草なぎ剛が主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-』(毎週月曜22:00~ ※FODほかで配信)の第9話が、8日に放送された。

妻の死をきっかけに“遺品整理人”となったシングルファーザーの主人公が、遺品整理や生前整理を通じて、残された家族へのメッセージをひも解いていくというヒューマンドラマ。

前回から大きくなり始めた物語の“不穏”。この第9話は、その不穏さこそが、ドラマの大きなテーマである“尊厳”をより強調するための装置であり、生きることの多面性――すなわち“生々しさ”を描いているのだと確信させられる回だった。

  • 草なぎ剛 (C)カンテレ

    草なぎ剛 (C)カンテレ

「人間の尊厳」を描く物語で必要だったのか

これまで本作は、死という重いテーマを扱いながらも、どこか優しく、清廉な空気をまとっていた。死に直面した人々の悲喜こもごもを描きつつも、最終的には美しい着地を見せる。それは、制作陣が意図した以上に、主人公・樹を演じる草なぎ剛という役者の持つ「いいひと」性が発揮され、その稀有な清廉さが作品全体を浄化していたからかもしれない。

しかし中盤以降、清らかな世界観を覆すような不穏な空気が漂い始め、前回の第8話でついにそのバランスが崩れた。御厨ホールディングスの自殺者問題に端を発する集団訴訟、そして樹と真琴(中村ゆり)が惹かれ合い、不倫関係へと踏み込んでしまった危うさだ。遺品整理という「人間の尊厳」を描く物語において、これらのセンセーショナルな展開は、果たして本当に必要だったのか? 当初はそんな疑問すら抱いていた。

だが、この第9話で“不穏”の意味が鮮明になった。真琴の抑えきれない衝動、再びいじめに巻き込まれる息子・陸(永瀬矢紘)、まっすぐ過ぎるがゆえに試練に遭う海斗(塩野瑛久)、そして実は復讐心で動いていたと判明した静音(国仲涼子)。これらは単なるドラマを盛り上げるための要素ではなく、人間が生きる上で避けられない“生々しさ”そのものだったのだ。

また、あれだけ頑なだったPR動画の取り下げをあっさり受け入れてしまった終盤の彩芽(月城かなと)も、樹の思いがあふれてしまったラストも、人間らしい“生々しさ”に他ならない。

人間ドラマとしての深みを増す要素に

人は、ただ正しく清廉に生きるだけの存在ではない。間違い、悩み、自分の意図しない方向へ進んでしまう…。そんな泥臭く生々しい姿を描くからこそ、本来のテーマである「命の尊厳」が、より切実に浮かび上がってくるのではないだろうか。

樹が“清廉”の殻を破り、本来ならあり得なかったはずの“不倫”という道へ進もうとする姿もまた、テーマを逸脱しているようでいて、実は人間ドラマとしての深みを増している。クライマックスに向け、この「生々しさ」がどう昇華されていくのか。もはや一瞬たりとも見逃せない。

  • (C)カンテレ