12月に入って秋ドラマが終盤に差し掛かる中、他作に先駆けて最終話が放送されたのが、『すべての恋が終わるとしても』(ABCテレビ・テレビ朝日系)。

同作は序盤から高校時代に出会った男女の切ない恋が描かれていたが、中盤に主人公の大病が発覚してムードが一変。しかし、悩みながらも「恋の終わりをどう受け止め生きていくのか」を丁寧に描いたことで静かな感動を誘った。

近年、同作のような大病を扱ったドラマは減っているが、同じく秋に放送された過去作で思い出されるのが『1リットルの涙』(フジテレビ系、2005年 ※FODで配信中)。あらためて同作はどんな物語で、何が支持されたのか。また、なぜ近年は大病がメインテーマのドラマが減っているのか。ドラマ解説者・木村隆志が掘り下げていく。

  • 『1リットルの涙』(C)木藤亜也/幻冬舎 (C)フジテレビ/共同テレビ

    『1リットルの涙』(C)木藤亜也/幻冬舎 (C)フジテレビ/共同テレビ

可憐な美少女を襲った残酷な現実

『1リットルの涙』は木藤亜也さんが1986年に出版したノンフィクション書籍のドラマ化。身体や言葉などの自由を徐々に奪われる難病「脊髄小脳変性症」の診断を受け、98年に25歳の若さでなくなった木藤さんの日記がベースであり、すでに一定の知名度がある作品だった。そのため出版から20年目のドラマ化に「なぜ今?」などと疑問視する声もあったが、放送が進むにつれてそんな声は消えていく……。

物語は「特別じゃない ただ特別な病気に選ばれてしまった 少女の記録―」というテロップからスタート。主人公の中学3年生・池内亜也(沢尻エリカ)はアクシデントがありながらも志望校に無事合格したが、その身体には異変が起きはじめていた。

その後、15歳の若さで脊髄小脳変性症の診断を受け、徐々に症状が進行。できることが減り、不理解や偏見にさらされながらも前向きに生き抜いた亜也と、彼女を支えた家族や友人たちの日々が描かれた。

視聴者を引きつけた最大の理由は主演・沢尻エリカの演技だろう。沢尻は家族想いの可憐な美少女が、病に冒され、部活動、恋、通学などの日常を失っていく壮絶な日々を演じて称賛を集めた。ドラマ初主演の沢尻は当時19歳。大抜てきであり、しかも実在した人物+難病という難役ながら、早くも代表作と呼ばれるほどの熱演でその人気を決定付けた。

ポイントは脊髄小脳変性症が「小脳・脳幹・脊髄が萎縮していく一方で大脳は機能しているため、身体の自由を奪われ、できることが減っていく残酷な現実を認識できてしまう」こと。14年放送の『僕がいた時間』(フジ系)で描かれた筋萎縮性側索硬化症(ALS)も同様だったが、「絶望」「壮絶」という点で最高難度の役柄と言っていいのではないか。