を通じて世に広めていく修行。

収玄寺の見どころ

創建から約200年の歴史を持つ収玄寺には、次のような見どころがあります。予備知識を少し仕入れておくだけでも、より興味深く拝観できるでしょう。

四條金吾邸址の石碑

収玄寺のトレードマークとも言える立派な石碑です。日露戦争の英雄・東郷平八郎(とうごう へいはちろう)元帥による揮毫が刻まれ、背面にも四條頼基の事績が記されています。

彼は江間光時・江間親時(北条義時の孫・曾孫)に仕えた家臣です。ある時主君の一大事を聞き、所領の江間(静岡県伊豆の国市)から鎌倉まで馬を飛ばし、三刻(約6時間)という速さで駆けつけるほどの忠義者でした。

その一途な剛直さは日蓮聖人へ帰依した際も発揮され、龍口法難の後も終生奉仕を続けます。まさに「日本武士の典型(※石碑背面より)」と呼ぶにふさわしい人物でしょう。

青天に向かって伸びる石碑を見上げると、頼基の精神を後世に伝えようとする真心が感じられます。

圓守院日勇聖人の供養塔

圓守院日勇聖人(えんじゅういん にちゆうしょうにん)とは、歳月と共に荒廃していた収玄庵を再興した人物(中興の祖)です。

石碑には「中興矜祖 圓守院日勇聖人 嘉永六壬丑年 十一月十三日」と刻まれていました。彼が1853年(嘉永6年)11月13日に世を去ったことが分かります。

なお「壬丑(みずのえのうし)」とあるのは、当年の干支である「癸丑(みずのとのうし)」の誤記でしょうか。

※本堂の位牌には、きちんと「癸丑」と表記されているとのことでした(ご住職様より)。

境内の片隅で静かに眠っていらっしゃるので、収玄寺を再興された遺徳を偲びたいものです。

上行菩薩立像

境内の片隅に合掌しながらたたずむこちらの立像は、上行菩薩(じょうぎょうぼさつ)とのことでした(ご住職様より)。

上行菩薩とは『法華経』に登場する四菩薩(上行・無辺行・浄行・安立行)の一士(※士は菩薩を数える単位)で、日蓮聖人はその再誕(生まれ変わり)を自認されていたと言います。

幾多の困難を乗り越えた日蓮聖人の精神的な強さは、菩薩の再誕を自認すればこそだったのかも知れませんね。

季節の花々

収玄寺の境内には四季折々の花が咲くため、隠れた?名所として人気があります。

春:カワヅザクラ、アンズ、ミツマタ夏:アヤメ、アジサイ、サルスベリ秋:シュウメイギク、ホトトギス、ツワブキ冬:ウメ、スイセン、センリョウ

大通りに面しているため全然隠れていないのですが、長谷駅から高徳院(鎌倉大仏)や長谷寺を目指す皆さんの視界に入らず、スルーされてしまうことも少なくありません。もしお時間が許すなら、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

まとめ

今回は鎌倉市長谷の収玄寺を紹介してまいりました。ここは日蓮宗に帰依した四條金吾の精神が、700年以上の歳月を越えて受け継がれる聖地です。

境内の入り組んだ小径を散策しながら、花を楽しんだり先人たちに思いを馳せたりすると、心身をリフレッシュできるでしょう。

大仏や長谷寺だけでなく、収玄寺もプランに組み入れることで、鎌倉観光の思い出がより味わい深く引き立つかと思います。

収玄寺

山号:四條山収玄寺

宗派:日蓮宗

本尊:曼荼羅(本師釈迦牟尼仏・日蓮聖人)

創建:1830年(文政13年)

開山:妙詣尼(※諸説あり)

開基:圓守院日勇聖人

備考:境内にカフェ「蕪珈琲(かぶらコーヒー)」あり

拝観時間

7:00~17:00(日没)ごろ

拝観料金

志納(お賽銭のみ)

御朱印/御首題

あり(各500円)

主な行事

3月15日 四条金吾頼基公命日祥当法要

アクセス

所在地 鎌倉市長谷2-15-12

江ノ電長谷駅から徒歩1分

JR鎌倉駅東口からバス「長谷観音」下車徒歩1分

駐車場:なし(近くにコインパーキングあり)

連絡先

電話 0467-25-3238