11月28日、参院本会議で「ガソリン税」と「軽油引取税」の暫定税率を廃止する法案が可決・成立しました。これにより、ガソリン1リットルあたり25.1円上乗せされていた暫定税率は、12月31日で廃止されることになります。

「いつからどれくらい安くなるの?」「そもそも暫定税率って何?」といった疑問を感じている人も多いでしょう。今回は、日常的に車を使う人なら知っておきたい"ガソリンの価格と税金"について、FPがわかりやすく解説します。日々のガソリン代に直結する大切なテーマなので、この機会にしっかり押さえておきましょう。

  • 「ガソリン暫定税率」廃止でガソリンはどれくらい安くなる?

    「ガソリン暫定税率」廃止でガソリンはどれくらい安くなる?

ガソリン暫定税率廃止でガソリン代はどうなる?

1リットルあたり25.1円かかっていたガソリン税の暫定税率が12月31日で廃止されることが決定しました。しかし、12月31日から、急にガソリンの価格が25.1円下がるわけではありません。

ガソリン価格が一気に下がると買い控えや販売現場の混乱が起こることが予想されるため、政府はガソリン価格が段階的に下がるように、補助金を段階的に拡充することで調整を行います。

具体的には、11月13日から15円の補助金が支給、11月27日から20円の補助金が支給、12月11日からは、暫定税率による上乗せ分と同水準の25.1円の補助金の支給となります。これによって、12月31日の廃止当日は変動がない仕組みになります。

  • 11月13日・・・10円/L→15円/L
  • 11月27日・・・15円/L→20円/L
  • 12月11日・・・20円/L→25.1円/L
  • ガソリン税の暫定税率廃止までの流れ 出所: ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの? よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!|資源エネルギー庁

    ガソリン税の暫定税率廃止までの流れ 出所: ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの? よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!|資源エネルギー庁

しだいに小売価格に反映される

各ガソリンスタジオは、補助金が拡充される前のガソリンの在庫があるため、補助金の効果が小売価格に反映されるには一定の時間がかかる見込みです。このため、ガソリン暫定税率廃止に向けて、順次値下がりしていくと見られます。

なお、ガソリンの価格は原油価格や為替の動向などにも影響されるため、補助金の価格がそのまま店頭価格に反映されるわけではありません。

<参考>ガソリン小売価格直近1か月の動き

  • ガソリン小売価格直近1か月の動き 出所: 石油製品価格調査 調査の結果|資源エネルギー庁

    ガソリン小売価格直近1か月の動き 出所: 石油製品価格調査 調査の結果|資源エネルギー庁

来年のガソリン価格は?

補助金を段階的に拡充するため、急激にガソリン価格は下がりませんが、11月10日の173.5円(うち10円の補助)を基準にすると、そこから15.1円下がることが見込まれます。来年1月あたりは158.4円程度(※)になっていると予想できます。

※あくまでも計算上の数値です。実際のガソリン価格は原油価格や為替、流通コスト、ガソリンスタンドの経営方針などによって決まります。

ガソリン暫定税率とは

そもそもガソリン暫定税率とは何なのか、ガソリン価格における税金について解説します。

現在、ガソリンには次の3つの税金がかかっています。

  • ガソリン税(53.8円/L)
  • 石油石炭税(2.8円/L)
  • 消費税(10%)

ガソリン税について

本来のガソリン税は28.7円のところ、暫定的に25.1円を上乗せして、53.8円になっています。この本来のガソリン税を「本則税率」、暫定的に上乗せした税率を「暫定税率」と呼びます。本則税率は1リットルあたり、揮発油税24.3円、地方揮発油税4.4円のあわせて28.7円と定められています。

なぜ、暫定的にガソリン税を上乗せすることになったのか、その理由は1974年にさかのぼります。当時、道路整備計画の財源が不足していることから、暫定措置としてガソリン税に上乗せする「暫定税率」を導入しました。しかし、暫定と言いながら、名称や仕組みを変えながらその後もこの税率分は現在まで残っています。

また、2009年には、ガソリン税の使途が道路の建設や整備などを目的とした「道路特定財源」から使い道が限定されない「一般財源」に切り替わりました。

この見直しについては、道路の整備水準が向上したこと、道路歳出の抑制などが理由となっています。ただ、そうしたことが理由であるならば、道路整備財源の不足が理由で始まった「暫定税率」は撤廃されるのが筋です。しかしそうはならず、厳しい財政事情と環境面への影響の配慮を理由として、暫定税率の上乗せ分も含み現在まで税率が維持されてきました。

今回のガソリン暫定税率廃止によって、ようやく"本来の税率に戻す" という長年の課題に区切りがつく形となります。

石油石炭税について

石油石炭税の1リットルあたり2.04円と、温暖化対策税の1リットルあたり0.76円を合わせた、1リットルあたり2.8円が石油石炭税です。

消費税について

ガソリンの本体価格にガソリン税と石油石炭税を足した価格に対して10%の消費税がかかります。そのため、税金に税金がかかる二重課税と言われています。

  • レギュラーガソリン170円/Lの内訳 筆者作成

    レギュラーガソリン170円/Lの内訳 筆者作成

ガソリンの税金は量に対して課税される従量税であるため、ガソリン本体価格が上昇すると、購入価格に占める税金の比率は低下します。ガソリン価格を1リットル170円とすると、そのうちの約42%にあたる72円が税金となります。

ガソリン暫定税率廃止で家計負担はどのくらい減る?

1リットルあたり25.1円の暫定税率が廃止されることで、家計負担はどのくらい軽くなるのでしょうか。今年5月から開始された1リットルあたり10円の補助は含めずに考えます。

総務省の「家計調査 家計収支編 2024年」によると、二人以上の世帯の1年間で購入するガソリンの量は約430リットルとなっています。1リットルあたり25.1円安くなるということは、年間で約1万793円ガソリン代の負担が減ることになります。※消費税の細かい計算は無視しています。

ガソリン価格が下がることは家計にとって喜ばしいことですが、2026年度から自動車関連の税制度が見直される見通しも出ています。ある税が減っても、別の負担が増えてしまっては、家計全体のメリットは小さくなってしまいます。車を日常的に利用している人は、今後の税制度の動きもしばらく注視しておく必要があるでしょう。